厚生労働省は、令和8年4月30日付で、介護保険最新情報Vol.1500を発出しました。今回の通知は、令和8年2月27日付の事務連絡で示されていた、2027年国際園芸博覧会関係者の介護保険制度上の取扱いについて、自治体等での事務処理の円滑化を図る観点から、追加のQ&Aを示したものです。
対象となるのは、「特定活動」の在留資格で入国・在留する者のうち、2027年国際園芸博覧会に係る事業に従事する活動のために日本に滞在する者と、その配偶者又は子です。
ここでいう「特定活動」は、一般的な特定活動全般ではなく、令和7年法務省告示第94号により、2027年国際園芸博覧会に係る事業に従事する活動のために在留する者等として位置付けられたものです。
今回のポイントは、一定の場合に被保険者に該当しない取扱いが示されたこと
今回の通知では、2027年国際園芸博覧会に係る特定活動の在留資格者等について、一定の意向確認書の提出状況に該当する場合には、介護保険の被保険者に該当しない取扱いが示されています。
具体的には、次の2つの類型です。
1つ目は、国民健康保険又は後期高齢者医療制度へ加入を希望しない旨の意向確認書を提出した者です。
この場合、対象者は、当該博覧会に係る事業に従事する活動を前提として、当該活動期間に限って日本に入国し滞在する者であることから、市町村の住民基本台帳に登録された場合であっても、介護保険における住所となる「生活の本拠」が当該市町村にあるとは言えないとされています。
そのため、介護保険法における第1号被保険者及び第2号被保険者に該当しないものと解することが適当とされています。
2つ目は、国民健康保険又は後期高齢者医療制度への加入を希望する旨の意向確認書を提出しなかった者です。
今回追加されたQ&Aでは、この場合について、市町村等の保険者が、介護保険の被保険者に該当しないとみなして差し支えないとされています。
前提となる考え方は「生活の本拠」が市町村にあるか
今回の通知で重要なのは、介護保険の被保険者該当性を、住民基本台帳への登録だけで機械的に判断していない点です。
原文では、介護保険における住所となる「生活の本拠」について、客観的な居住の事実を基礎とし、そこに居住者本人の主観的な居住意思を総合して決定するという考え方が示されています。
2027年国際園芸博覧会関係者の場合、当該博覧会に係る事業に従事する活動を前提として、活動期間に限って日本に滞在する者であるため、市町村の住民基本台帳に登録されたとしても、生活の本拠が当該市町村にあるとは言えないと整理されています。
この考え方を踏まえ、今回の対象者については、介護保険法上の第1号被保険者及び第2号被保険者に該当しないものと解することが適当とされています。
外国人住民全般の取扱いではない
今回の通知は、外国人住民全体について、介護保険の加入判断を変更するものではありません。
対象は、あくまで2027年国際園芸博覧会に係る事業に従事する活動のために日本に滞在する「特定活動」の在留資格者等です。
そのため、外国人介護職、留学生、技能実習、特定技能、家族滞在など、他の在留資格の方について、今回のQ&Aをそのまま当てはめることはできません。
既存の外国人住民に関する介護保険上の取扱いは、従前の事務連絡等を踏まえて判断する必要があります。
市町村等の保険者が確認すべき事務処理上のポイント
今回の通知は、主に市町村等の保険者における資格管理事務に関わる内容です。
実務上は、次の点を確認する必要があります。
- 対象者が2027年国際園芸博覧会に係る特定活動の在留資格者等に該当するか
- 対象者が本人、その配偶者又は子に該当するか
- 国民健康保険又は後期高齢者医療制度に関する意向確認書の提出状況
- 「生活の本拠」が当該市町村にあるといえるか
- 従前の外国人住民に関する介護保険上の取扱いとの整合性
特に、今回のQ&Aでは、意向確認書の提出状況が重要な確認点になります。
住民基本台帳への登録だけで判断しない
今回の通知では、市町村の住民基本台帳に登録された場合であっても、介護保険における住所となる「生活の本拠」が当該市町村にあるとは言えない場合があることが示されています。
したがって、介護保険の被保険者該当性を判断する際には、住民基本台帳への登録の有無だけでなく、滞在の目的、滞在期間、本人の居住意思、生活の本拠の有無を踏まえて確認することが必要です。
今回の通知は、主としてこの「生活の本拠」の考え方を軸に、2027年国際園芸博覧会関係者の被保険者資格を整理したものといえます。
まとめ
介護保険最新情報Vol.1500の要点は、次のとおりです。
- 令和8年4月30日付で、外国人住民の介護保険上の取扱いに関する追加Q&Aが示された
- 対象は、2027年国際園芸博覧会に係る事業に従事する「特定活動」の在留資格者等
- 対象者の配偶者又は子も含まれる
- 国民健康保険又は後期高齢者医療制度へ加入を希望しない旨の意向確認書を提出した者は、第1号被保険者及び第2号被保険者に該当しないものと解することが適当とされた
- 国民健康保険又は後期高齢者医療制度への加入を希望する旨の意向確認書を提出しなかった者については、被保険者に該当しないとみなして差し支えないとされた
- 判断の背景には、介護保険における住所である「生活の本拠」が当該市町村にあるとは言えない、という考え方がある
- 外国人住民全般ではなく、2027年国際園芸博覧会関係者に関する補足的な取扱いとして理解する必要がある
今回の通知は、市町村等の保険者が、2027年国際園芸博覧会関係者の介護保険資格を判断する際の事務処理を円滑にするためのものです。介護保険の被保険者資格は、在留資格や住民基本台帳の登録だけで判断するのではなく、通知に示された対象者の範囲、意向確認書の提出状況、「生活の本拠」の考え方を踏まえて確認することが重要です。
※ご確認いただきたい点
本記事は、厚生労働省が公表した介護保険最新情報Vol.1500の原文(※)に沿って、実務者向けに要点を整理したものです。
できる限り正確を期して記載していますが、実際の運用判断にあたっては、必ず厚生労働省の原通知・関係告示・最新の疑義解釈等の一次情報をご確認ください。
とくに、厚労省通知や医療関係の情報は、通知本文の文脈や関連する告示・算定ルールをあわせて確認することが重要です。
本記事は実務理解を助けるための参考情報であり、最終的な判断は必ず元情報に基づいて行っていただくことをおすすめします。
関連リンク(※出典)
■介護保険最新情報vol.1500(介護保険制度の被保険者となる外国人住民の取扱いに関するQ&Aについて(その2))(令和8年4月30日厚生労働省老健局介護保険計画課事務連絡)
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