厚生労働省老健局は、令和8年5月8日付で、介護保険最新情報Vol.1502を発出しました。
今回の内容は、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準……等の一部改正について」及び当該通知の発出に伴うQ&Aです。
第255回社会保障審議会介護給付費分科会で報告された、令和8年度診療報酬改定を踏まえた協力医療機関連携加算に係る要件変更と、やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱いが示されています。
なお、今回の改正後の取扱いは、令和8年6月の算定分から適用されます。実務上は、適用開始時期を誤らないよう確認が必要です。
1. 今回の主な改正ポイント
今回の通知で押さえておきたいポイントは、大きく2つです。
1つ目は、協力医療機関連携加算における「会議を定期的に開催」の要件変更です。協力医療機関連携加算の対象となる居住系サービス・施設系サービスにおいて、協力医療機関との会議開催頻度について新たな整理が示されています。
2つ目は、突発的で想定が困難な事象により、一定の範囲で人員基準を下回った場合に、減算の適用を猶予できる特例です。通所系と短期入所・施設系等では、対象となる人員欠如の範囲や規定の立て付けが異なる点に注意が必要です。
ただし、この特例は、単に「人員が不足した場合」に自動的に認められるものではありません。突発的で想定が困難な事象によるやむを得ない事情、職員確保の取組、所定様式による報告、有効な求人票の添付など、複数の条件を確認する必要があります。
2. 協力医療機関連携加算では、会議開催要件が見直される
協力医療機関連携加算については、「会議を定期的に開催」する要件が見直されています。
改正後は、協力医療機関との会議について、次のいずれかに該当することが求められます。
- 電子的システムにより、協力医療機関が入居者・入所者の情報を随時確認できる体制が確保されている場合は、年1回以上開催すること
- それ以外の場合は、年3回以上開催すること
- ただし、入院又は往診に関する一定の実績がある場合には、年1回以上の開催で差し支えない場合があること
原文では、年3回以上開催する場合について、入院の必要性が認められた入居者・入所者が協力医療機関で年2件以上入院した場合、又は、往診の必要性が認められた入居者・入所者に協力医療機関が年2件以上往診を実施した場合には、協力医療機関との会議開催を年1回以上とすることで差し支えないとされています。
ただし、この場合も、入退院又は往診に際して、協力医療機関の職員と、入居者・入所者の急変時の対応方針や診療、入院、往診依頼時の連絡方法等について、適切な情報共有が行われていることが求められます。
したがって、今回の見直しは、単に「会議回数が減った」という話ではありません。協力医療機関が必要な情報を随時確認できる体制や、入退院・往診時の情報共有が実際に機能していることが重要です。
3. 「随時確認できる体制」とは何か
Q&Aでは、協力医療機関が入居者・入所者の情報を随時確認できる体制について、具体例が示されています。
例として挙げられているのは、都道府県が構築する地域医療介護総合確保基金の 「ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備」事業を活用した、**地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)**への参加です。
そのうえで、介護保険施設等の医師等が記録した入所者の診療情報や急変時の対応方針等について、協力医療機関が地連NWにアクセスして確認できる場合が該当するとされています。
この場合、Q&Aでは、介護保険施設等の医師等が、入所者の診療情報及び急変時の対応方針等について、それぞれの患者について1か月に1回以上記録することとされています。
なお、入所者の状況等に変化がない場合は記録を省略しても差し支えありませんが、その場合も、変化がない旨を文書等により、介護保険施設等から協力医療機関に少なくとも月1回の頻度で提供することとされています。
実務上は、ICT環境を整えるだけでなく、情報が継続的に記録・共有されているかを確認することが重要です。具体的な頻度や記録内容については、Q&A原文も確認しておくと安全です。

4. やむを得ない事情による人員欠如には、減算猶予の特例が設けられる
今回の通知では、突発的で想定が困難な事象により、やむを得ない事情が生じた場合の人員欠如について、特例的な取扱いが示されています。
対象として通知・Q&Aで示されているサービスには、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設、看護小規模多機能型居宅介護等が挙げられています。最終的な対象範囲は、通知本文・Q&Aの原文で確認してください。
Q&Aでは、「突発的で想定が困難な事象によりやむを得ない事情」の例として、職員や家族の突発的な体調不良等により1か月を超える不在が見込まれる場合や、職員の自己都合による急な離職等が複数重なった場合が挙げられています。
ただし、これは人員欠如があれば自動的に減算が猶予されるという取扱いではありません。あくまで、突発的で想定が困難な事象により、一時的に職員確保ができない場合の特例的な取扱いです。
5. 減算猶予を受けるには、職員確保の取組と報告が必要
人員欠如に係る減算猶予は、1年に1回に限り認められる取扱いです。
通所介護・通所リハビリテーション等では、「人員基準上必要とされる員数から1割の範囲内で減少した場合」が特例の対象として示されています。一方、短期入所サービス、特定施設、施設サービス等では、通知上の該当規定に基づいて対象範囲を確認する必要があります。
また、減算猶予を受ける場合には、職員確保の取組と、やむを得ない事情であることを所定の別紙様式に記載し、人員欠如の発生が生じた日の属する月の翌月までに速やかに報告することが求められています。別紙様式には、報告時点で有効な求人票の写しを添付することも示されています。
職員確保の取組としては、公共職業安定所、都道府県ナースセンター、福祉人材センター等の無料職業紹介事業の活用が示されています。また、民間職業紹介事業者を利用する場合には、医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者認定制度による適正認定事業者を含むことが示されています。
さらに、職員が一時的に確保できない場合であっても、一部の職員に過度な業務負担が生じないよう、適正な労働時間管理を行い、体制の整備を図るよう努めることも求められています。
6. 自事業所にホームページ等がない場合の取扱い
Q&Aでは、職員確保の取組として、事業所又は施設が自ら採用情報をウェブサイトで公表する等の取組を積極的に行うことが望ましいとされています。
一方で、自ら管理するホームページ等を有しない場合には、この限りではない旨も示されています。
したがって、ホームページがない事業所でも、公共職業安定所や無料職業紹介事業の活用、有効な求人票の添付、必要な届出様式の提出など、通知で求められている取組を確認することが大切です。
7. 実務者が確認しておきたいポイント
今回のVol.1502を踏まえると、協力医療機関連携加算や人員基準欠如に係る特例の対象となる居住系・施設系サービス、通所系サービス、地域密着型サービス等では、次の点を確認しておく必要があります。
- 令和8年6月の算定分から適用されること
- 協力医療機関連携加算の会議開催頻度が、自施設の情報共有体制に合っているか
- 電子的システムがあるだけでなく、協力医療機関が入居者・入所者の情報を随時確認できる体制になっているか
- 診療情報や急変時対応方針等を継続的に記録・共有できているか
- 年3回以上開催が基本となる場合でも、入院・往診実績等により年1回以上で差し支えない場合の条件を満たしているか
- 人員欠如が生じた場合、それが「突発的で想定が困難な事象によるやむを得ない事情」に該当するか
- 通所系と短期入所・施設系等で、人員欠如に係る特例の対象範囲が異なることを確認しているか
- 減算猶予を受ける場合、所定様式、求人票の写し、報告期限を確認しているか
- 職員確保の取組と、残る職員への過度な業務負担を避ける体制整備ができているか
特に人員欠如の特例は、減算が「なくなる」制度ではなく、一定条件のもとで減算の適用を猶予する取扱いです。該当するかどうかの判断に迷う場合は、通知本文とQ&Aを確認したうえで、指定権者に確認することが安全です。
まとめ
介護保険最新情報Vol.1502では、令和8年度診療報酬改定を踏まえ、協力医療機関連携加算に係る要件変更と、やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱いが示されました。
協力医療機関連携加算では、協力医療機関との会議開催について、電子的システムにより協力医療機関が入居者・入所者の情報を随時確認できる体制が確保されている場合や、入院・往診実績がある場合の取扱いが整理されています。
ただし、単に会議回数だけを見るのではなく、診療情報、急変時の対応方針、入退院時や往診時の連絡方法等が適切に共有されているかを確認することが重要です。
また、人員欠如に係る特例では、突発的で想定が困難な事情により、一時的に人員基準を下回った場合について、一定条件のもとで減算の適用を猶予する取扱いが示されています。ただし、対象となる人員欠如の範囲はサービス種別によって異なるため、通知本文とQ&Aで確認する必要があります。
事業所・施設では、今回の通知をもとに、協力医療機関との情報共有体制と、人員欠如が生じた場合の報告・職員確保の手順をあらためて確認しておくことが大切です。
※ご確認いただきたい点
本記事は、厚生労働省が公表した介護保険最新情報Vol.1501の原文(※)に沿って、実務者向けに要点を整理したものです。
できる限り正確を期して記載していますが、実際の運用判断にあたっては、必ず厚生労働省の原通知・関係告示・最新の疑義解釈等の一次情報をご確認ください。
とくに、厚労省通知や医療関係の情報は、通知本文の文脈や関連する告示・算定ルールをあわせて確認することが重要です。
本記事は実務理解を助けるための参考情報であり、最終的な判断は必ず元情報に基づいて行っていただくことをおすすめします。
関連リンク(※出典)
■介護保険最新情報vol.1502(「「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準 (訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する 基準の制定に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正に ついて」及び当該通知の発出に伴うQ&Aの発出について)(令和8年5月8日厚生労働省老健局高齢者支援課、認知症施策・地域介護推進か、老人保健課事務連絡)(別紙様式[26KB]別ウィンドウで開く)
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