介護現場では、休憩に入ろうとした時にナースコールが鳴ったり、記録や申し送りが残っていたりして、予定どおりに休めないことがあります。
そんな状態が続くと、普段なら流せる一言に反応したり、利用者や同僚への言い方が強くなったりすることがあります。
・休憩が取れない時にイライラが強くなる理由が分かります
・怒りが表に出る前のサインに気づけるようになります
・5分で感情の勢いを弱める方法が分かります
・イライラを次の利用者対応や同僚とのやり取りに持ち込まないコツが分かります
休憩が取れない時ほど、気持ちは切り替わりにくくなります。
この記事では、高まったイライラを次の対応へ持ち込まないための5分アンガーマネジメントを紹介します。
休憩が取れないとイライラを引きずりやすくなる
介護現場では、予定どおりに仕事が進まないことが少なくありません。
利用者の体調変化、排泄介助、ナースコール、家族からの電話、記録、申し送り。いくつもの対応が重なると、休憩に入るタイミングを逃すことがあります。
「あと少しだけ」
「ここまで終わらせてから」
「今、自分が抜けたら周囲が困る」
そう考えて動き続けているうちに、心にも身体にも余裕がなくなってきます。
すると、いつもなら気にならない場面でも、感情が動きやすくなります。
- 同じことを何度も聞かれてイライラする
- 呼ばれただけで「またか」と思う
- 同僚の一言に責められたように感じる
- 利用者への説明を急いでしまう
- さっきの出来事を次の対応まで引きずる
こうした変化が出ると、「自分は短気だ」「介護職なのに情けない」と自分を責めてしまう人もいます。
けれど、休めないまま緊張した状態が続けば、感情に余裕がなくなることはあります。
大切なのは、イライラした自分を責めることより、怒りが表に出る前のサインに気づくことです。
たとえば、
「声が大きくなりそう」
「早くしてほしいと思っている」
「また私ばかり、と感じている」
「相手の言葉にすぐ反応しそう」
こうした変化は、イライラが高まっているサインです。
そのまま次の利用者対応や同僚とのやり取りに入ると、先ほどの感情を持ち越してしまうことがあります。
アンガーマネジメントでは、怒りを消そうとするより、感情が大きくなる前に気づき、次の行動を選び直すことが役立ちます。
なお、労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩が定められています。
ここで紹介する5分間の方法は、法定休憩の代わりではありません。
休憩に入れない状態が繰り返される時は、個人の我慢で抱え込まず、いつ、どの業務が重なっているのかを管理者へ伝えることも必要です。
イライラを次の対応に持ち込まない5分アンガーマネジメント

イライラが強くなった時、すぐに気持ちを完全に落ち着かせるのは難しいものです。
それでも、次の対応へ入る前に数分の区切りを入れると、感情の勢いを弱めやすくなります。
1分目|イライラのサインに気づく
最初の1分は、自分に起きている変化を確認します。
「声が強くなりそう」
「相手を急かしたくなっている」
「またか、と思っている」
「誰かにきつく言いそう」
このようなサインが出ていたら、少し立ち止まります。
怒りは、突然現れたように感じることがあります。
実際には、その前に小さな変化が起きていることが少なくありません。
肩に力が入る。息が浅くなる。表情が硬くなる。言葉が短くなる。
自分の怒りのサインを知っていると、言葉や態度に出る前に気づきやすくなります。
2分目|怒りの奥にある感情を言葉にする
次に、「何にイライラしているのか」を少し具体的にします。
「イライラしている」だけで終わらせず、
「休めなくて疲れている」
「時間がなくて焦っている」
「一人で抱えている感じがする」
「さっきの言葉に傷ついている」
と、自分の状態を言葉にしてみます。
怒りの奥には、焦り、不安、疲れ、悔しさ、孤立感が重なっていることがあります。
そこまで分かると、感情に振り回されにくくなります。
「私は今、怒っている」よりも、「休めなくて余裕がなくなっている」と分かる方が、次に必要な行動を選びやすくなります。
3分目|怒りの勢いを弱める
次の1分は、身体の緊張をゆるめます。
- 一度ゆっくり息を吐く。
- 肩を下げる。
- 手の力を抜く。
これだけで構いません。
手洗いに行く、水を飲む、記録場所へ移動するなど、業務上可能なら少し場所を変える方法もあります。
利用者対応中など、その場を離れられない時は、視線を一度手元に戻し、息をゆっくり吐いてみます。
大きく気分を変えようとしなくて大丈夫です。
怒りの勢いを少し弱める時間をつくることが目的です。
4分目|次に使う言葉を選び直す
イライラしている時は、言葉が短く、強くなりがちです。
「今は無理です」
「さっきも言いましたよね」
「どうして私ばかりなんですか」
そのまま口にすると、相手との関係がこじれることがあります。
数秒だけ間を置いて、次の一言を選び直します。
「今、別の対応中です。終わり次第伺います」
「もう一度、順番に確認しますね」
「今、対応が重なっています。少し手を貸してもらえますか」
長く説明する必要はありません。
今の状況と、次にどうするかが伝わるだけでも、言葉の印象は変わります。
5分目|次の対応を一つだけ決める
最後に、次にすることを一つ決めます。
「まず記録を1件終える」
「先にこの利用者へ説明する」
「管理者へ今の状況を伝える」
頭の中で複数の仕事を抱えたままだと、焦りもイライラも続きやすくなります。
次の一つに絞ることで、感情の流れに区切りをつけやすくなります。
休憩に入れない状態が続いている時は、その事実も伝えます。
たとえば、
「休憩時間にコール対応が続き、まだ休憩に入れていません」
「入浴介助が押していて、記録が3件残っています」
「この対応が続くため、休憩に入る時間を相談したいです」
といった伝え方です。
今の状況・残っている業務・相談したいことを短く伝えると、管理者も対応を検討しやすくなります。
5分取れない時は1分でもよい
毎回5分取れるとは限りません。
そんな時は、
- 今の感情を一言で確認する
- 息をゆっくり吐く
- 肩の力を抜く
- 次に使う言葉を一つ選び直す
- 次にすることを一つ決める
この中から一つだけ選びます。
1分でも、自分の感情に気づく時間があると、イライラの勢いのまま次の対応へ進むのを防ぎやすくなります。
同じように休憩が取れない状態が繰り返される時は、
- いつ休憩に入れなかったのか
- どの業務が重なっていたのか
- どの程度休憩が取れなかったのか
- その後の業務や利用者対応にどのような影響があったのか
を管理者へ伝えます。
事実が分かれば、休憩の取り方や応援の入り方、業務の重なりを検討しやすくなります。
アンガーマネジメントは、イライラを我慢し続けるためのものではありません。
自分の感情に早めに気づき、言葉や行動を選び直し、必要な時は状況を伝えるための方法です。
まとめ
休憩が取れない状態が続くと、疲れや焦りが重なり、普段なら流せる一言にも反応しやすくなります。
そんな時は、
- 怒りのサインに気づく。
- 感情を言葉にする。
- 怒りの勢いを弱める。
- 次の一言を選び直す。
- 次にすることを一つ決める。
この5つを思い出してみてください。毎回5分取れなくても構いません。
一つでも試すことで、先ほどのイライラを次の利用者対応や同僚とのやり取りに持ち込むのを防ぎやすくなります。
そして、休憩に入れない状態が繰り返される時は、一人で抱え込まず、いつ、どの業務が重なっているのかを管理者へ伝えてください。
自分の感情に気づくことは、利用者や同僚との関係を守り、自分自身を守ることにもつながります。
【次回の内容】
次回は、家族対応で疲れる介護職へ|不安を受け止める説明の順番とコツを取り上げます。
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