令和8年度 東京都老人保健施設協会様の研修として、
「老人保健施設におけるコーチングと新人教育 ― 若手職員の成長と定着を支える関わり方」
をテーマに登壇しました。
本研修は、老人保健施設における新人教育・若手職員育成をテーマに、管理職・リーダー職の皆様が、日々のOJTや指導場面を振り返りながら学ぶ内容として実施しました。
新人職員の育成では、介護技術を教えるだけでなく、報連相、接遇、利用者対応、多職種連携、チームケアの考え方など、現場に適応するための支援が欠かせません。
一方で、指導する側にも悩みがあります。
- 「どう伝えればよいか」
- 「どこまで教えるべきか」
- 「自分で考えて動いてほしい場面を、どのように支えればよいか」
こうした老健現場で起こりやすい課題を踏まえ、今回の研修では、新人本人・指導者・職場環境の3つの視点から新人教育を整理しました。
研修概要
今回の研修は、集合研修・120分で実施しました。
研修では、若手職員の特徴を一面的に決めつけるのではなく、世代的な傾向と個別性を分けて捉え、育成支援につなげる視点を大切にしました。
主な内容は、以下の通りです。
- 若手職員の特徴を踏まえた新人教育の基本
- 老健におけるOJTと育成体制の課題
- ティーチング・コーチング・フィードバックの使い分け
- 新人職員がつまずきやすい場面の整理
- 管理職として新人本人と指導者を支える関わり方
新人教育は、現場の指導者任せにすると、教え方や判断基準が属人化しやすくなります。
だからこそ、管理職が育成方針を整え、指導者を支えながら、職場全体で育てる視点を持つことが大切です。
研修プログラム
研修は、講義とワークを組み合わせた120分構成で実施しました。
前半では、若手職員の特徴や、新人教育が難しくなりやすい背景を確認しました。
後半では、ティーチング・コーチング・フィードバックを活かしながら、新人職員への関わり方と指導者支援のあり方を具体的に検討しました。
| 項目 | 内容 | 研修で扱った主な視点 |
|---|---|---|
| オリエンテーション | 研修のねらい共有 | 新人教育に関する現場の悩みを共有し、管理職・リーダー職として何を見直すかを確認しました。 |
| 講義① | 若手職員の特徴を踏まえた新人教育の基本 | 世代的な傾向と個別性、老健におけるOJT、早期戦力化への期待、職場適応のつまずきなどを整理しました。 |
| ワーク① | 自施設の新人教育・若手育成における課題整理 | 新人本人、指導者、職場環境の3つの視点から、自施設で起こりやすい育成課題を整理しました。 |
| 講義② | コーチングとフィードバックを活かした関わり方 | ティーチング・コーチング・フィードバックの使い分け、承認、行動改善につながる伝え方を確認しました。 |
| ワーク② | 担当範囲や優先順位を確認する新人職員への関わり | 新人の行動背景を見立て、本人支援・指導者支援・育成体制の整え方を検討しました。 |
| まとめ・振り返り | 明日からの実践整理 | 自施設で見直したい声かけ、報連相の基準、振り返りの機会など、明日から取り組める一歩を確認しました。 |
老健では、日々のケア、記録、多職種連携、利用者対応が同時に進みます。
そのため、新人職員に早期戦力化を期待しやすく、十分な説明や振り返りの時間を確保しにくい場面もあります。
今回の研修では、新人職員の行動を「協調性がない」「自分から動かない」と一面的に捉えるのではなく、職場適応の途中にあること、判断基準がまだ十分に形成されていないこと、失敗への不安があることなど、背景を丁寧に見立てる視点を大切にしました。
研修で大切にしたこと
今回の研修で大切にしたのは、単に「若手職員への接し方」を学ぶことではありません。
管理職やリーダー職が、新人本人への関わりと、指導者を支える関わりの両方を考えることです。
新人教育がうまくいかない時、本人の意欲や性格だけに原因を求めると、育成は行き詰まりやすくなります。たとえば、次のような点を管理職の立場から確認する必要があります。
- 報連相の基準は共有されているか
- 教える順序や到達目標は明確か
- 指導者が一人で抱え込んでいないか
- 新人が相談しやすい雰囲気があるか
- 管理職が育成の進捗を把握しているか
新人教育では、必要なことを具体的に教えるティーチング、本人の考えや迷いを引き出すコーチング、行動を振り返って次につなげるフィードバックを、場面に応じて使い分けることが求められます。
特に入職初期は、基本手順、安全確認、報連相、接遇、利用者対応など、明確に教えるべき内容があります。
そのうえで、経験を積んだ場面では、本人がどこで迷ったのか、次にどう動けそうかを確認し、成長につながる関わりへつなげていきます。
こうした関わりを管理職が支えることで、新人職員が安心して学び、指導者も落ち着いて関われる育成環境につながります。
おわりに
新人教育は、介護現場にとって重要な人材育成の課題です。特に老人保健施設では、在宅復帰支援、医療職との連携、リハビリテーション職との協働、日々の生活支援が重なります。
そのため、OJTの質や指導者支援のあり方は、職員の定着だけでなく、職場全体のケアの質にも関わります。
今回の研修が、各施設における新人教育、若手職員の定着支援、指導者支援を見直すきっかけとなれば幸いです。
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