この記事では、2026年度のケアマネジャー試験合格を目指す方に向けて、2025年度に実施された第28回介護支援専門員実務研修受講試験のうち、介護支援分野25問について、問題と解答解説を掲載します。
介護支援分野は、ケアマネ試験の土台となる重要分野です。介護保険制度、要介護認定、保険給付、地域支援事業、ケアマネジメントの流れなど、実務にも直結する内容が多く出題されます。
解答解説は、それぞれの問題の下のタブをクリックしてご確認ください。
■介護支援分野
問題1
日本の社会保険制度について適切なものはどれか。2つ選べ。
1 営利企業が保険者となる。
2 公的扶助と比較して、救貧的機能が強い。
3 制度への加入手続をとらない者や保険料を納付しない者は、給付を受けられないことがある。
4 税方式と比較して、給付と負担の関係が明確である。
5 介護保険は、職域保険に位置付けられる。
〖解答〗3・4
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
日本の社会保険制度では、保険者は国、地方公共団体、健康保険組合、全国健康保険協会など、公的性格を持つ主体が担います。営利を目的とする民間企業が保険者となる制度ではありません。
選択肢2:× 不適切
救貧的機能が強いのは、生活困窮者を対象に最低限度の生活を保障する公的扶助です。社会保険は、保険料を拠出し、疾病、老齢、失業、介護などの生活上のリスクに備える制度です。
選択肢3:○ 適切
社会保険は、原則として制度に加入し、保険料を負担することで給付を受ける仕組みです。そのため、加入手続をしていない場合や保険料を納付していない場合には、給付が制限されたり、受けられなかったりすることがあります。
選択肢4:○ 適切
社会保険は、保険料という負担と、保険事故が生じた場合の給付が結びついている制度です。税を財源として広く給付を行う方式と比べると、誰がどのように負担し、どのような給付を受けるのかという関係が比較的明確です。
選択肢5:× 不適切
介護保険は、市町村および特別区を保険者とする制度であり、職場単位で加入する職域保険ではありません。職域保険の例としては、健康保険や厚生年金保険などが挙げられます。介護保険は、地域を基盤とした社会保険制度として理解しておくとよいでしょう。
この問題のポイント
この問題では、社会保険制度の基本的な性格が問われています。
社会保険は、保険料を負担し、一定の生活上のリスクに備える仕組みです。公的扶助、税方式、職域保険との違いを整理しておくと、類似問題にも対応しやすくなります。
問題2
共生社会の実現を推進するための認知症基本法について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 すべての認知症の人が、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができるようにすることは、基本理念の一つである。
2 良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが切れ目なく提供されることは、基本理念の一つである。
3 地方公共団体は、その地域の状況に応じた認知症施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。
4 都道府県は、都道府県認知症施策推進計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、その都道府県内の市町村の意見を聴かなければならない。
5 市町村認知症施策推進計画は、地域医療構想と一体のものとして策定されなければならない。
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
共生社会の実現を推進するための認知症基本法では、認知症の人が尊厳を保持しつつ、自らの意思によって日常生活や社会生活を営むことができるようにすることが、基本理念として示されています。認知症の人を支援の対象として見るだけでなく、本人の意思や権利を尊重する視点が重要です。
選択肢2:○ 適切
認知症の人に対して、良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、切れ目なく提供されることも基本理念の一つです。認知症の支援では、診断、治療、介護、生活支援、家族支援などが分断されないよう、医療と福祉が連携して支えることが求められます。
選択肢3:○ 適切
地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえながら、その地域の状況に応じた認知症施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有します。地域ごとに人口構成、医療・介護資源、相談支援体制などが異なるため、地域の実情に応じた施策の推進が大切になります。
選択肢4:× 不適切
都道府県認知症施策推進計画の策定に当たっては、認知症の人やその家族等の意見を聴くよう努めることが重要とされています。しかし、この選択肢のように「都道府県内の市町村の意見を聴かなければならない」と義務付ける内容ではありません。したがって不適切です。
選択肢5:× 不適切
市町村認知症施策推進計画は、市町村における認知症施策を計画的に進めるためのものです。地域医療構想と一体のものとして策定されなければならない、という規定ではありません。地域医療構想は主に医療提供体制の将来像に関する仕組みであり、市町村認知症施策推進計画とは位置づけが異なります。
この問題のポイント
この問題では、共生社会の実現を推進するための認知症基本法の基本理念と自治体の責務が問われています。
認知症施策では、本人の意思の尊重、切れ目のない医療・福祉サービス、地域の実情に応じた施策推進が重要です。計画策定に関する問題では、「義務なのか」「努力義務なのか」「どの計画と関係するのか」を丁寧に整理しておくと理解しやすくなります。
問題3
介護保険法第4条に定める「国民の努力及び義務」として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 高齢者の福祉の増進のため、その生活を支える事業を営むよう努める。
2 自ら要介護状態となることを予防するよう努める。
3 要介護状態となった場合においても、その有する能力の維持向上に努める。
4 介護保険事業に要する費用を公平に負担する。
5 認知症に関する知識の普及及び啓発に努める。
〖解答〗2・3・4
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
介護保険法第4条は、国民に対して、要介護状態となることの予防、要介護状態となった場合の能力の維持向上、介護保険事業に要する費用の公平な負担を定めています。高齢者の生活を支える事業を営むよう努めることは、同条に定める国民の努力及び義務ではありません。
選択肢2:○ 適切
介護保険法第4条では、国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚し、常に健康の保持増進に努めるものとされています。介護予防や健康づくりに主体的に取り組むことが、国民の努力として位置づけられています。
選択肢3:○ 適切
介護保険法第4条では、国民は、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとされています。要介護状態になった後も、残存能力の維持・向上を図る視点が求められます。
選択肢4:○ 適切
介護保険法第4条では、国民は、共同連帯の理念に基づき、介護保険事業に要する費用を公平に負担するものとされています。介護保険制度は、保険料と公費を財源とする社会保険制度であり、費用負担の公平性が重要な考え方になります。
選択肢5:× 不適切
認知症に関する知識の普及及び啓発は、認知症施策として重要な内容ですが、介護保険法第4条に定める「国民の努力及び義務」として掲げられているものではありません。介護保険法第4条では、介護予防、能力の維持向上、費用の公平な負担を押さえることが大切です。
この問題のポイント
この問題では、介護保険法第4条に定める国民の努力及び義務が問われています。
重要なのは、①要介護状態の予防、②要介護状態となった場合の能力の維持向上、③介護保険事業に要する費用の公平な負担です。条文問題では、似たような福祉理念や認知症施策の表現に惑わされず、法律上どこに定められている内容かを確認することが大切です。
問題4
介護保険に関する市町村の事務について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)を定めなければならない。
2 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(基本指針)を定めなければならない。
3 介護保険に関する収入及び支出について、特別会計を設けなければならない。
4 介護報酬の審査及び支払いを国民健康保険団体連合会に委託することができる。
5 普通徴収の方法によって徴収する保険料の納期は、条例で定める。
〖解答〗3・4・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針、いわゆる総合確保方針は、国が定めるものです。市町村が定めなければならないものではありません。市町村は、介護保険の保険者として、介護保険事業計画の策定や保険給付、保険料徴収などを担います。
選択肢2:× 不適切
介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針、いわゆる基本指針は、厚生労働大臣が定めるものです。市町村は、この基本指針に即して市町村介護保険事業計画を定めます。したがって、市町村が基本指針そのものを定めるわけではありません。
選択肢3:○ 適切
市町村は、介護保険に関する収入及び支出について、一般会計とは区分して特別会計を設けなければなりません。介護保険事業の財源や給付に関する収支を明確に管理するためです。
選択肢4:○ 適切
市町村は、介護報酬の審査及び支払いに関する事務を、国民健康保険団体連合会に委託することができます。介護サービス事業者からの請求内容を審査し、介護報酬を支払う事務は、実務上も国保連が大きな役割を担っています。
選択肢5:○ 適切
普通徴収の方法によって徴収する介護保険料の納期は、市町村の条例で定めます。介護保険では、市町村が保険者として第1号被保険者の保険料を賦課・徴収します。年金から天引きされる特別徴収と、納付書などで納める普通徴収の違いも整理しておくとよいでしょう。
この問題のポイント
この問題では、介護保険における市町村の事務が問われています。
市町村は介護保険の保険者として、特別会計の設置、保険料の賦課・徴収、要介護認定、保険給付、介護保険事業計画の策定などを担います。一方で、総合確保方針や基本指針のように、国が定めるものもあります。「国が定めるもの」「都道府県が担うもの」「市町村が行うもの」を分けて覚えることが大切です。
問題5
介護支援専門員について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 介護支援専門員証の有効期間は、10年である。
2 登録をしている都道府県以外の指定居宅介護支援事業者の業務に従事するときは、登録の移転の申請をすることができる。
3 その業務を行うに当たり、関係者から請求があったときは、介護支援専門員証を提示しなければならない。
4 理由がある場合には、その名義を他人に使用させることができる。
5 登録が消除された場合には、速やかに、介護支援専門員証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。
〖解答〗2・3・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
介護支援専門員証の有効期間は、5年です。10年ではありません。介護支援専門員として実務に従事するためには、有効な介護支援専門員証の交付を受けている必要があります。更新を忘れると、介護支援専門員としての業務に支障が生じるため、有効期間の管理は重要です。
選択肢2:○ 適切
介護支援専門員は、登録している都道府県以外の区域にある指定居宅介護支援事業者などの業務に従事する場合、登録の移転を申請することができます。登録は都道府県単位で管理されるため、勤務先や従事する地域が変わる場合には、登録移転の取扱いを確認する必要があります。
選択肢3:○ 適切
介護支援専門員は、業務を行うに当たり、関係者から請求があったときは、介護支援専門員証を提示しなければなりません。利用者や家族、関係機関に対して、介護支援専門員としての資格を明らかにすることは、専門職としての信頼性にも関わります。
選択肢4:× 不適切
介護支援専門員は、その名義を他人に使用させてはなりません。理由がある場合であっても、名義貸しは認められません。介護支援専門員の登録や専門員証は、本人の資格・登録に基づくものであり、他人に使わせることは制度上許されない行為です。
選択肢5:○ 適切
介護支援専門員の登録が消除された場合には、速やかに、介護支援専門員証を交付を受けた都道府県知事に返納しなければなりません。登録が消除されると、介護支援専門員として業務を行う前提が失われるため、専門員証も返納する必要があります。
この問題のポイント
この問題では、介護支援専門員証、登録移転、提示義務、名義貸しの禁止、返納義務が問われています。
特に覚えておきたいのは、介護支援専門員証の有効期間は5年であること、業務上求められた場合は専門員証を提示すること、名義貸しは認められないことです。介護支援専門員は、資格を持つだけでなく、登録や専門員証の管理を適切に行うことが求められます。
問題6
指定地域密着型サービス事業者について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 市町村長は、事業者の指定をしようとするときは、あらかじめその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 市町村長は、事業者の指定をしたときは、当該事業者の名称などを公示しなければならない。
3 サービスに従事する従業者に係る基準は、市町村の条例で定める。
4 事業者の指定は、毎年更新を受けなければ、その効力を失う。
5 事業者に対する立入検査の権限を持つのは、都道府県知事である。
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
指定地域密着型サービス事業者の指定は、市町村長が行います。市町村長が指定をしようとするときは、あらかじめその旨を都道府県知事に届け出ることとされています。地域密着型サービスは、市町村が地域の実情に応じて整備していくサービスであるため、市町村の役割が大きい点を押さえておきましょう。
選択肢2:○ 適切
市町村長は、指定地域密着型サービス事業者の指定をしたときは、その事業者の名称や所在地、サービスの種類などを公示しなければなりません。利用者や地域の関係者が、指定を受けた事業者を確認できるようにするためです。
選択肢3:○ 適切
指定地域密着型サービスの事業に関する基準のうち、従業者に関する基準は、市町村の条例で定めます。地域密着型サービスは、市町村が指定・指導監督を担うため、条例によって基準を定める点が特徴です。ただし、条例で定める際には、国が示す基準の類型に従う必要があります。
選択肢4:× 不適切
指定地域密着型サービス事業者の指定は、毎年更新ではありません。指定の有効期間は原則として6年であり、更新を受けなければ有効期間の満了により効力を失います。「毎年更新」とする記述が誤りです。
選択肢5:× 不適切
指定地域密着型サービス事業者に対する報告徴収や立入検査などの権限は、原則として指定権者である市町村長が持ちます。都道府県知事ではありません。地域密着型サービスでは、市町村が指定・監督の中心になる点を整理しておくことが大切です。
この問題のポイント
この問題では、指定地域密着型サービス事業者の指定・公示・基準・更新・監督権限が問われています。
地域密着型サービスは、都道府県ではなく市町村が指定・指導監督を担うことが大きな特徴です。指定の有効期間は原則6年であり、毎年更新ではありません。市町村長、都道府県知事、条例の役割を分けて整理しておくと、類似問題にも対応しやすくなります。
特定入所者介護サービス費(補足給付)について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 生活保護受給者は、支給対象者に含まれない。
2 短期入所生活介護は、対象となるサービスではない。
3 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、対象となるサービスではない。
4 食費は、支給対象に含まれる。
5 居住費は、支給対象に含まれる。
〖解答〗4・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
生活保護受給者は、特定入所者介護サービス費の支給対象に含まれます。特定入所者介護サービス費は、所得や資産が一定以下の人について、施設サービスや短期入所サービスを利用する際の食費・居住費の負担を軽減する仕組みです。生活保護受給者を一律に対象外とするものではありません。
選択肢2:× 不適切
短期入所生活介護は、特定入所者介護サービス費の対象となるサービスに含まれます。施設入所だけでなく、ショートステイを利用する場合にも、一定の要件を満たせば食費・滞在費の負担軽減を受けることができます。
選択肢3:× 不適切
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護も、特定入所者介護サービス費の対象となるサービスに含まれます。地域密着型であっても、入所系サービスとして食費・居住費の負担軽減の対象となる点を押さえておきましょう。
選択肢4:○ 適切
食費は、特定入所者介護サービス費の支給対象に含まれます。所得や資産の状況に応じて負担限度額が定められ、基準費用額との差額が給付される仕組みです。施設サービスや短期入所サービスを利用する低所得者の負担軽減を目的としています。
選択肢5:○ 適切
居住費は、特定入所者介護サービス費の支給対象に含まれます。短期入所の場合は「滞在費」として扱われます。食費と居住費・滞在費は、補足給付の基本的な対象として整理しておくことが大切です。
この問題のポイント
この問題では、特定入所者介護サービス費(補足給付)の対象者・対象サービス・対象費用が問われています。
特定入所者介護サービス費は、低所得の要介護者が施設サービスや短期入所サービスを利用する際の、食費・居住費(滞在費)の負担を軽減する制度です。対象外を問う選択肢に惑わされないよう、対象となる費用とサービスを整理しておきましょう。
問題8
介護保険法に定める都道府県介護保険事業支援計画について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 都道府県高齢者居住安定確保計画との調和が保たれたものでなければならない。
2 医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
3 地域支援事業の量の見込みを定めるものとする。
4 介護支援専門員の確保及び資質の向上に資する事業に関する事項について定めるよう努めるものとする。
5 日常生活圏域ごとの認知症対応型共同生活介護に係る必要利用定員総数を定めるものとする。
〖解答〗1・2・4
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
都道府県介護保険事業支援計画は、都道府県高齢者居住安定確保計画との調和が保たれたものでなければなりません。高齢者の住まいの確保と介護サービスの基盤整備は密接に関係するため、介護保険事業の支援計画も、高齢者の住まいに関する計画と整合することが求められます。
選択肢2:○ 適切
都道府県介護保険事業支援計画は、医療計画との整合性の確保が図られたものでなければなりません。介護サービスの整備は、在宅医療、病床機能、退院支援、医療と介護の連携などと関係します。そのため、都道府県が定める医療計画とのつながりを意識して策定されます。
選択肢3:× 不適切
地域支援事業の量の見込みを定めるのは、主に市町村介護保険事業計画に関する内容です。地域支援事業は、市町村が地域の実情に応じて実施する事業であり、都道府県介護保険事業支援計画の記載事項として問われている本選択肢は不適切です。
選択肢4:○ 適切
都道府県介護保険事業支援計画では、介護支援専門員その他の介護給付等対象サービスに従事する者の確保や資質向上に資する事業に関する事項について、定めるよう努めるものとされています。都道府県は、広域的な立場から人材確保や研修体制の整備にも関わります。
選択肢5:× 不適切
日常生活圏域ごとの認知症対応型共同生活介護に係る必要利用定員総数を定めるのは、市町村介護保険事業計画に関する内容です。日常生活圏域は、市町村が地域の実情に応じて設定する単位であり、地域密着型サービスの必要量を見込む際に重要になります。
この問題のポイント
この問題では、都道府県介護保険事業支援計画の位置づけと記載事項が問われています。
都道府県の計画は、市町村の介護保険事業を広域的に支援する計画であり、医療計画や高齢者の住まいに関する計画との整合・調和が重視されます。一方で、地域支援事業の量の見込みや、日常生活圏域ごとの地域密着型サービスの必要利用定員総数は、市町村介護保険事業計画に関する内容として整理しておくと理解しやすくなります。
問題9
介護保険における第1号被保険者の保険料について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 被保険者は、普通徴収と特別徴収のいずれかを選択することができる。
2 保険料率は、おおむね3年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。
3 所得段階別定額保険料である。
4 市町村が条例で定める。
5 生活保護受給者の場合は、免除される。
〖解答〗2・3・4
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
第1号被保険者の保険料の徴収方法には、年金から天引きされる特別徴収と、納付書や口座振替などで納める普通徴収があります。ただし、被保険者が自由にいずれかを選択できるものではありません。年金の受給状況など、法令上の要件に応じて徴収方法が決まります。
選択肢2:○ 適切
第1号被保険者の保険料率は、おおむね3年を通じて財政の均衡を保つことができるように定められます。介護保険事業計画が3年を1期として策定されるため、保険料もその計画期間における給付費の見込みなどを踏まえて設定されます。
選択肢3:○ 適切
第1号被保険者の保険料は、所得段階別定額保険料です。所得の状況に応じて段階が設定され、それぞれの段階ごとに定額の保険料が定められます。所得に一定率を乗じる仕組みではなく、所得段階に応じた定額方式である点を押さえておきましょう。
選択肢4:○ 適切
第1号被保険者の保険料は、市町村が条例で定めます。市町村は介護保険の保険者であり、介護サービスの見込み量や給付費、地域の実情などを踏まえて、保険料率や所得段階などを定めます。
選択肢5:× 不適切
生活保護受給者であっても、第1号被保険者の保険料が当然に免除されるわけではありません。生活保護受給者の介護保険料は、生活扶助に介護保険料相当額が加算されるなどの形で対応されます。したがって、「免除される」とする記述は不適切です。
この問題のポイント
この問題では、第1号被保険者の介護保険料の仕組みが問われています。
第1号被保険者の保険料は、市町村が条例で定める所得段階別定額保険料であり、介護保険事業計画の期間に合わせて、おおむね3年を通じた財政均衡を考えて設定されます。普通徴収と特別徴収は、被保険者が自由に選ぶものではない点も重要です。
問題10
介護保険の第2号被保険者について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 被保険者資格の取得には、市町村への届出が必要となる。
2 保険給付の対象者は、特定疾病を原因として要支援・要介護状態にある者である。
3 児童福祉法に規定する医療型障害児入所施設の入所者は、被保険者となる。
4 市町村の区域内に住所を有する者の保険料は、介護保険の保険者である当該市町村が徴収する。
5 医療保険加入者でなくなった日から、被保険者資格を喪失する。
〖解答〗2・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。被保険者資格は、医療保険に加入していることなどによって生じるため、市町村への届出によって資格を取得するものではありません。第1号被保険者と第2号被保険者の資格取得の考え方を分けて整理しておきましょう。
選択肢2:○ 適切
第2号被保険者が介護保険の保険給付を受けるためには、要支援・要介護状態になった原因が特定疾病によるものである必要があります。加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病として定められた特定疾病に該当するかどうかが、第2号被保険者の給付対象を判断する重要なポイントです。
選択肢3:× 不適切
児童福祉法に規定する医療型障害児入所施設の入所者は、介護保険の適用除外施設に入所している者に該当し、介護保険の被保険者とはなりません。介護保険では、一定の障害者支援施設や医療型障害児入所施設などの入所者について、被保険者から除外される扱いがあります。
選択肢4:× 不適切
第2号被保険者の介護保険料は、加入している医療保険者が医療保険料とあわせて徴収します。市町村が直接徴収するのは、原則として第1号被保険者の保険料です。第2号被保険者は、市町村の区域内に住所があっても、市町村が直接保険料を徴収する仕組みではありません。
選択肢5:○ 適切
第2号被保険者は、医療保険加入者であることが前提です。そのため、40歳以上65歳未満であっても、医療保険加入者でなくなった日から第2号被保険者の資格を喪失します。年齢だけでなく、医療保険加入の有無が資格要件になる点を押さえておくことが大切です。
この問題のポイント
この問題では、第2号被保険者の資格要件、給付対象、保険料徴収、適用除外が問われています。
第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者であり、介護保険給付を受けるには、特定疾病を原因として要支援・要介護状態になる必要があります。また、保険料は市町村ではなく医療保険者が徴収する点も重要です。
問題11
介護保険の財政安定化基金について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 都道府県が設置する。
2 市町村からの財政安定化基金拠出金の財源は、第1号被保険者の保険料である。
3 財源には、第2号被保険者の保険料も充当する。
4 市町村は、介護保険財政に不足が見込まれる場合に活用することができる。
5 財政安定化基金から貸付けを受けた市町村は、貸付けを受けた年度内に返済しなければならない。
〖解答〗1・2・4
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
介護保険の財政安定化基金は、都道府県に設置されます。市町村の介護保険財政に不足が生じる場合などに備え、介護保険財政の安定を図るための仕組みです。
選択肢2:○ 適切
市町村が負担する財政安定化基金拠出金の財源は、第1号被保険者の保険料です。第1号被保険者の保険料は、市町村の介護保険財政を支える重要な財源であり、基金への拠出にも用いられます。
選択肢3:× 不適切
財政安定化基金の財源に、第2号被保険者の保険料は充当されません。基金の財源は、国、都道府県、市町村の拠出によって構成され、市町村拠出分は第1号被保険者の保険料を財源とします。第2号被保険者の保険料を財源とするものではありません。
選択肢4:○ 適切
市町村は、介護保険財政に不足が見込まれる場合に、財政安定化基金を活用することができます。予定していた保険料収入が不足する場合や、給付費が見込みを上回る場合など、市町村の介護保険財政を支える役割があります。
選択肢5:× 不適切
財政安定化基金から貸付けを受けた市町村が、貸付けを受けた年度内に返済しなければならないわけではありません。返済は、次期以降の介護保険事業計画期間などを踏まえて行われます。「年度内に返済」とする記述が誤りです。
この問題のポイント
この問題では、財政安定化基金の設置主体、財源、活用場面が問われています。
財政安定化基金は都道府県に設置され、市町村の介護保険財政に不足が見込まれる場合などに活用されます。市町村拠出分の財源は第1号被保険者の保険料であり、第2号被保険者の保険料ではない点を押さえておきましょう。
問題12
介護予防・日常生活支援総合事業の一般介護予防事業に含まれるものとして正しいものはどれか。2つ選べ。
1 権利擁護業務
2 介護予防把握事業
3 認知症総合支援事業
4 介護給付等費用適正化事業
5 地域リハビリテーション活動支援事業
〖解答〗2・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
権利擁護業務は、地域包括支援センターが担う包括的支援事業の一つです。高齢者虐待への対応、成年後見制度の活用支援、消費者被害の防止などに関わる業務であり、一般介護予防事業には含まれません。
選択肢2:○ 適切
介護予防把握事業は、一般介護予防事業に含まれます。地域の高齢者の状況を把握し、閉じこもりや心身機能の低下など、支援が必要となる可能性のある人を早期に見つけ、介護予防の取組につなげる事業です。
選択肢3:× 不適切
認知症総合支援事業は、包括的支援事業に位置付けられる事業です。認知症初期集中支援チームや認知症地域支援推進員などを通じて、認知症の人と家族を地域で支える体制づくりを進めます。一般介護予防事業には含まれません。
選択肢4:× 不適切
介護給付等費用適正化事業は、任意事業に含まれます。介護給付が適切に行われているかを確認し、給付の適正化を図る事業です。一般介護予防事業ではなく、地域支援事業の中でも任意事業として整理されます。
選択肢5:○ 適切
地域リハビリテーション活動支援事業は、一般介護予防事業に含まれます。リハビリテーション専門職等が、地域ケア会議、通いの場、住民主体の介護予防活動などに関わり、地域全体の介護予防の取組を支援する事業です。
この問題のポイント
この問題では、介護予防・日常生活支援総合事業の一般介護予防事業に含まれる事業が問われています。
一般介護予防事業には、介護予防把握事業、介護予防普及啓発事業、地域介護予防活動支援事業、一般介護予防事業評価事業、地域リハビリテーション活動支援事業があります。権利擁護業務や認知症総合支援事業は包括的支援事業、介護給付等費用適正化事業は任意事業として整理しておくと、区別しやすくなります。
問題13
介護サービス情報の公表制度における居宅介護支援に係る公表項目として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 要介護認定等の申請に係る援助の取組の状況
2 介護と看護の連携の状況
3 サービス担当者会議の開催等の状況
4 ターミナルケアの質の確保のための取組の状況
5 公正・中立な居宅介護支援のための取組の状況
〖解答〗1・3・5
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
要介護認定等の申請に係る援助の取組の状況は、居宅介護支援に係る公表項目に含まれます。居宅介護支援では、利用者が必要な介護サービスを受けられるよう、要介護認定や要支援認定の申請に関する支援を行うことがあります。申請支援は、ケアマネジャーの基本的な役割の一つです。
選択肢2:× 不適切
介護と看護の連携の状況は、居宅介護支援の公表項目として問われている内容ではありません。医療・看護との連携は居宅介護支援の実務上重要ですが、この選択肢の表現は、居宅介護支援に係る公表項目としては適切ではありません。
選択肢3:○ 適切
サービス担当者会議の開催等の状況は、居宅介護支援に係る公表項目に含まれます。サービス担当者会議は、利用者の状態や生活課題、サービス内容を関係者で共有し、居宅サービス計画の作成・変更に反映させる重要な場です。開催状況は、居宅介護支援の実施体制を確認するうえで大切な項目です。
選択肢4:× 不適切
ターミナルケアの質の確保のための取組の状況は、主に看取りや医療的支援を行うサービスで問われやすい内容です。居宅介護支援においても終末期支援に関わることはありますが、この選択肢の表現は、居宅介護支援に係る公表項目としては適切ではありません。
選択肢5:○ 適切
公正・中立な居宅介護支援のための取組の状況は、公表項目に含まれます。居宅介護支援では、特定のサービス事業者に偏らず、利用者の意思や状況に応じて適切なサービス選択を支援することが求められます。そのため、公正・中立性を確保する取組は重要な確認項目です。
この問題のポイント
この問題では、介護サービス情報の公表制度における居宅介護支援の公表項目が問われています。
居宅介護支援では、要介護認定等の申請支援、サービス担当者会議の開催、公正・中立な支援など、ケアマネジメントの基本に関わる項目が重要です。実務上大切な内容であっても、該当サービスの公表項目として定められているかどうかを区別して確認することが大切です。
問題14
介護保険審査会について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 都道府県に設置される。
2 審査請求は、口頭ではなく、文書で行わなければならない。
3 審査を行う場合、原処分をした市町村及びその他の利害関係人に通知しなければならない。
4 必要があると認めるときは、関係人に出頭を命じて審問することができる。
5 都道府県知事の指揮監督の下で裁決を行う。
〖解答〗1・3・4
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
介護保険審査会は、都道府県に設置されます。市町村が行った要介護認定、保険給付、保険料などに関する処分に不服がある場合、被保険者等は介護保険審査会に審査請求を行うことができます。
選択肢2:× 不適切
審査請求は、原則として文書で行いますが、口頭で行うこともできます。したがって、「口頭ではなく、文書で行わなければならない」とする記述は不適切です。試験では、「必ず」「〜でなければならない」という表現が出たときに、例外の有無を確認することが大切です。
選択肢3:○ 適切
介護保険審査会は、審査を行う場合、原処分をした市町村やその他の利害関係人に通知しなければなりません。原処分とは、不服申立ての対象となっている市町村等の処分を指します。審査では、関係者に手続の機会を保障しながら進めることが求められます。
選択肢4:○ 適切
介護保険審査会は、必要があると認めるときは、関係人に出頭を命じて審問することができます。審査請求の内容を確認するため、関係者から事情を聴いたり、必要な資料を確認したりする権限が認められています。
選択肢5:× 不適切
介護保険審査会は、都道府県知事の指揮監督の下で裁決を行う機関ではありません。介護保険審査会は、不服申立てを審査する第三者的な機関として設置され、独立した立場で審理・裁決を行います。都道府県に設置されることと、都道府県知事の指揮監督下で裁決することは区別して理解する必要があります。
この問題のポイント
この問題では、介護保険審査会の設置、審査請求の方法、審査手続、審問権限、独立性が問われています。
介護保険審査会は都道府県に設置され、市町村の処分に対する不服申立てを審査します。審査請求は口頭でも可能であり、審査会は関係人への通知や審問を行うことができます。「都道府県に置かれる」ことと「都道府県知事の指揮監督を受ける」ことは同じではない点を押さえておきましょう。
問題15
介護保険法で定める国民健康保険団体連合会が行う業務として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 介護給付費等審査委員会の設置
2 市町村から委託を受けて行う第三者行為求償事務
3 介護給付費交付金の交付
4 指定居宅サービス事業者に対する必要な指導及び助言
5 福祉用具貸与の種目の指定
〖解答〗1・2・4
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
国民健康保険団体連合会は、介護給付費等の請求に関する審査を行うため、介護給付費等審査委員会を設置します。介護サービス事業者からの請求内容が適正かどうかを確認するうえで、国保連は重要な役割を担っています。
選択肢2:○ 適切
国民健康保険団体連合会は、市町村から委託を受けて、第三者行為求償事務を行うことができます。第三者行為求償とは、交通事故など第三者の行為によって介護が必要となり、介護保険給付が行われた場合に、本来負担すべき第三者に対して費用を請求する仕組みです。
選択肢3:× 不適切
介護給付費交付金の交付は、国民健康保険団体連合会の業務ではありません。介護給付費交付金は、第2号被保険者の保険料を財源として、社会保険診療報酬支払基金から市町村に交付されるものです。国保連の審査・支払業務と混同しないようにしましょう。
選択肢4:○ 適切
国民健康保険団体連合会は、介護サービスの質の向上に関する調査や、指定居宅サービス事業者等に対する必要な指導及び助言を行うことができます。苦情処理やサービスの質の向上に関わる役割も、国保連の業務として押さえておきたいポイントです。
選択肢5:× 不適切
福祉用具貸与の種目を指定するのは、国民健康保険団体連合会ではありません。福祉用具貸与の対象となる種目は、厚生労働大臣が定めるものです。国保連は、福祉用具の種目を指定する機関ではありません。
この問題のポイント
この問題では、国民健康保険団体連合会の介護保険法上の業務が問われています。
国保連は、介護給付費等審査委員会を設置し、介護報酬の審査・支払、苦情処理、事業者への必要な指導及び助言、第三者行為求償事務などに関わります。一方で、介護給付費交付金の交付は社会保険診療報酬支払基金、福祉用具貸与の種目指定は厚生労働大臣の役割として整理しておくことが大切です。
問題16
要介護認定の認定調査について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 新規認定の調査は、市町村が、その職員に行わせるものとする。
2 新規認定の調査は、市町村から指定市町村事務受託法人に委託することができる。
3 更新認定の調査は、市町村から地域密着型介護老人福祉施設に委託することができない。
4 更新認定の調査は、市町村から地域包括支援センターに委託することができない。
5 更新認定の調査は、市町村から指定居宅介護支援事業者に委託することができない。
〖解答〗1・2
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
新規の要介護認定に係る認定調査は、原則として、市町村がその職員に行わせるものとされています。要介護認定は、介護保険給付の入口となる重要な手続きであり、認定調査では心身の状態や日常生活の状況を客観的に確認します。
選択肢2:○ 適切
新規認定の調査は、市町村から指定市町村事務受託法人に委託することができます。指定市町村事務受託法人は、市町村の事務の一部を受託する法人として位置付けられており、認定調査の委託先として認められています。
選択肢3:× 不適切
更新認定の調査は、市町村から地域密着型介護老人福祉施設に委託することができます。更新認定では、新規認定よりも委託できる範囲が広く、一定の介護保険施設や地域密着型介護老人福祉施設などへの委託も認められています。
選択肢4:× 不適切
更新認定の調査は、市町村から地域包括支援センターに委託することができます。地域包括支援センターは、地域の高齢者支援の中核的機関であり、更新認定に係る調査の委託先となることがあります。
選択肢5:× 不適切
更新認定の調査は、市町村から指定居宅介護支援事業者に委託することができます。居宅で生活する利用者の状況把握に関わる事業者として、更新認定調査の委託先に含まれます。したがって、「委託することができない」とする記述は不適切です。
この問題のポイント
この問題では、新規認定調査と更新認定調査の委託先の違いが問われています。
新規認定の調査は、原則として市町村職員が行いますが、指定市町村事務受託法人への委託は可能です。更新認定の調査では、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設、地域包括支援センターなど、委託できる範囲が広がります。「新規」と「更新」で委託先が異なる点を整理しておくことが大切です。
問題17
要介護認定の有効期間について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 新規認定の場合には、6か月間が原則である。
2 更新認定の場合には、3か月間の設定が可能である。
3 更新認定の場合には、36か月間の設定が可能である。
4 要介護状態区分の変更の認定の場合には、12か月間が原則である。
5 要介護状態区分の変更の認定の場合には、48か月間の設定が可能である。
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
新規認定の有効期間は、原則として6か月です。要介護認定を初めて受ける場合は、その後の心身の状態や生活状況の変化を確認する必要があるため、比較的短い期間が原則とされています。
選択肢2:○ 適切
更新認定では、心身の状態が不安定な場合などに、3か月の有効期間を設定することができます。更新認定は必ず長期間になるわけではなく、利用者の状態に応じて短い有効期間が設定される場合があります。
選択肢3:○ 適切
更新認定では、36か月の有効期間を設定することができます。状態が安定している場合には、比較的長い有効期間が設定されることがあります。更新認定では、利用者の状態に応じて有効期間が調整される点を押さえておきましょう。
選択肢4:× 不適切
要介護状態区分の変更の認定の場合、有効期間は原則として6か月です。12か月が原則ではありません。状態区分の変更は、心身の状態が変化した場合に行われるため、原則期間は新規認定と同じく6か月と理解しておくとよいでしょう。
選択肢5:× 不適切
要介護状態区分の変更の認定では、48か月間の設定はできません。48か月は更新認定などで取り得る最長期間として混同しやすい数字ですが、変更認定の有効期間としては不適切です。
この問題のポイント
この問題では、要介護認定の有効期間が問われています。
まず押さえたいのは、新規認定は原則6か月、更新認定は状態に応じて短期から長期まで設定されるという点です。更新認定では3か月や36か月の設定が可能ですが、変更認定では12か月が原則ではなく、48か月の設定もできません。数字だけを丸暗記するのではなく、新規・更新・変更のどの認定かを分けて整理することが大切です。
問題18
介護認定審査会について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 複数の市町村で共同設置することができる。
2 審査及び判定をするに当たって必要があると認めるときは、主治医意見書を作成した医師の意見を聴くことができる。
3 審査及び判定をするに当たって、審査対象者の家族の意見を聴くことはできない。
4 審査対象者が利用できるサービスの種類を指定する。
5 要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養について、市町村に意見を述べることができる。
〖解答〗1・2・5
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
介護認定審査会は市町村に置かれますが、複数の市町村が共同して設置することもできます。小規模自治体などでは、専門職の確保や審査体制の効率化の観点から、共同設置が行われる場合があります。
選択肢2:○ 適切
介護認定審査会は、審査及び判定を行うに当たり必要があると認めるときは、主治医意見書を作成した医師の意見を聴くことができます。認定調査の結果や主治医意見書だけでは判断が難しい場合に、医学的な補足確認を行うことがあります。
選択肢3:× 不適切
介護認定審査会は、必要があると認めるときは、審査対象者やその家族、主治医などの関係者から意見を聴くことができます。「家族の意見を聴くことはできない」とする記述は誤りです。本人の生活状況を把握するうえで、家族からの情報が参考になる場合もあります。
選択肢4:× 不適切
介護認定審査会は、要介護状態区分等について審査・判定を行う機関です。審査対象者が利用できるサービスの種類を指定する機関ではありません。実際にどのサービスを利用するかは、認定結果や本人の状態、意向を踏まえ、ケアマネジメントの中で検討されます。
選択肢5:○ 適切
介護認定審査会は、要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関して、市町村に意見を述べることができます。単に要介護度を判定するだけでなく、必要に応じて療養上の留意点などについて意見を付すことがあります。
この問題のポイント
この問題では、介護認定審査会の設置、意見聴取、役割の範囲が問われています。
介護認定審査会は、市町村に設置され、複数市町村による共同設置も可能です。主な役割は、要介護状態区分などの審査・判定であり、サービスの種類を指定する機関ではありません。必要に応じて、主治医や家族など関係者の意見を聴くことができる点も押さえておきましょう。
問題19
介護サービス計画作成のための課題分析(アセスメント)に関する課題分析標準項目として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 健康状態
2 ADL
3 口腔内の状況
4 介護保険料
5 資産額
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
健康状態は、課題分析標準項目に含まれます。既往歴、主傷病、症状、痛み、服薬状況、医療的管理の有無などを確認し、利用者の生活上の課題や必要な支援を把握するための基本項目です。
選択肢2:○ 適切
ADLは、課題分析標準項目に含まれます。食事、排泄、入浴、更衣、移動、移乗など、日常生活動作の状況を確認することで、本人ができること、支援が必要なこと、今後維持・改善を目指す内容を整理します。
選択肢3:○ 適切
口腔内の状況は、課題分析標準項目に含まれます。歯や義歯の状態、口腔清潔、嚥下や咀嚼の状況などは、食事、栄養、誤嚥予防、生活の質に関わる重要な確認項目です。
選択肢4:× 不適切
介護保険料は、課題分析標準項目には含まれません。アセスメントでは、利用者の心身の状態、生活機能、住環境、家族・社会参加の状況などを把握しますが、介護保険料そのものは課題分析標準項目ではありません。
選択肢5:× 不適切
資産額は、課題分析標準項目には含まれません。経済状況や費用負担への配慮が必要となる場合はありますが、「資産額」を標準項目として把握するものではありません。ケアプラン作成では、必要な範囲で生活状況や利用可能な制度を確認することが大切です。
この問題のポイント
この問題では、介護サービス計画作成のための課題分析標準項目が問われています。
課題分析では、健康状態、ADL、IADL、認知、コミュニケーション、社会との関わり、排尿・排便、褥瘡・皮膚、口腔衛生、食事摂取、家族等の状況、居住環境など、利用者の生活全体を多面的に把握します。介護保険料や資産額のような項目と混同しないよう、生活機能と支援課題を把握する項目かどうかで判断すると理解しやすくなります。
問題20
指定居宅介護支援におけるサービス担当者会議について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 主治の医師の出席が必須である。
2 家庭内暴力がある場合には、必ずしも利用者及び家族の参加を求めるものではない。
3 指定居宅サービス等の担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。
4 テレビ電話装置等を活用して行うことができる。
5 会議の記録は、その完結の日から10年間保存しなければならない。
〖解答〗2・3・4
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
サービス担当者会議では、利用者や家族、指定居宅サービス等の担当者から意見を求めますが、主治の医師の出席が常に必須とされているわけではありません。医療的な確認が必要な場合には、主治医の意見を確認したり、必要に応じて連携したりしますが、「必ず出席」とする記述は不適切です。
選択肢2:○ 適切
家庭内暴力など、利用者や家族の参加によって本人や関係者の安全が損なわれるおそれがある場合には、必ずしも利用者及び家族の参加を求めるものではありません。サービス担当者会議は、本人の意向を尊重しながら行うことが基本ですが、安全確保や支援上の配慮が必要な場面では、参加方法を慎重に判断します。
選択肢3:○ 適切
サービス担当者会議では、指定居宅サービス等の担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとされています。訪問介護、通所介護、訪問看護、福祉用具など、それぞれの専門職が把握している利用者の状態や支援上の課題を共有し、居宅サービス計画に反映します。
選択肢4:○ 適切
サービス担当者会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができます。利用者や家族、サービス担当者の状況に応じて、対面だけでなくICTを活用した参加方法も認められています。ただし、利用者や家族の同意、個人情報の保護、通信環境への配慮などが必要です。
選択肢5:× 不適切
サービス担当者会議の記録は、指定居宅介護支援の記録として保存が必要ですが、全国一律に「完結の日から10年間保存」とされているわけではありません。指定居宅介護支援の基準上は、記録の保存期間は原則として完結の日から2年間とされています。自治体の条例等でより長い保存期間が定められる場合もありますが、問題文の「10年間保存しなければならない」は不適切です。
この問題のポイント
この問題では、指定居宅介護支援におけるサービス担当者会議の目的、参加者、開催方法、記録保存が問われています。
サービス担当者会議は、ケアマネジャーが関係者から専門的な意見を求め、居宅サービス計画の内容を検討する重要な場です。本人・家族の参加を基本としつつ、家庭内暴力など安全上の配慮が必要な場合は柔軟な対応が求められます。ICT活用が可能である点も、近年の出題では押さえておきたいポイントです。
問題21
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第13条の具体的取扱方針のうち、介護支援専門員に係るものとして正しいものはどれか。3つ選べ。
1 利用者の心身又は家族の状況等に応じ、継続的かつ計画的に指定居宅サービス等の利用が行われるようにしなければならない。
2 住民による自発的な活動によるサービス等の利用も居宅サービス計画上に位置付けるよう努めなければならない。
3 介護保険施設等から退院又は退所しようとする要介護者から依頼があった場合には、あらかじめ、居宅サービス計画の作成等の援助を行うものとする。
4 利用者が介護保険施設へ入院又は入所することが必要になった場合には、介護保険施設への紹介を市町村に依頼しなければならない。
5 居宅サービス計画に特定福祉用具販売を位置付ける場合にあっては、それが必要な理由を記載する必要はない。
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
介護支援専門員は、利用者の心身の状況、家族の状況、生活環境などに応じて、継続的かつ計画的に指定居宅サービス等が利用されるよう支援しなければなりません。居宅サービス計画は、単にサービスを並べるものではなく、利用者の生活課題に応じて必要な支援を計画的につなげるものです。
選択肢2:○ 適切
介護支援専門員は、指定居宅サービス等だけでなく、地域住民による自発的な活動によるサービスなども、必要に応じて居宅サービス計画に位置付けるよう努めることとされています。介護保険サービスだけで生活を支えるのではなく、地域の支え合いやインフォーマルサービスも含めて支援を考える視点が大切です。
選択肢3:○ 適切
介護保険施設等から退院又は退所しようとする要介護者から依頼があった場合には、介護支援専門員は、あらかじめ居宅サービス計画の作成などの援助を行うものとされています。退院・退所後の生活を円滑に始めるためには、在宅生活に必要なサービス調整を早めに進めることが重要です。
選択肢4:× 不適切
利用者が介護保険施設への入院又は入所を希望する場合には、介護支援専門員は、介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行うものとされています。市町村に紹介を依頼しなければならない、という規定ではありません。介護支援専門員自身が、利用者の意向や状態に応じて必要な情報提供や調整を行うことが求められます。
選択肢5:× 不適切
居宅サービス計画に特定福祉用具販売を位置付ける場合には、その利用が必要な理由を居宅サービス計画に記載しなければなりません。福祉用具貸与や特定福祉用具販売は、利用者の状態や生活環境に合った必要性を明確にすることが重要です。「必要な理由を記載する必要はない」とする記述は不適切です。
この問題のポイント
この問題では、指定居宅介護支援における介護支援専門員の具体的取扱方針が問われています。
介護支援専門員は、利用者の状況に応じて継続的・計画的なサービス利用を支援し、地域の自発的活動なども含めて生活全体を支える視点を持つ必要があります。また、退院・退所前からの支援、施設入所時の便宜提供、福祉用具を位置付ける際の理由記載など、実務に直結するルールを整理しておくことが大切です。
問題22
介護予防・日常生活支援総合事業の基本チェックリストの質問項目として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 友人の家を訪ねていますか。
2 自宅は持ち家ですか。
3 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか。
4 褥瘡はありますか。
5 今日が何月何日かわからない時がありますか。
〖解答〗1・3・5
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
「友人の家を訪ねていますか」は、基本チェックリストの質問項目に含まれます。閉じこもりや社会参加の状況を確認する項目であり、高齢者が地域とのつながりを保てているかを把握する手がかりになります。
選択肢2:× 不適切
「自宅は持ち家ですか」は、基本チェックリストの質問項目には含まれません。住まいの状況は支援を考えるうえで重要な情報になる場合がありますが、基本チェックリストは、生活機能の低下や介護予防の必要性を把握するための質問で構成されています。持ち家かどうかを確認する項目ではありません。
選択肢3:○ 適切
「椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか」は、基本チェックリストの質問項目に含まれます。運動器の機能を確認する項目であり、立ち上がり動作の可否は、転倒リスクや日常生活動作の維持に関わる重要な視点です。
選択肢4:× 不適切
「褥瘡はありますか」は、基本チェックリストの質問項目には含まれません。褥瘡の有無は健康状態や介護上の重要な確認事項ですが、基本チェックリストの質問項目として設定されているものではありません。
選択肢5:○ 適切
「今日が何月何日かわからない時がありますか」は、基本チェックリストの質問項目に含まれます。認知機能に関する確認項目であり、見当識の低下や生活上の支援の必要性を把握する手がかりになります。
この問題のポイント
この問題では、基本チェックリストの具体的な質問項目が問われています。
基本チェックリストは、介護予防・日常生活支援総合事業において、生活機能の低下や支援の必要性を把握するために用いられます。運動器機能、栄養、口腔機能、閉じこもり、認知機能、うつ傾向などに関する質問が含まれるため、住宅の所有形態や褥瘡の有無のような項目とは区別して覚えておきましょう。
問題23
介護老人保健施設における計画担当介護支援専門員の業務について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 入所者が居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて、定期的に検討する。
2 入所者の退所に際し、居宅サービス計画の作成等の援助に資するため、居宅介護支援事業者に対して情報を提供する。
3 入所者及びその家族からの苦情の内容等を記録する。
4 入所者の処遇に支障がない場合であっても、当該介護老人保健施設の他の職務に従事することはできない。
5 従業者の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行う。
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
介護老人保健施設は、在宅復帰・在宅療養支援を担う施設です。そのため、計画担当介護支援専門員は、入所者が居宅で日常生活を営むことができるかどうかを定期的に検討する必要があります。入所後も、施設内での生活だけを前提にするのではなく、退所後の生活を見据えた支援を行うことが大切です。
選択肢2:○ 適切
入所者の退所に際しては、居宅サービス計画の作成等の援助に資するよう、居宅介護支援事業者へ必要な情報を提供します。退所後に在宅生活へ移行する場合、施設での心身の状態、リハビリテーションの状況、生活上の留意点などを共有することで、居宅介護支援事業者が適切なケアプランを作成しやすくなります。
選択肢3:○ 適切
入所者及びその家族から苦情があった場合には、その内容等を記録する必要があります。苦情の記録は、単なる事務処理ではなく、支援内容の見直し、説明責任、再発防止、サービスの質の向上につながる重要な業務です。
選択肢4:× 不適切
計画担当介護支援専門員は、入所者の処遇に支障がない場合には、当該介護老人保健施設の他の職務に従事することができます。「処遇に支障がない場合であっても、他の職務に従事できない」とする記述は不適切です。
選択肢5:× 不適切
従業者の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うのは、主に施設の管理者に求められる役割です。計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成、入所者・家族への説明、退所支援に関する連携などを担いますが、施設全体の管理を一元的に行う立場ではありません。
この問題のポイント
この問題では、介護老人保健施設における計画担当介護支援専門員の役割が問われています。
老健は在宅復帰・在宅療養支援を重視する施設であり、計画担当介護支援専門員には、施設サービス計画の作成だけでなく、退所後の生活を見据えた支援や居宅介護支援事業者との情報共有が求められます。施設全体の管理業務と、計画担当介護支援専門員の業務を区別して整理しておきましょう。
問題24
Aさん(84歳、女性、要介護2)は一人暮らしをしており、近隣に住む長女が働きながらAさんに支援を行っている。Aさんは、長女の負担を軽減するため、短期入所療養介護を利用しようとして、長女を通じて居宅介護支援事業所の介護支援専門員に相談をした。相談内容は、Aさんの収入が公的年金に限られ、それが低額であることから、利用料金を減額する方法がないかというものであった。この場合における介護支援専門員の対応として、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 Aさんが生活に困窮する者として、生活保護を直ちに申請するよう促す。
2 Aさんの公的年金の受給状況について、改めて確認する。
3 費用負担やその軽減の仕組みについて説明する。
4 長女がより高い所得を得られるよう、ハローワークに相談することを強く勧める。
5 長女が同居して全面的に介護を行うことを勧める。
〖解答〗2・3
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
Aさんの収入が低額であることは確認されていますが、この情報だけで生活保護の申請を直ちに促す対応は適切ではありません。まずは、Aさんの収入、資産、世帯状況、利用予定サービス、介護保険上の負担軽減制度の対象可能性などを丁寧に確認する必要があります。生活保護は重要な制度ですが、十分なアセスメントを行わずに申請を急がせる対応は望ましくありません。
選択肢2:○ 適切
Aさんの公的年金の受給状況を改めて確認することは適切です。利用者負担の軽減制度を検討する際には、本人の収入状況、年金の種類や金額、世帯状況、預貯金等の資産状況などを確認する必要があります。Aさんの経済状況を正確に把握することが、必要な制度説明や申請支援につながります。
選択肢3:○ 適切
介護支援専門員は、利用者や家族に対して、介護サービスの費用負担や負担軽減の仕組みについて分かりやすく説明することが求められます。短期入所療養介護を利用する場合には、介護保険の自己負担に加え、食費や滞在費などが生じるため、負担限度額認定などの軽減制度の対象になるかを確認しながら説明することが大切です。
選択肢4:× 不適切
長女がより高い所得を得られるよう、ハローワークへの相談を強く勧めることは、この相談への対応として適切ではありません。今回の相談は、Aさん自身のサービス利用料や負担軽減に関するものです。長女の就労や収入を一方的に問題化するのではなく、Aさん本人の制度利用や費用負担の軽減策を確認することが優先されます。
選択肢5:× 不適切
長女が同居して全面的に介護を行うことを勧める対応は適切ではありません。Aさんは長女の負担を軽減するために短期入所療養介護の利用を検討しています。家族介護を当然視したり、長女に全面的な介護を求めたりすることは、本人・家族双方の生活を圧迫するおそれがあります。介護支援専門員は、本人の意向と家族の状況を踏まえ、利用可能なサービスや制度を調整する役割を担います。
この問題のポイント
この問題では、低所得の利用者が短期入所療養介護を利用する際の、介護支援専門員の相談対応が問われています。
まず必要なのは、本人の年金受給状況や経済状況を確認し、介護保険サービスの費用負担、食費・滞在費、負担軽減制度などを分かりやすく説明することです。家族に過度な介護負担を求めたり、十分な確認なしに生活保護申請へ直結させたりするのではなく、利用者本人の状況に応じて制度を丁寧に案内する姿勢が大切です。
問題25
Aさん(80歳、女性、要介護3、認知症はない)は訪問介護を利用している。同居している長男から「母は自宅で暮らし続けることを望んでいるが、入浴や夜間の排泄に関する介護の負担が重くなって困っている」との相談があった。そのときの介護支援専門員の対応として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 Aさんの意向を尊重するために、Aさんと長男との話し合いの機会を設ける。
2 長男と相談し、特別養護老人ホームに入所するようAさんを説得する。
3 夜間の排泄について、薬の影響はないか、Aさんの同意を得てかかりつけの医師に意見を求める。
4 近所の認知症対応型共同生活介護に照会し、空室があれば、速やかに予約する。
5 Aさんの希望を改めて確認したところ、他者との交流も望んでいたので、通所介護の利用を提案する
〖解答〗1・3・5
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
Aさんは自宅で暮らし続けることを望んでおり、長男は介護負担の重さに困っています。このような場合、介護支援専門員は本人の意向と家族の状況をそれぞれ確認し、両者が話し合える機会を設けることが大切です。本人の希望だけを一方的に優先するのではなく、家族の負担にも目を向けながら、在宅生活を続けるための方法を検討します。
選択肢2:× 不適切
長男の介護負担が重くなっているからといって、Aさんを特別養護老人ホームへ入所するよう説得する対応は適切ではありません。まずはAさん本人の意思を確認し、在宅生活を支えるために利用できるサービスや支援方法を検討する必要があります。施設入所は選択肢の一つになり得ますが、本人の希望を十分に確認せず、説得する形で進めるべきではありません。
選択肢3:○ 適切
夜間の排泄が増えている場合、身体状況や疾患、服薬の影響が関係している可能性があります。Aさんの同意を得たうえで、かかりつけ医に意見を求めることは適切です。介護負担だけの問題として捉えず、医療的な要因や生活リズム、排泄状況などを確認することで、より適切な支援につながります。
選択肢4:× 不適切
認知症対応型共同生活介護は、認知症のある要介護者を対象とする地域密着型サービスです。Aさんには認知症がないため、利用対象として適切ではありません。また、本人の意向や必要性を十分に確認しないまま、空室があれば速やかに予約する対応も不適切です。
選択肢5:○ 適切
Aさんが自宅で暮らし続けることに加えて、他者との交流も望んでいるのであれば、通所介護の利用を提案することは適切です。通所介護は、入浴支援、日中活動、他者との交流、家族の介護負担軽減にもつながります。本人の希望と家族の負担軽減の両方を踏まえて、サービスを組み合わせていく視点が重要です。
この問題のポイント
この問題では、本人の在宅生活の希望と家族の介護負担をどう調整するかが問われています。
介護支援専門員は、本人の意向を尊重しながら、家族の負担や生活状況も丁寧に確認し、必要なサービスや医療連携を検討します。夜間排泄のような課題は、介護方法だけでなく、服薬や疾患など医療面の確認も重要です。本人の希望、家族支援、医療連携、サービス調整を一体的に考えることが大切です。
以上で「介護支援分野」の過去問解説を終了します。次回、「保健医療サービスの知識等」「福祉サービスの知識等」を順次アップ致します。


