この記事では、2026年度のケアマネジャー試験合格を目指す方に向けて、2025年度に実施された第28回介護支援専門員実務研修受講試験のうち、保健医療サービスの知識等20問について、問題と解答解説を掲載します。
保健医療サービスの知識等は、高齢者の心身の変化、疾病、認知症、リハビリテーション、口腔・栄養管理、医療職との連携、医療系サービスなど、利用者の生活と健康を支えるうえで欠かせない内容が問われる分野です。
解答解説は、それぞれの問題の下のタブをクリックしてご確認ください。
■保健医療サービスの知識等
問題26
次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 サルコペニアとは、加齢に伴う筋力の低下や筋肉量が減少した状態をいう。
2 体重減少は、身体的フレイルの目安になる。
3 社会参加しやすい環境づくりは、社会的フレイルの予防になる。
4 オーラルフレイルとは、心理的認知的フレイルのことである。
5 フレイルになると、健康な状態に回復することはない。
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
サルコペニアとは、加齢などに伴って筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下した状態をいいます。高齢者では、歩行速度の低下、立ち上がりにくさ、転倒リスクの上昇などにつながるため、フレイルや要介護状態の予防を考えるうえで重要な概念です。
選択肢2:○ 適切
体重減少は、身体的フレイルを把握する目安の一つです。フレイルでは、体重減少、疲れやすさ、筋力低下、歩行速度の低下、身体活動量の低下などが確認されます。特に意図しない体重減少は、低栄養や筋肉量の低下につながるため注意が必要です。
選択肢3:○ 適切
社会参加しやすい環境づくりは、社会的フレイルの予防につながります。外出機会や人との交流が減ると、孤立、活動量の低下、意欲の低下が生じやすくなります。地域の通いの場、趣味活動、ボランティア活動などに参加しやすい環境を整えることは、介護予防の視点からも大切です。
選択肢4:× 不適切
オーラルフレイルとは、口腔機能のささいな衰えが積み重なった状態をいいます。噛む力、飲み込む力、滑舌、口腔内の清潔、食べこぼし、むせなどが関係します。心理的認知的フレイルとは異なるため、この選択肢は不適切です。
選択肢5:× 不適切
フレイルは、健康な状態と要介護状態の中間に位置づけられる状態であり、早期に気づいて適切に対応することで改善が期待できます。栄養、運動、口腔ケア、社会参加、疾病管理などに取り組むことで、健康な状態に近づける可能性があります。「回復することはない」とする記述は不適切です。
この問題のポイント
この問題では、フレイル、サルコペニア、オーラルフレイル、社会的フレイルの基本理解が問われています。
フレイルは、身体面だけでなく、口腔機能、栄養状態、認知・心理面、社会参加などが関係する多面的な状態です。特に重要なのは、フレイルは早期発見と適切な支援によって改善が期待できるという点です。高齢者支援では、体重減少や筋力低下だけでなく、人との交流や外出機会の変化にも目を向けることが大切です。
問題27
次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 入浴は、全身の保清を図り、血液循環や新陳代謝を促進する。
2 口腔内を清掃する際は、義歯は外さない。
3 膀胱留置カテーテルの使用時は、蓄尿バッグを膀胱と同じ高さに固定する。
4 適切な移動補助具の導入は、介護負担の軽減につながる。
5 痛みやかゆみ、咳、呼吸困難、頻尿が睡眠障害の原因となることがある。
〖解答〗1・4・5
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
入浴には、皮膚の汚れを落として全身の清潔を保つ働きがあります。また、温熱作用によって血液循環が促され、筋緊張の緩和や気分の安定にもつながります。高齢者の入浴支援では、保清だけでなく、体調確認や生活リズムの維持という視点も大切です。
選択肢2:× 不適切
口腔内を清掃する際には、義歯を外して清掃することが基本です。義歯を装着したままでは、義歯の裏側や歯ぐき、口腔粘膜に汚れが残りやすくなります。義歯は外して洗浄し、口腔内もあわせて清潔に保つことで、口臭、口腔内感染、誤嚥性肺炎の予防につながります。
選択肢3:× 不適切
膀胱留置カテーテルを使用している場合、蓄尿バッグは膀胱より低い位置に保つ必要があります。膀胱と同じ高さや膀胱より高い位置に置くと、尿が逆流し、尿路感染のリスクが高まります。また、チューブの屈曲や圧迫にも注意が必要です。
選択肢4:○ 適切
利用者の状態に合った移動補助具を導入することは、本人の安全な移動を支えるだけでなく、介護者の身体的負担の軽減にもつながります。杖、歩行器、車いす、手すりなどは、利用者の身体機能や生活環境に合わせて選択することが大切です。
選択肢5:○ 適切
痛み、かゆみ、咳、呼吸困難、頻尿などの身体症状は、睡眠を妨げる原因になることがあります。高齢者の睡眠障害では、単に「眠れない」という訴えだけを見るのではなく、身体症状、服薬、排泄状況、生活リズム、環境などを総合的に確認することが重要です。
この問題のポイント
この問題では、高齢者の日常生活支援と健康管理の基本が問われています。
入浴、口腔ケア、膀胱留置カテーテルの管理、移動補助具、睡眠障害の原因などは、介護支援専門員が利用者の生活状況を把握するうえで重要な知識です。特に、義歯は外して清掃すること、蓄尿バッグは膀胱より低い位置に保つこと、睡眠障害には身体症状が関係することを整理しておきましょう。
問題28
褥瘡について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 感染を伴って敗血症の原因となることがある。
2 半坐位や座位では、生じない。
3 低栄養は、発生要因の一つである。
4 排泄物による皮膚の湿潤が加わることで、より生じやすくなる。
5 入浴をさせてはならない。
〖解答〗1・3・4
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
褥瘡は、皮膚や皮下組織が損傷した状態です。悪化して感染を伴うと、局所の炎症にとどまらず、全身状態に影響を及ぼすことがあります。重症化した場合には、敗血症の原因となることもあるため、発赤や創部の変化、発熱、疼痛、浸出液、悪臭などを早期に確認することが大切です。
選択肢2:× 不適切
褥瘡は、寝たきりの臥位だけで生じるものではありません。半坐位や座位でも、仙骨部、坐骨部、尾骨部、踵部などに圧迫やずれが加わることで発生することがあります。車いすを長時間使用する方や、ベッド上で背上げ姿勢をとる方にも注意が必要です。
選択肢3:○ 適切
低栄養は、褥瘡の発生要因の一つです。たんぱく質やエネルギーが不足すると、皮膚や組織の修復力が低下し、傷が治りにくくなります。体重減少、食事摂取量の低下、アルブミン値の低下などがみられる場合には、栄養状態の確認と多職種による支援が重要です。
選択肢4:○ 適切
尿や便などの排泄物によって皮膚が湿潤すると、皮膚のバリア機能が低下し、褥瘡が生じやすくなります。湿潤に加えて、摩擦やずれ、圧迫が重なると、皮膚損傷のリスクはさらに高まります。排泄ケアでは、清潔保持、皮膚保護、適切なおむつ交換などが大切です。
選択肢5:× 不適切
褥瘡があるからといって、入浴を一律に禁止するわけではありません。全身状態や創部の状態、医師・看護職の指示を確認したうえで、清潔保持の方法を検討します。入浴や清拭は皮膚の清潔を保つために重要ですが、創部を強くこすらないことや、入浴後の適切な処置に注意が必要です。
この問題のポイント
この問題では、褥瘡の発生要因、発生しやすい姿勢、感染リスク、皮膚の清潔保持が問われています。
褥瘡は、圧迫だけでなく、ずれ、摩擦、湿潤、低栄養、活動性の低下などが重なって発生しやすくなります。半坐位や座位でも発生する点、低栄養や排泄物による皮膚の湿潤がリスクになる点を押さえておきましょう。重症化すると感染や敗血症につながる可能性があるため、早期発見と多職種連携が大切です。
問題29
次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 リハビリテーションは、終末期にある者には行ってはならない。
2 要介護1の者は、介護予防通所リハビリテーションの対象となる。
3 退院後の訪問リハビリテーション計画の作成に当たっては、入院中のリハビリテーションの情報を把握する。
4 片麻痺のある者がベッドから車いすに移乗する場合には、車いすをその人の健側に置くとよい。
5 歩行障害に対するリハビリテーションでは、杖や装具の活用を検討する。
〖解答〗3・4・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
リハビリテーションは、終末期にある方にも必要に応じて行われます。終末期のリハビリテーションでは、機能回復だけを目的にするのではなく、苦痛の緩和、安楽な姿勢の保持、呼吸しやすさの確保、本人らしい生活の支援などが重視されます。「終末期には行ってはならない」とする記述は不適切です。
選択肢2:× 不適切
介護予防通所リハビリテーションは、要支援1・要支援2の認定を受けた方が対象となる介護予防サービスです。要介護1の方は、介護予防通所リハビリテーションではなく、通所リハビリテーションの対象となります。要支援者向けの介護予防サービスと、要介護者向けの介護サービスを区別して理解することが大切です。
選択肢3:○ 適切
退院後の訪問リハビリテーション計画を作成する際には、入院中に行われたリハビリテーションの内容や到達状況、残された課題、退院時のADL、生活上の注意点などを把握することが重要です。入院中の情報を引き継ぐことで、退院後の在宅生活に合った継続的な支援につながります。
選択肢4:○ 適切
片麻痺のある方がベッドから車いすへ移乗する場合には、原則として車いすを健側に置くと移乗しやすくなります。健側の手足を使って体を支えたり、方向転換したりしやすいためです。ただし、実際の支援では、麻痺の程度、立位保持能力、住環境、本人の慣れなどを確認し、安全に配慮して行う必要があります。
選択肢5:○ 適切
歩行障害に対するリハビリテーションでは、歩行訓練だけでなく、杖、歩行器、装具などの活用を検討します。適切な補助具や装具を用いることで、転倒リスクを減らし、歩行の安定性や活動範囲の拡大につながります。本人の身体機能や生活環境に合わせた選択が重要です。
この問題のポイント
この問題では、リハビリテーションの対象、退院後の継続支援、移乗介助、歩行障害への対応が問われています。
リハビリテーションは、機能回復だけでなく、生活機能の維持、苦痛の緩和、在宅生活の継続支援にも関わります。要支援者と要介護者で利用できるサービスが異なる点、退院時の情報連携が重要である点、片麻痺のある方の移乗では健側を活用する点を整理しておきましょう。
問題30
認知症やそのケアについて適切なものはどれか。2つ選べ。
1 軽度認知障害(MCI)は、認知症に移行することがある。
2 記憶障害や見当識障害は、認知症の中核症状である。
3 パーソン・センタード・ケアとは、介護者本位で効率を優先して行うケアである。
4 認知症初期集中支援チームは、行方不明の認知症の人を捜索する仕組みである。
5 認知症カフェは、介護保険の給付対象のサービスである。
〖解答〗1・2
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
軽度認知障害(MCI)は、認知機能の低下がみられるものの、日常生活への影響が比較的軽く、認知症とは診断されない状態をいいます。MCIの人の中には、その後、認知症へ移行する人もいます。一方で、生活習慣の見直しや適切な支援によって、認知機能が維持されたり改善したりする可能性もあります。
選択肢2:○ 適切
記憶障害や見当識障害は、認知症の中核症状に含まれます。中核症状には、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能障害、失語・失行・失認などがあります。これらは脳の機能低下によって生じる基本的な症状として整理されます。
選択肢3:× 不適切
パーソン・センタード・ケアは、認知症の人を一人の人として尊重し、その人の思い、生活歴、価値観、関係性を大切にするケアの考え方です。介護者本位で効率を優先するケアではありません。本人の尊厳や安心感を支える視点が重要です。
選択肢4:× 不適切
認知症初期集中支援チームは、認知症が疑われる人や認知症の人、その家族に早期に関わり、医療や介護サービスにつなげるための専門職チームです。行方不明になった認知症の人を捜索する仕組みではありません。早期診断・早期対応、家族支援、支援体制づくりが主な役割です。
選択肢5:× 不適切
認知症カフェは、認知症の人や家族、地域住民、専門職などが集い、交流や相談、情報交換を行う場です。介護保険の給付対象サービスではありません。地域で認知症の人と家族を支える社会資源の一つとして理解しておくとよいでしょう。
この問題のポイント
この問題では、認知症の基本症状、MCI、パーソン・センタード・ケア、地域支援の仕組みが問われています。
MCIは認知症へ移行することがある一方で、早期の気づきと支援が重要です。認知症の中核症状には、記憶障害や見当識障害などがあります。また、認知症ケアでは、効率優先ではなく、本人の尊厳や生活歴を大切にするパーソン・センタード・ケアの考え方を押さえておきましょう。
問題31
次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 せん妄の発症の誘因の一つとして、入院や施設入所などの環境の変化がある。
2 高齢者では、薬剤によって精神症状を生じやすい。
3 統合失調症の症状の一つに、幻覚がある。
4 老年期のアルコール依存症では、認知症を合併することはない。
5 老年期うつ病では、妄想の症状が生じることはない。
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
せん妄は、意識障害や注意障害を中心として、急に出現し、日内変動を伴いやすい状態です。高齢者では、入院、施設入所、手術、感染症、脱水、薬剤の影響などが誘因になることがあります。環境の変化によって混乱が強まることもあるため、生活環境の急な変化には注意が必要です。
選択肢2:○ 適切
高齢者は、加齢に伴う肝機能・腎機能の低下、体内水分量の減少、複数の薬剤を併用しやすいことなどから、薬剤の影響を受けやすくなります。その結果、眠気、ふらつき、せん妄、幻覚、抑うつ、不安などの精神症状が現れることがあります。服薬状況の確認は、高齢者支援において重要です。
選択肢3:○ 適切
統合失調症では、幻覚、妄想、思考のまとまりにくさ、意欲低下、感情表出の乏しさなどの症状がみられることがあります。幻覚の中では、実際には聞こえない声が聞こえる幻聴が代表的です。高齢者支援でも、症状の背景を理解し、医療職と連携する視点が求められます。
選択肢4:× 不適切
老年期のアルコール依存症では、認知症を合併することがあります。長期の飲酒は、認知機能の低下、栄養障害、転倒、身体疾患、生活機能の低下などにも関係します。「認知症を合併することはない」と断定しているため不適切です。
選択肢5:× 不適切
老年期うつ病では、気分の落ち込み、意欲低下、不眠、食欲低下、身体不調の訴えなどに加え、妄想を伴うことがあります。特に、貧困妄想、心気妄想、罪業妄想などがみられる場合があります。「妄想の症状が生じることはない」とする記述は不適切です。
この問題のポイント
この問題では、高齢者にみられる精神症状、せん妄、薬剤の影響、統合失調症、老年期うつ病、アルコール依存症が問われています。
高齢者では、環境変化や身体疾患、脱水、薬剤などをきっかけに精神症状が現れることがあります。せん妄は急性に出現しやすく、認知症やうつ病との区別も重要です。また、老年期の精神症状では、「絶対に起こらない」とする表現に注意し、症状の背景を多面的に確認することが大切です。
問題32
診断や治療について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 医学的な根拠に基づき行うことが重要である。
2 疾病の現在の状態のことを予後という。
3 検査は、患者の身体的負担も考慮して行う。
4 検査を行う際には、インフォームド・コンセントは不要である。
5 治療は、診断に基づき行うことが重要である。
〖解答〗1・3・5
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
診断や治療は、医学的な根拠に基づいて行うことが重要です。症状や検査結果、既往歴、生活状況などを総合的に確認し、医学的に妥当な判断を行うことが、安全で適切な医療につながります。
選択肢2:× 不適切
予後とは、疾病の現在の状態ではなく、今後どのような経過をたどるかという見通しを意味します。たとえば、回復の可能性、再発のしやすさ、生命予後、生活機能への影響などが含まれます。現在の状態を示す言葉と、今後の見通しを示す言葉を区別して理解することが大切です。
選択肢3:○ 適切
検査は、診断や治療方針を決めるために重要ですが、患者の身体的負担も考慮して行う必要があります。高齢者では、検査そのものによる疲労、痛み、移動負担、転倒リスク、造影剤や前処置の影響などが問題になることがあります。必要性と負担のバランスを考える視点が大切です。
選択肢4:× 不適切
検査を行う際にも、必要に応じて説明と同意、つまりインフォームド・コンセントが求められます。検査の目的、方法、予想される負担やリスク、代替手段などについて説明を受け、患者が納得して検査を受けられるようにすることが重要です。「不要である」とする記述は不適切です。
選択肢5:○ 適切
治療は、診断に基づいて行うことが重要です。症状だけを見て一律に対応するのではなく、原因となる疾患や状態を把握したうえで、薬物療法、リハビリテーション、生活指導、手術、経過観察などの方法を選択します。診断と治療は切り離して考えるものではありません。
この問題のポイント
この問題では、診断・治療・検査の基本的な考え方が問われています。
診断や治療は、医学的な根拠と患者の状態に基づいて行われます。検査では、必要性だけでなく、患者の身体的負担や同意の過程も大切です。また、「予後」は現在の状態ではなく、今後の経過の見通しを意味する言葉として整理しておきましょう。
問題33
栄養・食生活について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 体重減少は、低栄養の徴候の一つである。
2 食事の介護のためのアセスメントでは、摂食動作を確認する。
3 食事介助では、本人に頸部後屈の姿勢をとらせることが望ましい。
4 誤嚥性肺炎の予防のためには、口腔ケアが重要である。
5 薬の服用時間における食間とは、食事中に服用することである。
〖解答〗1・2・4
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
体重減少は、低栄養の徴候の一つです。高齢者では、食欲低下、嚥下機能の低下、疾病、薬の影響、孤食、活動量の低下などによって、気づかないうちに体重が減少することがあります。意図しない体重減少は、筋力低下やフレイルにもつながるため、早めに確認することが大切です。
選択肢2:○ 適切
食事介護のアセスメントでは、食べる量だけでなく、摂食動作も確認します。箸やスプーンを使えるか、食器を保持できるか、口まで食べ物を運べるか、姿勢を保てるか、むせがないかなどを把握することで、必要な介助方法や自助具、食形態の検討につながります。
選択肢3:× 不適切
食事介助では、本人に頸部後屈の姿勢をとらせることは望ましくありません。頸部が後ろに反ると、嚥下しにくくなり、誤嚥のリスクが高まります。食事の際は、やや前屈した安定した姿勢を保ち、顎を軽く引いた姿勢を意識することが大切です。
選択肢4:○ 適切
誤嚥性肺炎の予防には、口腔ケアが重要です。口腔内の細菌が唾液や食物とともに気道へ入り込むことで、誤嚥性肺炎につながることがあります。歯や義歯、舌、口腔粘膜を清潔に保つことは、肺炎予防だけでなく、食事のしやすさや生活の質にも関係します。
選択肢5:× 不適切
薬の服用時間における「食間」とは、食事中に服用することではありません。一般に、食事と食事の間、つまり食後おおむね2時間程度を目安に服用することを指します。「食間」は「食事中」ではない点を押さえておきましょう。
この問題のポイント
この問題では、低栄養、食事介助、嚥下姿勢、口腔ケア、薬の服用時間が問われています。
高齢者の食生活支援では、食事量だけでなく、体重変化、摂食動作、嚥下状態、姿勢、口腔内の清潔を総合的に確認することが重要です。特に、頸部後屈は誤嚥リスクを高めるため避け、口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防にもつながる点を整理しておきましょう。
問題34
次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 在宅医療では、医師、看護師、介護支援専門員など多職種の連携が重要である。
2 腹膜透析は、患者の自宅で行われることはない。
3 胃ろうがある場合には、原則として、入浴は禁止されている。
4 中心静脈栄養法は、点滴栄養剤を中心静脈に入れる方法である。
5 パルスオキシメーターは、血液中の酸素飽和度を測定する機器である。
〖解答〗1・4・5
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
在宅医療では、医師、看護師、薬剤師、リハビリテーション専門職、介護支援専門員、介護職など、多職種の連携が重要です。利用者の病状、生活状況、家族の介護力、服薬、栄養、排泄、緊急時対応などを関係者で共有し、医療と介護を切れ目なくつなぐことが求められます。
選択肢2:× 不適切
腹膜透析は、医療機関だけで行われるものではなく、患者の自宅で行われる場合があります。腹膜を利用して体内の老廃物や余分な水分を除去する透析方法であり、在宅で自己管理しながら実施されることもあります。「自宅で行われることはない」とする記述は不適切です。
選択肢3:× 不適切
胃ろうがある場合でも、原則として入浴が一律に禁止されるわけではありません。胃ろう周囲の皮膚状態、感染の有無、チューブの固定状況、医師や看護職の指示などを確認したうえで、清潔保持のために入浴や清拭が行われます。胃ろうがあることだけを理由に入浴禁止とは判断しません。
選択肢4:○ 適切
中心静脈栄養法は、点滴栄養剤を中心静脈に入れる方法です。経口摂取や経腸栄養が難しい場合などに、必要な水分、電解質、糖質、アミノ酸、脂質などを静脈から補給します。感染予防やカテーテル管理が重要であり、在宅で行う場合には医療職との連携が欠かせません。
選択肢5:○ 適切
パルスオキシメーターは、血液中の酸素飽和度、一般には経皮的動脈血酸素飽和度を測定する機器です。指先などに装着して、酸素化の状態を簡便に確認できます。呼吸状態の観察では、数値だけでなく、呼吸苦、顔色、意識状態、脈拍なども合わせて確認することが大切です。
この問題のポイント
この問題では、在宅医療、多職種連携、腹膜透析、胃ろう、中心静脈栄養、パルスオキシメーターが問われています。
在宅医療では、医療処置そのものの知識に加え、生活の場で安全に支援を継続するための多職種連携が重要です。腹膜透析は在宅で行われることがあり、胃ろうがある場合でも入浴が一律に禁止されるわけではありません。医療機器や医療処置については、基本的な目的と注意点を整理しておきましょう。
問題35
感染症について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 エタノール濃度70%以上95%以下の消毒液は、新型コロナウイルスの消毒に有効である。
2 ノロウイルス感染者の吐物には、ノロウイルスが含まれていることがある。
3 高齢者に対する肺炎球菌ワクチンは、重症な肺炎の予防に有効である。
4 B型肝炎は、ワクチンで予防することはできない。
5 感染防護具であるエプロンやガウンは、節約のためできるだけ使い回しをする。
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
エタノール濃度70%以上95%以下の消毒液は、新型コロナウイルスの消毒に有効です。手指衛生では、石けんと流水による手洗いに加え、状況に応じてアルコール消毒を用います。ただし、手に目に見える汚れがある場合は、まず流水と石けんで洗い流すことが大切です。
選択肢2:○ 適切
ノロウイルス感染者の吐物には、ノロウイルスが含まれていることがあります。吐物や便の処理では、ウイルスが周囲に広がらないよう、手袋、マスク、エプロンなどを着用し、適切な消毒を行う必要があります。ノロウイルスにはアルコール消毒が効きにくいため、次亜塩素酸ナトリウムなどを用いた対応が重要です。
選択肢3:○ 適切
高齢者に対する肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による重症な肺炎や侵襲性感染症の予防に有効です。高齢者は肺炎が重症化しやすいため、ワクチン接種は感染症予防の重要な方法の一つです。接種対象や時期については、医師や自治体の案内を確認することが大切です。
選択肢4:× 不適切
B型肝炎は、ワクチンで予防することができます。B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染するため、医療・介護現場では標準予防策の徹底も重要です。「ワクチンで予防できない」とする記述は不適切です。
選択肢5:× 不適切
感染防護具であるエプロンやガウンは、汚染を広げないために適切に交換し、原則として使い回しを避けます。節約のために使い回すと、職員や利用者への交差感染のリスクが高まります。感染対策では、必要な場面で必要な防護具を正しく使用し、使用後は適切に廃棄または処理することが大切です。
この問題のポイント
この問題では、感染症予防、消毒、ノロウイルス対応、ワクチン、感染防護具の使い方が問われています。
新型コロナウイルスには一定濃度のエタノール消毒が有効ですが、ノロウイルスでは吐物や便への対応と次亜塩素酸ナトリウムによる処理が重要です。また、肺炎球菌やB型肝炎はワクチンによる予防が可能です。感染防護具は使い回しをせず、標準予防策に基づいて適切に使用することを押さえておきましょう。
問題36
次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 経管栄養法で使用するカテーテルは、定期的な交換は不要である。
2 人工的に造設した便や尿の排泄口のことをストーマという。
3 気管切開を伴った人工呼吸療法では、気管切開部の管理が必要である。
4 患者の自宅で人工呼吸器を使用する場合は、災害時の対応方法を確認しておくことが重要である。
5 インスリンの自己注射をしていれば、低血糖は生じない。
〖解答〗2・3・4
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
経管栄養法で使用するカテーテルは、種類や状態に応じて管理が必要であり、定期的な交換が行われます。カテーテルの閉塞、抜去、感染、皮膚トラブルなどを防ぐため、医師や看護職の指示に基づいて適切に管理することが大切です。「交換は不要である」とする記述は不適切です。
選択肢2:○ 適切
ストーマとは、手術によって腹部などに人工的に造設された便や尿の排泄口のことをいいます。消化管ストーマでは便、尿路ストーマでは尿を排出します。ストーマを造設している人には、装具の管理、皮膚の保護、排泄状況の確認などが必要になります。
選択肢3:○ 適切
気管切開を伴った人工呼吸療法では、気管切開部の管理が必要です。気管切開部の清潔保持、感染予防、カニューレの管理、痰の吸引、皮膚トラブルの確認など、医療職との連携が欠かせません。介護支援専門員は、在宅で安全に療養を続けられる体制を確認する視点が求められます。
選択肢4:○ 適切
自宅で人工呼吸器を使用する場合は、停電や災害時の対応方法を事前に確認しておくことが重要です。非常用電源、外部バッテリー、酸素や吸引器の確保、避難先、緊急連絡先、医療機関や訪問看護との連絡体制などを確認しておく必要があります。
選択肢5:× 不適切
インスリンの自己注射をしている場合でも、低血糖は生じることがあります。食事量の不足、食事時間の遅れ、運動量の増加、インスリン量の不適合などによって低血糖が起こることがあります。冷汗、動悸、ふるえ、意識障害などの症状に注意し、対応方法を確認しておくことが大切です。
この問題のポイント
この問題では、在宅で行われる医療的管理、ストーマ、気管切開、人工呼吸器、インスリン自己注射が問われています。
在宅療養では、医療機器や処置そのものの知識に加え、日常的な管理、感染予防、緊急時対応、災害時の備えが重要です。人工呼吸器を使用している場合は停電時の対応を確認し、インスリン自己注射では低血糖が起こり得ることを押さえておきましょう。
問題37
次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 吐き気を訴える場合は、誤嚥を予防するために身体を仰向きにして寝かせる。
2 出血している傷口に対しては、清潔なタオルなどを当て、圧迫して止める方法がある。
3 転倒して頭部を打撲した後に両手足に力が入らない場合は、頸髄損傷の可能性がある。
4 高齢者が心筋梗塞を起こしている場合は、必ず強い胸痛がある。
5 手の甲の皮膚をつまみ上げて離したとき、すぐには元に戻らない場合は、脱水も疑う。
〖解答〗2・3・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
吐き気や嘔吐がある場合に、身体を仰向きに寝かせると、吐物を誤嚥する危険があります。誤嚥を防ぐためには、状態に応じて顔を横に向ける、側臥位にするなど、吐物が気道に入りにくい姿勢をとることが大切です。意識状態や呼吸状態にも注意して観察します。
選択肢2:○ 適切
出血している傷口には、清潔なガーゼやタオルなどを当て、直接圧迫して止血する方法があります。出血量が多い場合や止血しにくい場合は、速やかに医療機関や救急対応につなげる必要があります。圧迫止血では、感染予防のためにも清潔なものを用いることが重要です。
選択肢3:○ 適切
転倒して頭部を打撲した後に、両手足に力が入らない、しびれがある、動かしにくいといった症状がある場合は、頸髄損傷の可能性があります。このような場合は、むやみに動かさず、首や身体を安静に保ち、救急要請を検討する必要があります。
選択肢4:× 不適切
高齢者の心筋梗塞では、必ずしも強い胸痛がみられるとは限りません。息切れ、冷汗、吐き気、倦怠感、意識の変化、食欲低下など、典型的ではない症状で現れることもあります。「必ず強い胸痛がある」と断定しているため不適切です。
選択肢5:○ 適切
手の甲の皮膚をつまみ上げて離したとき、すぐに元に戻らない場合は、皮膚の張りが低下している状態であり、脱水の可能性を考える手がかりになります。高齢者は脱水に気づきにくいことがあるため、口渇、尿量の減少、発熱、食事・水分摂取量の低下、意識状態の変化なども合わせて確認します。
この問題のポイント
この問題では、急変時・事故時の初期対応と高齢者の症状の見方が問われています。
嘔吐時は誤嚥を防ぐ姿勢をとり、出血時は清潔なもので圧迫止血を行います。転倒後に四肢の脱力やしびれがある場合は頸髄損傷を疑い、むやみに動かさないことが大切です。また、高齢者の心筋梗塞は典型的な胸痛が目立たない場合があり、脱水も皮膚の張りや全身状態から早めに気づく視点が求められます。
問題38
次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 関節リウマチでは、症状の日内変動がないことが特徴の一つである。
2 パーキンソン病では、転倒しやすいため、運動療法は禁忌である。
3 大腿骨頸部骨折の最も多い受傷原因は、転倒である。
4 膝関節症による痛みや腫脹を抑えるために、定期的な運動が効果的である。
5 複数の疾患を治療している高齢者では、多剤服用による影響に注意する。
〖解答〗3・4・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
関節リウマチでは、朝のこわばりなど、症状に時間帯による変化がみられることがあります。特に起床時に手指などのこわばりを訴えることがあり、日内変動がないことを特徴とするわけではありません。痛みや腫れの部位、持続時間、生活動作への影響を確認することが大切です。
選択肢2:× 不適切
パーキンソン病では、姿勢反射障害やすくみ足などにより転倒しやすくなることがありますが、運動療法が禁忌というわけではありません。薬物療法とあわせて、歩行訓練、筋力維持、バランス訓練、ストレッチなどが行われることがあります。安全に配慮しながら、身体機能の維持を図る視点が重要です。
選択肢3:○ 適切
大腿骨頸部骨折は、高齢者に多い骨折の一つで、受傷原因として転倒が多くみられます。骨粗しょう症がある場合には、軽い転倒でも骨折につながることがあります。転倒予防、住環境の確認、歩行補助具の活用、筋力やバランス機能の維持が大切です。
選択肢4:○ 適切
膝関節症では、痛みや腫脹がある場合でも、状態に応じた定期的な運動が効果的なことがあります。大腿四頭筋などの筋力を維持・向上させることで、膝関節への負担を軽減し、歩行や日常生活動作を支えやすくなります。ただし、強い痛みや炎症がある場合は、医師やリハビリ専門職の指導のもとで無理のない方法を選ぶことが必要です。
選択肢5:○ 適切
複数の疾患を治療している高齢者では、多剤服用による影響に注意が必要です。薬の種類が増えると、眠気、ふらつき、食欲低下、便秘、せん妄、転倒などにつながることがあります。介護支援専門員は、服薬状況や体調変化を把握し、必要に応じて医師や薬剤師と連携する視点が求められます。
この問題のポイント
この問題では、高齢者に多い運動器疾患、神経疾患、骨折、服薬管理が問われています。
関節リウマチでは朝のこわばりなどの症状変化、パーキンソン病では転倒リスクと運動療法の必要性、大腿骨頸部骨折では転倒との関係を押さえておくことが大切です。高齢者は複数疾患を抱えやすく、多剤服用による副作用や生活機能への影響にも注意する必要があります。
問題39
臨死期の徴候について、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 規則正しいリズムの呼吸
2 意識レベルの低下
3 四肢冷感
4 尿量増加
5 喘鳴
〖解答〗2・3・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
臨死期には、呼吸のリズムが不規則になることがあります。呼吸が浅くなったり、間隔が空いたり、下顎を動かすような呼吸がみられたりすることがあります。規則正しいリズムの呼吸は、臨死期の典型的な徴候としては適切ではありません。
選択肢2:○ 適切
臨死期には、全身状態の低下に伴い、意識レベルが低下することがあります。呼びかけへの反応が弱くなる、眠っている時間が長くなる、周囲とのやり取りが難しくなるなどの変化がみられます。本人の苦痛や安心に配慮しながら、静かな環境を整えることが大切です。
選択肢3:○ 適切
臨死期には、末梢循環が低下し、手足が冷たくなることがあります。四肢冷感は、血液循環が弱くなっているサインの一つです。手足の冷たさ、皮膚色の変化、チアノーゼなどを観察しながら、本人の安楽を妨げないように対応します。
選択肢4:× 不適切
臨死期には、一般に尿量は増加するのではなく、減少することが多くなります。循環機能や腎機能が低下し、水分摂取量も減るため、尿量が少なくなることがあります。「尿量増加」は臨死期の徴候としては不適切です。
選択肢5:○ 適切
臨死期には、痰や唾液などの分泌物をうまく出せなくなり、喉元でゴロゴロとした音が聞こえることがあります。これを喘鳴、または死前喘鳴と呼ぶことがあります。家族が不安を感じやすい徴候でもあるため、状態の説明や安楽な姿勢への配慮が重要です。
この問題のポイント
この問題では、臨死期にみられる身体変化が問われています。
臨死期には、意識レベルの低下、四肢冷感、呼吸の変化、尿量減少、喘鳴などがみられることがあります。これらは身体機能が徐々に低下しているサインであり、介護支援専門員には、本人の安楽を支える視点と、家族の不安に寄り添いながら多職種につなぐ視点が求められます。
問題40
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)について、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 本人が死の直前になったときにのみ話し合う。
2 本人の考えよりも、家族の考えが優先される。
3 話合いは、一度だけ行えばよい。
4 話し合った内容は、文書にまとめておくことが望ましい。
5 認知症の人の意思を適切に反映できるよう、医療・ケアチームが支援する。
〖解答〗4・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、本人が死の直前になってからのみ行うものではありません。将来の医療やケアについて、本人が大切にしていること、望む生活、受けたい医療・受けたくない医療などを、本人の意思が確認できる段階から話し合っておく取組です。状態が急変してから初めて話し合うのではなく、早い段階から継続的に考えていくことが大切です。
選択肢2:× 不適切
ACPでは、本人の意思や価値観を尊重することが基本です。家族の考えは重要な情報であり、本人を支えるうえで大切な要素ですが、本人の考えよりも家族の考えが優先されるわけではありません。本人の意思を中心にしながら、家族や医療・ケアチームが支える姿勢が求められます。
選択肢3:× 不適切
ACPの話合いは、一度だけ行えばよいものではありません。本人の病状、生活状況、家族関係、価値観は時間とともに変化することがあります。そのため、必要に応じて繰り返し話し合い、本人の意思を確認し直すことが重要です。
選択肢4:○ 適切
ACPで話し合った内容は、文書にまとめておくことが望ましいです。本人の希望や大切にしていることを記録しておくことで、状態が変化した場合や本人が意思表示しにくくなった場合にも、医療・ケアチームや家族が本人の意思を尊重した判断をしやすくなります。
選択肢5:○ 適切
認知症の人についても、本人の意思を適切に反映できるよう、医療・ケアチームが支援することが大切です。認知症があるからといって本人の意思を確認しないのではなく、理解しやすい説明、落ち着いた環境、表情や反応の確認、これまでの生活歴や価値観の把握などを通じて、本人の意思決定を支援します。
この問題のポイント
この問題では、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の基本的な考え方が問われています。
ACPは、本人の意思や価値観を中心に、家族や医療・ケアチームと将来の医療・ケアについて繰り返し話し合う取組です。死の直前だけに行うものではなく、話し合った内容は文書化して共有しておくことが望まれます。認知症の人であっても、本人の意思をできる限り反映できるよう支援する視点が重要です。
問題41
指定訪問看護について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 指定訪問看護ステーションには、作業療法士を配置することができる。
2 指定訪問看護ステーションには、看護職員を常勤換算で2.5人以上置かなければならない。
3 訪問看護計画書の作成に当たっては、利用者の同意を得なければならない。
4 介護老人保健施設の入所者にも、訪問看護を提供できる。
5 看護師は、薬剤の処方を行うことができる。
〖解答〗1・2・3
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
指定訪問看護ステーションには、看護職員のほか、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を配置することができます。訪問看護では、病状の観察や医療的管理だけでなく、在宅生活を支えるリハビリテーションが必要になることもあるため、多職種で支援する体制が重要です。
選択肢2:○ 適切
指定訪問看護ステーションには、看護職員を常勤換算で2.5人以上置かなければなりません。ここでいう看護職員には、保健師、看護師、准看護師が含まれます。人員基準は、継続的で安全な訪問看護を提供するための基本条件として押さえておきましょう。
選択肢3:○ 適切
訪問看護計画書の作成に当たっては、利用者または家族に内容を説明し、利用者の同意を得る必要があります。訪問看護は、主治医の指示を踏まえつつ、利用者の心身の状態や生活環境に応じて行われるため、本人の理解と同意を得ながら進めることが大切です。
選択肢4:× 不適切
介護老人保健施設の入所者は、施設内で必要な看護やリハビリテーション等のサービスを受けるため、通常、居宅サービスである訪問看護の対象にはなりません。訪問看護は、居宅で療養している要介護者等に対して提供されるサービスとして整理しておきましょう。
選択肢5:× 不適切
看護師は、医師の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助を行いますが、薬剤の処方を行うことはできません。薬剤の処方は医師または歯科医師の業務です。訪問看護では、服薬状況の確認や副作用の観察、必要時の医師への報告などが看護師の重要な役割になります。
この問題のポイント
この問題では、指定訪問看護ステーションの人員基準、訪問看護計画、提供対象、看護師の業務範囲が問われています。
指定訪問看護ステーションには、看護職員を常勤換算で2.5人以上配置し、必要に応じて理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も配置できます。訪問看護計画は、利用者への説明と同意を踏まえて作成されます。一方で、施設入所者への訪問看護提供や、看護師による薬剤処方は認められない点を整理しておきましょう。
問題42
次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 胃ろうから薬剤を注入する際には、錠剤であれば、粉砕や微温湯での溶解をしてよいか確認する。
2 薬の副作用によるふらつきで、転倒を起こすことがある。
3 介護職員は、服薬介助を行ってはならない。
4 服薬の状況について、お薬手帳により、処方情報を適切に共有することが重要である。
5 高齢者は腎機能が低下しているため、薬の副作用が減弱することが多い。
〖解答〗1・2・4
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
胃ろうから薬剤を注入する場合、錠剤をそのまま粉砕してよいとは限りません。薬によっては、粉砕すると効果の出方が変わったり、胃ろうチューブが詰まりやすくなったりすることがあります。そのため、錠剤であれば、粉砕してよいか、微温湯で溶解してよいかを医師や薬剤師に確認することが重要です。
選択肢2:○ 適切
薬の副作用によって、眠気、ふらつき、めまい、血圧低下などが生じ、転倒につながることがあります。高齢者は複数の薬を服用していることも多く、薬の影響が生活動作に現れる場合があります。転倒が増えた場合には、身体機能だけでなく、服薬状況も確認する視点が必要です。
選択肢3:× 不適切
介護職員は、一定の条件のもとで服薬介助を行うことがあります。たとえば、本人が処方された薬を、医師・薬剤師等の指示に基づき、決められた時間に服用できるよう支援することは、介護現場で行われる基本的な支援の一つです。ただし、薬の判断や変更、医療行為に当たる対応はできないため、役割の範囲を理解することが大切です。
選択肢4:○ 適切
服薬状況を確認する際には、お薬手帳を活用して処方情報を共有することが重要です。複数の医療機関を受診している高齢者では、重複処方や飲み合わせの問題が生じることがあります。お薬手帳は、医師、薬剤師、看護職、介護支援専門員などが服薬情報を共有するうえで有効です。
選択肢5:× 不適切
高齢者では、腎機能や肝機能の低下、体内水分量の減少、薬の代謝・排泄能力の低下などにより、薬の作用や副作用が強く出ることがあります。副作用が減弱することが多いのではなく、むしろ副作用が現れやすい点に注意が必要です。
この問題のポイント
この問題では、高齢者の服薬管理、薬の副作用、胃ろうからの薬剤注入、お薬手帳の活用が問われています。
高齢者は複数の薬を服用しやすく、腎機能や肝機能の低下によって副作用が出やすくなります。ふらつきや転倒が薬の影響で起こることもあるため、服薬状況の確認が重要です。胃ろうから薬を注入する場合は、粉砕や溶解の可否を必ず医師や薬剤師に確認し、お薬手帳を活用して多職種で情報を共有しましょう。
問題43
指定通所リハビリテーションについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 リハビリテーション会議は、利用者やその家族の参加が基本とされている。
2 既に居宅サービス計画が作成されている場合には、通所リハビリテーション計画は作成しなくてもよい。
3 個々の利用者の状態にかかわらず、全員が同一の内容で実施しなければならない。
4 利用定員について、運営規程に定めておかなければならない。
5 非常災害対策について、運営規程に定めておかなければならない。
〖解答〗1・4・5
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
リハビリテーション会議は、利用者や家族の参加を基本として行われます。医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護職員、介護支援専門員などの関係職種が、利用者の状態や生活目標、リハビリテーションの内容を共有し、支援の方向性を確認する場です。
選択肢2:× 不適切
居宅サービス計画が作成されている場合でも、通所リハビリテーション計画は作成する必要があります。通所リハビリテーション計画は、居宅サービス計画の内容に沿いながら、利用者の心身機能、生活課題、目標、具体的なリハビリテーション内容を明確にするものです。
選択肢3:× 不適切
通所リハビリテーションは、利用者一人ひとりの状態や目標に応じて実施されるものです。全員に同一内容を一律に実施するものではありません。身体機能、生活環境、疾患、本人の希望などを踏まえ、個別性のある支援を行うことが大切です。
選択肢4:○ 適切
指定通所リハビリテーション事業所では、利用定員を運営規程に定めておかなければなりません。運営規程には、事業の目的や方針、営業日・営業時間、通常の事業の実施地域、利用料、サービス内容、非常災害対策など、事業運営に必要な事項を定めます。
選択肢5:○ 適切
非常災害対策については、運営規程に定めておかなければなりません。火災、地震、風水害などに備え、避難、連絡、訓練、利用者の安全確保に関する体制を整えることが求められます。通所系サービスでは、利用者が事業所に滞在している時間帯の安全確保が重要です。
この問題のポイント
この問題では、指定通所リハビリテーションの計画作成、リハビリテーション会議、運営規程が問われています。
通所リハビリテーションでは、居宅サービス計画があっても通所リハビリテーション計画を作成し、利用者の状態に応じた個別的な支援を行います。リハビリテーション会議は本人・家族の参加を基本とし、多職種で目標や支援内容を共有します。また、利用定員や非常災害対策は運営規程に定める事項として押さえておきましょう。
問題44
指定看護小規模多機能型居宅介護について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせたサービスである。
2 事業者は、看護サービスを提供する場合は、1人の利用者について複数の医師から指示を受けなければならない。
3 要支援者は利用できない。
4 登録者の居宅サービス計画は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が作成する。
5 サテライト型ではない事業所の登録定員は、29人以下である。
〖解答〗1・3・5
〖解説〗
選択肢1:○ 適切
看護小規模多機能型居宅介護は、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせた地域密着型サービスです。通い、泊まり、訪問介護、訪問看護を一体的に提供し、医療的な支援を必要とする利用者の在宅生活を支えることを目的としています。
選択肢2:× 不適切
看護サービスを提供する場合、利用者の主治の医師の指示に基づいて行います。1人の利用者について、複数の医師から指示を受けなければならないわけではありません。医師の指示、看護職員の判断、介護職員との連携を踏まえて、安全にサービスを提供することが重要です。
選択肢3:○ 適切
指定看護小規模多機能型居宅介護は、要介護者を対象とするサービスであり、要支援者は利用できません。要支援者が利用する介護予防サービスとは異なるため、対象者の区分を整理しておく必要があります。
選択肢4:× 不適切
看護小規模多機能型居宅介護では、登録者の居宅サービス計画は、当該事業所の介護支援専門員が作成します。居宅介護支援事業所の介護支援専門員が作成するわけではありません。小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護では、事業所内の介護支援専門員が計画作成を担う点が特徴です。
選択肢5:○ 適切
サテライト型ではない看護小規模多機能型居宅介護事業所の登録定員は、29人以下です。通い、泊まり、訪問を柔軟に組み合わせるサービスであるため、登録定員や利用定員の考え方を押さえておくことが大切です。
この問題のポイント
この問題では、看護小規模多機能型居宅介護のサービス内容、対象者、計画作成、登録定員が問われています。
看護小規模多機能型居宅介護は、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせ、医療ニーズのある要介護者の在宅生活を支える地域密着型サービスです。要支援者は利用できず、登録者の居宅サービス計画は事業所の介護支援専門員が作成します。登録定員は、サテライト型ではない事業所で29人以下と整理しておきましょう。
問題45
介護医療院について、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 要介護者が居宅において生活を営むことができるようにするための支援を行う施設と定義されている。
2 入所対象者には、病状が比較的安定期にあり、身体合併症を有する認知症高齢者も含まれる。
3 介護支援専門員を置かなくてよい。
4 入所者のためのレクリエーション行事を行うよう努める。
5 ユニットケアを行うユニット型もある。
〖解答〗2・4・5
〖解説〗
選択肢1:× 不適切
介護医療院は、長期にわたり療養が必要な要介護者に対して、療養上の管理、看護、医学的管理の下での介護、機能訓練、日常生活上の世話を行う施設です。居宅において生活を営むことができるようにするための支援を行う施設という説明は、介護老人保健施設の在宅復帰支援の考え方に近く、介護医療院の定義としては不適切です。
選択肢2:○ 適切
介護医療院の入所対象者には、長期療養が必要な要介護者が含まれます。病状が比較的安定期にあるものの、喀痰吸引、経管栄養、身体合併症を有する認知症高齢者など、医療的な管理や介護を継続的に必要とする人が対象になります。医療と生活施設としての機能を併せ持つ点が特徴です。
選択肢3:× 不適切
介護医療院には、介護支援専門員を置く必要があります。入所者ごとの施設サービス計画を作成し、本人の状態や意向に応じた支援を行うためには、計画担当介護支援専門員の役割が重要です。「置かなくてよい」とする記述は不適切です。
選択肢4:○ 適切
介護医療院では、入所者の生活の質を支えるために、レクリエーション行事を行うよう努めることが求められます。医療的管理が必要な方であっても、生活の場として、季節感、楽しみ、人との交流、活動の機会を大切にする視点が必要です。
選択肢5:○ 適切
介護医療院には、ユニットケアを行うユニット型もあります。ユニット型では、少人数の生活単位を基本として、入所者一人ひとりの生活リズムや個別性を尊重したケアを行います。療養施設でありながら、生活の場としての環境づくりも重視されます。
この問題のポイント
この問題では、介護医療院の対象者、施設機能、人員配置、生活支援、ユニット型が問われています。
介護医療院は、長期療養が必要な要介護者に対して、医療的管理と介護、日常生活上の支援を一体的に提供する施設です。介護支援専門員の配置が必要であり、施設サービス計画に基づく支援が行われます。医療的管理だけでなく、レクリエーションやユニットケアなど、生活の質を支える視点も重要です。
以上で「保健医療サービスの知識等」の過去問解説を終了します。次回、「福祉サービスの知識等」をアップ致します。



