【介護保険最新情報Vol.1503】『令和7年度老人保健健康増進等事業「身寄りのない在宅高齢者への支援に関する調査事業」及び「保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業」の報告書について』の解説

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令和8年5月11日、厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課より、介護保険最新情報Vol.1503が発出されました。

今回の内容は、令和7年度老人保健健康増進等事業として実施された2つの調査研究事業について、報告書等が公表されたことを知らせる情報提供の事務連絡です。

対象となっている調査研究事業は、次の2つです。

  • 身寄りのない在宅高齢者への支援に関する調査事業
  • 保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業

あくまでも、事業実施主体である株式会社日本総合研究所のホームページに、報告書、自治体向けガイドブック、手引き・ポイント集等が掲載されたことを、都道府県・市町村の介護保険担当課へ情報提供するものです。


今回の事務連絡で示された内容

Vol.1503では、令和7年度老人保健健康増進等事業において、2つの調査が実施されたことが示されています。

1つ目は、身寄りのない高齢者等と、そのニーズに対応した地域資源とをマッチングさせるための調査す。地域に求められる体制や役割、経緯、効果、課題、プロセス等について整理することを目的としています。

2つ目は、市町村における地域ニーズを解決する保険外サービスの活用に関する調査です。保険外サービスの効果的な創出・普及方法や、体制構築について調査が行われています。

これらの成果物が日本総合研究所のホームページに掲載されたため、各自治体における施策の実施に当たり活用してほしい、という趣旨で情報提供されています。


1. 身寄りのない在宅高齢者への支援に関する報告書等

1つ目の調査研究事業は、身寄りのない在宅高齢者への支援に関する調査事業です。

Vol.1503では、この事業の成果物として、次のものが案内されています。

  • 報告書
  • 頼れる身寄りがいない高齢者への支援に自治体が取り組む際の論点やポイント等を整理した自治体向けのガイドブック

ここで押さえておきたいのは、今回の事務連絡が、個別の介護事業所に対して新たな対応義務を定めるものではないという点です。

身寄りのない高齢者への支援は、自治体、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、医療機関、権利擁護関係機関、介護サービス事業所など、複数の関係機関が関わる可能性のあるテーマです。

ただし、Vol.1503本文そのものが、個別支援の方法や役割分担を詳細に定めているわけではありません。

介護実務者が読む場合は、自治体が地域の支援体制を検討する際の参考資料が示されたものとして受け止めると、誤解が少なくなります。


実務者が読む際の補足視点

以下は、Vol.1503本文に列挙されている項目ではありません。
介護・福祉現場で身寄りのない高齢者支援を考える際に、一般的に課題になりやすい場面を、実務者向けの補足として整理したものです。

たとえば、現場では次のような相談や調整が課題になることがあります。

  • 緊急時の連絡先をどのように確認するか
  • 入院・入所時の手続きを誰が支援するか
  • 金銭管理や契約に関する相談をどこにつなぐか
  • 本人の意思決定をどのように確認し、支援に反映するか
  • 死後事務等に関する不安をどの機関と共有するか

これらは、今回の事務連絡が新たに定めた要件ではありません。
あくまでも、実務者が今回の情報提供を読む際に、地域の支援体制や関係機関との連携を考えるための補助的な視点です。

個別判断が難しい場面では、介護事業所や担当者だけで抱え込まず、自治体、地域包括支援センター、権利擁護関係機関など、地域の相談先につなげながら確認していく視点が大切です。


2. 保険外サービス活用推進等に関する報告書等

2つ目の調査研究事業は、保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業です。

Vol.1503では、この事業の成果物として、次のものが案内されています。

  • 報告書
  • 保険外サービスを情報提供する際の基本的なステップや、ステップごとの留意点をまとめた手引き・ポイント集

ここでいう保険外サービスについて、今回の事務連絡本文では、詳細な定義や具体的なサービス類型までは示されていません。

なお、以下の説明はVol.1503本文の記載ではなく、保険外サービスを実務で理解するための一般的な補足です。

実務上は、介護保険サービスだけでは対応しにくい生活上の課題に対し、地域の多様なサービスを補完的に活用する場面があります。
ただし、今回の事務連絡は、特定の保険外サービスの利用を推奨するものではありません。
また、介護事業所に対して、保険外サービスの直接提供を促す性質のものでもありません。

今回案内されているのは、主に自治体が保険外サービスの情報提供を検討する際に参考となる、手引き・ポイント集等です。


保険外サービスを実務で扱う際の一般的な留意点

以下はVol.1503本文の記載ではなく、保険外サービスを実務で扱う際の一般的な留意点です。

保険外サービスは、利用者の生活を支える選択肢の一つになり得ます。
一方で、介護保険サービスとは異なる費用負担や契約関係が生じる場合があります。

そのため、情報提供を行う際には、本人や家族が内容や費用を確認できるよう、丁寧な説明が求められます。

ただし、ここでいう「留意点」は、今回の事務連絡によって新たな義務が課されたという意味ではありません。
実務上の望ましい配慮として、次のような視点が考えられます。

  • 介護保険サービスと保険外サービスの違いを混同させない
  • 費用負担や契約関係について、本人・家族が確認できるようにする
  • 特定の事業者だけを一方的に勧めているように見えないようにする
  • 自治体が公表する情報や地域の相談窓口を確認する
  • 地域包括支援センターや市町村の案内内容と食い違わないようにする

現場のケアマネジャーや相談職が確認する場合は、まずは自治体のホームページ、広報、地域包括支援センターからの案内、生活支援体制整備事業に関する情報などを確認するとよいでしょう。


実務者が誤解しやすいポイント

以下はVol.1503本文に書かれている注意事項ではありません。
介護・福祉実務者が今回の事務連絡を読む際に、誤解しやすい点を整理したものです。


1. 介護報酬改定ではない

今回の事務連絡は、介護報酬の新たな加算や算定要件を示すものではありません。

したがって、今回のVol.1503を根拠に、介護事業所が新たな加算対応を求められるわけではありません。


2. 運営基準改正ではない

今回の事務連絡は、介護保険サービスの運営基準を改正するものではありません。

そのため、事業所運営に関して、直ちに新たな基準対応が必要になるという内容ではありません。


3. 介護事業所に新たな義務を課すものではない

今回の事務連絡は、現時点で、介護事業所や介護従事者に新たな法令上の義務を課す内容ではありません。

特に、今回のVol.1503を根拠に、介護事業所が身寄りのない高齢者支援を新たに単独で担う必要が生じた、という受け止め方は適切ではありません。

また、保険外サービスの情報提供や直接提供について、介護事業所に新たな対応を求める内容でもありません。

Vol.1503は、自治体における施策の実施に当たり、報告書等を活用してほしいという趣旨の情報提供です。


4. 自治体向けの参考情報として読む

今回の事務連絡の宛先は、各都道府県介護保険担当課、各市町村介護保険担当課です。

そのため、介護事業所や介護実務者が読む場合は、自治体が今後、地域の支援体制や情報提供の仕組みを検討する際の参考情報が示された、と整理すると理解しやすくなります。

実務者としては、今回の情報を「自分たちに新しい義務が課された」と受け止めるのではなく、自治体や地域包括支援センター等の今後の動きを確認する材料として活用するのが適切です。


介護・福祉実務者にとっての確認ポイント

今回のVol.1503は、事業所内で直ちに新たな規程やマニュアルを作成しなければならない内容ではありません。

一方で、次のような確認は、今後の実務に役立つ可能性があります。

  • 自治体が、身寄りのない高齢者支援に関する方針や相談先を示しているか
  • 地域包括支援センターが、関連する地域資源や相談ルートを整理しているか
  • 保険外サービスに関する自治体の情報提供ページやリストがあるか
  • 生活支援体制整備事業に関する地域の情報が更新されているか
  • 事業所内で抱え込みやすい相談を、どの機関につなぐか確認できているか

この確認は、法令上の新たな義務対応ではありません。
あくまでも、身寄りのない高齢者支援や保険外サービスに関する地域情報を把握し、利用者支援に活かすための実務上の備えです。


まとめ

介護保険最新情報Vol.1503は、令和7年度老人保健健康増進等事業として実施された、「身寄りのない在宅高齢者への支援に関する調査事業」と、「保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業」の報告書等について情報提供する事務連絡です。

今回の事務連絡は、介護報酬改定や運営基準改正を示すものではありません。
また、介護事業所や介護従事者に対して、新たな法令上の義務や算定要件を課す内容でもありません。

一方で、身寄りのない高齢者支援や保険外サービスの情報提供は、今後の地域包括ケアや生活支援体制を考えるうえで重要なテーマです。

介護・福祉実務者としては、今回の事務連絡を「新たな義務」として受け止めるのではなく、自治体や地域包括支援センター等が今後どのような支援体制や情報提供の仕組みを検討していくのかを確認するための参考情報として押さえておくとよいでしょう。


参考・出典

厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課「介護保険最新情報Vol.1503」令和8年5月11日
令和7年度老人保健健康増進等事業「身寄りのない在宅高齢者への支援に関する調査事業」
令和7年度老人保健健康増進等事業「保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業」

関連リンク(※出典)

介護保険最新情報vol.1503(【事務連絡】令和7年度老人保健健康増進等事業「身寄りのない在宅高齢者への支援に関する調査事業」及び「保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業」の報告書について(情報提供))(令和8年5月11日厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課 事務連絡)

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梅沢 佳裕

ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表
最新福祉情報サイト【介護キャンパス】主宰
梅沢 佳裕

社会福祉士・介護支援専門員・アンガーマネジメントファシリテーター他。
東京都を拠点に、介護・福祉事業所の人材育成、管理職研修、法定研修、制度改正対応、BCP、カスタマーハラスメント対策などをテーマに、研修講師・コンサルティング・執筆活動を行っています。

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公的資料や最新通知を確認しながら、制度と現場実践をつなぐ分かりやすい解説を心がけています。

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