介護・福祉職のやりがいを見つめ直す|メンタルヘルスと働き続けるための職場づくり

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介護・福祉の仕事を続けるなかで、以前ほどやりがいを感じられなくなった経験はないでしょうか。

利用者への支援に追われ、記録や申し送り、家族対応などの業務が重なると、一日の仕事を終えるだけで精一杯になることがあります。

こうしたとき、働く意欲の低下を本人の気持ちの問題だけで捉えるのは適切ではありません。

仕事のやりがいは、日々の支援から得られる実感と、それを支える職場環境の両方に関係しています。

やりがいを感じにくくなる背景

働く意欲が下がる背景には、複数の負担が重なっている場合があります。

  • 業務量と疲労:介助や記録が集中し、十分な休憩を取れない
  • 役割の重なり:利用者支援に加え、後輩指導や勤務調整も担っている
  • 職場の人間関係:支援上の迷いや困りごとを相談しにくい
  • 支援上の葛藤:利用者の意思を尊重したい一方、時間や人員の制約がある

例えば、利用者一人ひとりの希望を丁寧に確認したいと思っていても、次の介助が迫り、十分な時間を確保できないことがあります。

そのような状況が続けば、自分の望む支援と実際の業務との間に隔たりを感じることもあるでしょう。

意欲の変化に気づいたときは、本人の考え方だけでなく、業務量や役割、職場環境もあわせて確認することが大切です。

日々の支援にある「仕事の価値」を確かめる

介護・福祉職の仕事には、目に見える成果だけでは測れない専門的な判断があります。

例えば、利用者が午後の活動への参加を迷っている場面です。

職員は、本人の意思を確かめ、体調や希望に合わせて参加方法を調整します。必要に応じて姿勢や移動方法を工夫し、その結果を次の担当者へ申し送ります。

一見すると日常的な介助ですが、その過程には、

  • 利用者の意思や反応を確かめる
  • 本人の希望に合わせて支援方法を調整する
  • 観察した内容や判断を職員間で共有する

という専門職としての実践が含まれています。

自分が何を観察し、どう判断し、どのように関わったのか。

普段の支援を振り返ることで、忙しさのなかでは見えにくかった仕事の意味を確かめられます。

やりがいとメンタルヘルスの関係

仕事への前向きな気持ちや充実感は、働く意欲に関係します。

一方、強い疲労やストレスが続くと、これまで感じていた達成感や充実感が薄れることもあります。

ここで注意したいのは、やりがいがあれば、メンタルヘルス不調を防げるわけではないという点です。

利用者のために働きたいという思いが強くても、休息が不足し、業務負担が集中すれば、心身の疲労は蓄積します。

厚生労働省のメンタルヘルス指針でも、本人がストレスに気づいて対処する「セルフケア」と、管理監督者が相談対応や職場環境改善を行う「ラインによるケア」が示されています。

仕事の意味を見つめ直すことに加え、負担を調整できる環境が欠かせません。

働き続けるために見直したい4つのこと

日々の支援を続けるうえで、自分の仕事と働き方を振り返る視点を整理します。

① 支援の判断や工夫を振り返る

利用者の意思を確認した場面や、自分なりに工夫した支援を思い出します。結果だけでなく、その過程にも目を向けます。

② 相談できる関係を持つ

支援上の迷いや業務負担を一人で抱えず、同僚や上司と共有します。相談しにくい場合は、法人の相談窓口なども活用します。

③ 休息と生活時間を確保する

睡眠や疲労の変化に気づき、休憩や休日の過ごし方を確認します。休息を確保できない勤務状況が続く場合は、職場での調整が必要です。

④ 自分の成長を確かめる

以前は判断に迷っていた支援について、知識や経験を活かせるようになった場面を振り返ります。小さな変化も、仕事を続けるうえでの手がかりになります。

管理者は職員の実践と負担の両方を見る

職員のやりがいを考える際、管理者やリーダーの関わりも重要です。

「頑張っていますね」と励ますだけでなく、実際の判断や工夫を具体的に伝えることで、職員は自分の実践を振り返りやすくなります。

例えば、

「利用者の希望を確認してから、介助方法を調整していましたね」

「気づいた変化を申し送ってくれたので、次の支援に活かせました」

といった声かけです。

そのうえで、「この支援を続けるなかで、負担になっていることはありませんか」と尋ね、業務量や休憩状況も確認します。

必要に応じて役割分担や業務の優先順位を見直し、調整後の状況まで確かめることが、ラインによるケアにもつながります。

やりがいを働き続ける力につなげる

介護・福祉職のやりがいは、特別な成功体験だけにあるものではありません。

利用者の意思を確かめたこと、支援方法を工夫したこと、同僚と相談して判断できたこと。そうした日常の実践にも、仕事の意味を見いだせます。

一方で、やりがいを理由に無理を重ねたり、職員個人に負担を引き受けさせたりすることは避けなければなりません。

日々の支援の価値を確かめながら、疲労や負担にも目を向け、必要な相談や業務調整につなげること。

その積み重ねが、介護・福祉職のメンタルヘルスを保ち、働き続けやすい職場づくりにつながります。

参考資料

厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」

厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策」

厚生労働省・こころの耳「4つのケア」

厚生労働省・こころの耳「メンタルヘルス対策(心の健康確保対策)に関する施策の概要」

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梅沢 佳裕

ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表
最新福祉情報サイト【介護キャンパス】主宰
梅沢 佳裕

社会福祉士・介護支援専門員・アンガーマネジメントファシリテーター他。
東京都を拠点に、介護・福祉事業所の人材育成、管理職研修、法定研修、制度改正対応、BCP、カスタマーハラスメント対策などをテーマに、研修講師・コンサルティング・執筆活動を行っています。

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公的資料や最新通知を確認しながら、制度と現場実践をつなぐ分かりやすい解説を心がけています。

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