施設ケアマネジャーの実務で、モニタリングは欠かせない業務です。
ケアプランは、作成して終わりではありません。実際の生活の中で支援が行われ、その結果を確認し、必要に応じて支援内容を見直していくことで、本人の生活に合った計画になります。
一方で、現場では次のような悩みもあります。
- 何を確認すればよいのか分からない
- 介護記録をどう評価につなげるか迷う
- 本人や家族に何を聞けばよいか整理できない
- サービス担当者会議で報告中心になってしまう
- プラン変更の根拠をどう残せばよいか分からない
モニタリングは、単に「変わりありません」と確認する作業ではありません。本人の生活状況、支援の実施状況、目標の達成度、本人・家族の意向、多職種の気づきを確認し、次の支援に反映するための大切な過程です。
今回は、施設ケアマネジャーの実務に沿って、どこを見るか、どう聴くか、記録と会議をどのようにつなげるか、そして評価からプラン変更までをどう考えるかを整理します。
※この記事では、主に介護保険施設における施設サービス計画の考え方をもとに整理しています。実際の運用では、サービス種別ごとの基準、自治体条例、施設内規程を確認してください。
施設ケアマネジャーに求められるモニタリングの役割
モニタリングで大切なのは、ケアプランに書かれた内容が、実際の生活の中でどのように機能しているかを確認することです。
施設では、介護職、看護職、リハビリ職、栄養職、生活相談員など、多くの職種が本人の生活に関わっています。施設ケアマネジャーは、日々の記録や多職種の意見をもとに、支援の継続・修正・変更を考えていく必要があります。
主に確認したいのは、次の点です。
- ケアプランに位置づけた支援が実施されているか
- 本人の状態や生活状況に変化があるか
- 短期目標・長期目標に近づいているか
- 本人や家族の意向に変化があるか
- 支援内容を継続してよいか、見直しが必要か
この確認が不十分だと、ケアプランは現場の実態から離れてしまいます。反対に、モニタリングが丁寧に行われると、支援の根拠が明確になり、サービス担当者会議やプラン変更にもつなげやすくなります。
どこを見る?最低限確認したい生活場面
モニタリングでは、まず本人の日常生活に変化があるかを確認します。
施設では、変化が大きな出来事として現れるとは限りません。食事量が少しずつ減っている、夜間の覚醒が増えている、入浴前の不安が強くなっている、歩行時のふらつきが増えているなど、小さな変化として現れることがあります。
確認したい生活場面には、次のようなものがあります。
- 食事:摂取量、むせ、姿勢、食欲、食事時間
- 排泄:失禁、便秘、トイレ動作、夜間の排泄状況
- 睡眠:夜間覚醒、日中の傾眠、不眠の訴え
- 入浴:拒否、不安、皮膚状態、清潔保持
- 移動・移乗:ふらつき、転倒リスク、活動量
- 表情・意欲:会話、他者交流、不安、落ち着き
大切なのは、単に「できる・できない」で見ることではありません。以前と比べてどう変わったか、どの場面で困りごとが出ているか、支援によって生活が安定しているかを確認します。
たとえば、「歩行不安定」とだけ書くと、状態は十分に伝わりません。
「夕方のトイレ移動時にふらつきが見られ、職員の声かけ後も立ち上がりを急ぐ場面がある」と書くと、支援の見直しにつながる情報になります。
どう聴く?本人・家族・多職種から情報を集める
モニタリングでは、本人の言葉を確認することも欠かせません。
本人には、次のような問いかけが考えられます。
- 最近、困っていることはありますか
- 食事や入浴でつらいことはありませんか
- 夜は眠れていますか
- トイレや移動で不安な場面はありますか
- 今の生活で続けたいことはありますか
ただし、質問を並べるだけでは、本人の本音が出にくいこともあります。認知症のある方や言葉で表現することが難しい方の場合は、表情、拒否の出方、落ち着く場面、不安が強くなる時間帯なども大切な情報です。
家族からは、本人の以前の生活、面会時の気づき、今後の希望、不安に感じていることを確認します。家族は、本人の生活歴や価値観を知る重要な存在です。
また、施設のモニタリングでは、多職種からの情報も大切です。
介護職からは、食事、排泄、入浴、移動、睡眠、表情など、日常生活の変化を確認します。看護職からは体調、疼痛、皮膚状態、服薬状況を確認します。リハビリ職からは移動・移乗動作、姿勢、活動量を確認します。栄養職からは食事摂取量、体重推移、食形態の必要性を確認します。
本人の変化には、体調、疾患、服薬、筋力低下、栄養状態、環境などが関係している場合があります。施設ケアマネジャーは、それぞれの情報をもとに、生活支援として何を見直すかを考えていきます。

記録と会議をつなげる|根拠が残る書き方
モニタリング記録で大切なのは、支援の継続や見直しにつながる根拠を残すことです。
記録は、次の3つに分けると分かりやすくなります。
- 事実:実際に確認された状態や出来事
- 評価:目標や支援内容に対してどう考えるか
- 今後:継続すること、見直すこと、会議で確認すること
たとえば、食事量低下のケースでは、次のように整理できます。
事実
夕食の摂取量が5割程度の日が増えている。食事後半に姿勢が崩れ、本人より「疲れた」との発言がある。体重は前月より減少傾向にある。
評価
現在の食事支援だけでは、必要な摂取量の確保が難しくなっている可能性がある。疲労、姿勢、食形態、提供時間の影響を確認する必要がある。
今後
介護職、看護職、栄養職で摂取状況と体重推移を確認し、サービス担当者会議または多職種カンファレンスで、食形態、提供時間、補助食品の必要性を検討する。
「食事量低下あり。様子を見る」だけでは、何を確認し、何を見直すのかが分かりにくくなります。モニタリング記録には、支援判断につながる情報を残すことが大切です。
評価からプラン変更までを一続きで考える
モニタリングの結果、現在の支援を継続できる場合もあれば、修正やプラン変更が必要になる場合もあります。
目標が達成できている場合は、なぜ達成できたのか、支援を継続する必要があるのか、次の目標を設定できるのかを確認します。施設生活では、適切な支援が継続されているからこそ状態が安定しているケースもあります。そのため、目標達成をすぐに支援終了と考えるのではなく、維持・継続の必要性も併せて評価します。
一方、目標が達成できていない場合は、本人や職員の努力不足に原因を求めるのではなく、支援内容が本人の状態に合っているかを確認します。
確認したいのは、次の点です。
- 目標が本人の状態に合っているか
- 支援内容が具体的に実施できる内容になっているか
- 職員間で支援方法が共有されているか
- 本人の意向や不安が反映されているか
- 体調や環境の変化が影響していないか
プラン変更が必要になりやすいのは、ADLや認知機能の変化、転倒・誤嚥・低栄養・皮膚トラブルなどのリスク増加、本人や家族の意向の変化、現在の支援内容では目標達成が難しい場合などです。
ただし、プラン変更は、モニタリング記録を書くだけで完了するものではありません。軽微な変更を除き、変更が必要と判断される場合は、多職種による検討を行い、施設サービス計画の原案を作成し、本人へ説明して同意を得たうえで、変更後の計画を交付する流れを確認します。家族にも、必要に応じて説明し、同意を得ることが望まれます。
つまり、モニタリングは「気づき」で終わらせるものではありません。
記録、多職種検討、本人への説明・同意、計画の交付までを一続きで考えることが大切です。
施設ケアマネジャーが使えるモニタリング記録の文例
転倒リスクへの対応
本人は夜間トイレに行こうとして一人で立ち上がる場面が増えている。介護職より、居室内でふらつきが見られるとの報告があった。本人は「職員を呼ぶのが悪い」と話しており、ナースコールの使用に遠慮がある様子が見られる。
現在の支援では、夜間の安全確認が十分ではない可能性がある。本人の排泄意向を尊重しながら、転倒リスクを軽減する支援が必要である。就寝前の排泄確認、夜間巡視時の声かけ、ナースコール使用への説明について、関係職種で協議し、支援内容の見直しを検討する。
食事量低下への対応
本人は夕食時に「疲れた」「もういらない」と話すことが増えており、摂取量が5割程度の日が続いている。介護職より、食事後半に姿勢が崩れやすいとの報告があった。体重は前月より減少傾向にある。
現在の食事支援だけでは、必要な摂取量の確保が難しくなっている可能性がある。今後は、食事前の姿勢確認、疲労時の休息、摂取量とむせの有無を記録し、栄養職・看護職と共有する。サービス担当者会議または多職種カンファレンスで、支援内容の見直しを検討する。
入浴拒否への対応
本人は入浴前に「寒い」「疲れる」と話すことがあり、入浴への拒否が続いている。介護職より、午後より午前の方が表情が落ち着いているとの報告があった。家族は清潔保持を希望しているが、本人の負担にも配慮してほしいとの意向がある。
入浴拒否の背景には、寒さ、疲労、介助への不安が関係している可能性がある。入浴前の室温確認、本人への手順説明、時間帯の変更、清拭等による清潔保持について、関係職種で協議する。本人の反応と皮膚状態を確認しながら、支援内容の見直しを検討する。
まとめ|モニタリングは支援を見直すための実務
モニタリングは、ケアプラン作成後の確認作業にとどまりません。本人の生活状況、支援の実施状況、目標の達成度、本人・家族の意向、多職種の気づきを確認し、必要に応じて支援内容を見直すための大切な実務です。
施設ケアマネジャーは、日々の記録や現場の声を確認しながら、本人の生活にどのような変化があるのかを見ていきます。そのうえで、確認した事実、評価、今後の対応を分かりやすく記録します。
記録が具体的になると、サービス担当者会議や多職種カンファレンスで話し合う内容が明確になります。さらに、軽微な変更を除くプラン変更では、本人への説明・同意、変更後の計画の交付まで確認することが重要です。
モニタリングは、本人の生活を見直し、支援をよりよくしていくための大切な過程です。
評価、会議、説明・同意、プラン変更を一続きで考えることで、ケアプランは施設での生活に生きる実務の指針になります。
関連リンク
介護キャンパスのトップページはこちら
【ケアマネジャーの実務と支援のポイント】の一覧はこちら


