第38回介護福祉士国家試験から、パート合格制度が導入されました。Bパートは午後試験の前半として(45問)で構成されています。今回は「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」「発達と老化の理解」「障害の理解」「認知症の理解」から45問の問題&解答解説を行っていきます。解答解説はそれぞれの問題の下のタブをクリックしてご確認ください。
■こころとからだのしくみ
問題61
次のうち,比較的短い時間に限られる大きな感情の動きに該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。
1 条件づけ
2 短期記憶
3 気分
4 思考
5 情動
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
条件づけとは、ある刺激と反応が結びつくことで、特定の行動や反応が起こりやすくなる学習のしくみです。感情そのものの大きな動きを表す言葉ではありません。
選択肢2:× 不適切
短期記憶とは、短い時間だけ情報を保持する記憶のことです。たとえば、電話番号を一時的に覚えておくような働きを指します。感情の動きとは異なります。
選択肢3:× 不適切
気分とは、比較的長く続く感情の状態を指します。「なんとなく気分が落ち込む」「気分がよい」といったように、短時間の強い感情反応とは区別されます。
選択肢4:× 不適切
思考とは、物事を考えたり、判断したり、問題を解決したりする心の働きです。感情の動きそのものではないため、この問題の答えとしては適切ではありません。
選択肢5:○ 適切
情動とは、怒り・恐怖・喜び・悲しみなど、比較的短い時間に起こる大きな感情の動きを指します。身体反応を伴うこともあり、急に驚く、強く怒る、怖がるといった反応がこれにあたります。
問題62
次の記述のうち,脳のしくみとその働きとして,適切なものを1つ選びなさい。
1 神経細胞は,神経膠細胞(グリア細胞)を支える。
2 神経膠細胞(グリア細胞)は,情報伝達をつかさどる。
3 セロトニン(serotonin)は,神経伝達物質の1つである。
4 頭頂葉には運動野が存在する。
5 海馬は,視覚をつかさどる。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
神経膠細胞(グリア細胞)は、神経細胞を支える役割をもつ細胞です。神経細胞が神経膠細胞を支えるのではなく、神経膠細胞が神経細胞の働きを補助します。
選択肢2:× 不適切
情報伝達を主に担うのは神経細胞です。神経膠細胞(グリア細胞)は、神経細胞の栄養補給、保護、環境調整などを行い、神経細胞の働きを支えます。
選択肢3:○ 適切
セロトニンは、神経細胞どうしの情報伝達に関わる神経伝達物質の1つです。気分、睡眠、食欲などにも関係しており、脳の働きを理解するうえで重要な物質です。
選択肢4:× 不適切
運動野は、主に前頭葉に存在します。頭頂葉は、体性感覚や空間認知などに関わる部位であり、運動そのものを指令する中心とは異なります。
選択肢5:× 不適切
海馬は、主に記憶の形成に関わる部位です。視覚をつかさどるのは、主に後頭葉にある視覚野です。海馬と視覚野の働きを区別して覚えることが大切です。
問題63
次のうち,循環器系のしくみとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 心臓は体性神経が支配している。
2 肺動脈には静脈血が流れている。
3 左心室から出た血液は大静脈へ流れる。
4 リンパ管には血液が流れている。
5 静脈血とは酸素を多く含む血液である。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
心臓の拍動は、主に自律神経によって調整されています。体性神経は、骨格筋を動かすときなどに関わる神経であり、心臓を直接支配する神経としては適切ではありません。
選択肢2:○ 適切
肺動脈には、全身を巡って酸素が少なくなった静脈血が流れています。肺動脈は名前に「動脈」とありますが、肺へ静脈血を送り、肺で酸素を取り込むための血管です。
選択肢3:× 不適切
左心室から出た血液は、大動脈へ送られます。大動脈を通って全身に酸素を多く含む血液が運ばれ、その後、静脈を通って心臓へ戻ります。
選択肢4:× 不適切
リンパ管に流れているのは血液ではなく、リンパ液です。リンパ液は、組織液の一部がリンパ管に入ったもので、老廃物の回収や免疫に関わります。
選択肢5:× 不適切
静脈血とは、一般に酸素が少なく二酸化炭素を多く含む血液を指します。酸素を多く含む血液は動脈血と呼ばれます。ただし、肺動脈には静脈血、肺静脈には動脈血が流れる点は、試験でよく問われます。
問題64
次の記述のうち,人の動作時に収縮する筋肉に関する説明として,適切なものを1つ選びなさい。
1 立位を保持するときは,大殿筋が収縮する。
2 膝の屈曲には大腿四頭筋が収縮する。
3 肘の屈曲には上腕三頭筋が収縮する。
4 肩関節を内転するときは三角筋が収縮する。
5 足関節の底屈では前脛骨筋が収縮する。
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
立位を保持するときには、股関節を伸展させる大殿筋が働きます。大殿筋は姿勢を保つうえで重要な筋肉であり、立ち上がりや立位保持にも関係します。
選択肢2:× 不適切
膝の屈曲に関わる主な筋肉は、太ももの後ろ側にあるハムストリングスです。大腿四頭筋は太ももの前側にあり、主に膝を伸展させるときに収縮します。
選択肢3:× 不適切
肘の屈曲に関わる主な筋肉は、上腕二頭筋です。上腕三頭筋は腕の後ろ側にあり、主に肘を伸展させるときに収縮します。
選択肢4:× 不適切
肩関節の内転は、腕を体の側へ近づける動きです。三角筋は肩関節の外転、つまり腕を横に上げる動きに主に関わる筋肉です。
選択肢5:× 不適切
足関節の底屈は、つま先を下に向ける動きです。この動きには下腿三頭筋などが関わります。前脛骨筋は、つま先を上に上げる背屈に関わる筋肉です。
問題65
次のうち,白内障(cataract)で混濁する部位として,適切なものを1つ選びなさい。
1 網膜
2 角膜
3 脈絡膜
4 硝子体
5 水晶体
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
網膜は、目に入った光を感じ取り、視神経を通じて脳へ情報を送る部位です。白内障で混濁する部位ではありません。
選択肢2:× 不適切
角膜は、目のいちばん前にある透明な膜で、光を目の中に取り入れる役割があります。白内障では、角膜ではなく水晶体が濁ります。
選択肢3:× 不適切
脈絡膜は、網膜の外側にあり、血管が豊富で眼球に栄養を送る役割をもちます。白内障で混濁する部位ではありません。
選択肢4:× 不適切
硝子体は、眼球の内部を満たしている透明なゼリー状の組織です。白内障で混濁する部位として問われるのは硝子体ではありません。
選択肢5:○ 適切
白内障は、目の中でレンズの役割をする水晶体が混濁する病気です。水晶体が濁ることで、視界がかすむ、まぶしく感じる、物がぼやけて見えるなどの症状が現れます。
問題66
次の記述のうち,低栄養の高齢者にみられる症状や行動の特徴として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 唾液の分泌が増加する。
2 腸蠕動が亢進する。
3 食べこぼしが減る。
4 偏りのある食べ方をする。
5 体重が増える。
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
低栄養の高齢者では、口腔機能や全身状態の低下により、唾液の分泌が少なくなることがあります。唾液が増加するという説明は、低栄養の特徴としては適切ではありません。
選択肢2:× 不適切
低栄養では、活動量の低下や食事量の減少などにより、腸の動きが低下しやすくなります。腸蠕動が亢進するよりも、便秘などにつながりやすい状態として理解しておくとよいです。
選択肢3:× 不適切
低栄養の高齢者では、筋力低下、疲れやすさ、手指の動かしにくさなどから、食べこぼしが増えることがあります。食べこぼしが減るという説明は適切ではありません。
選択肢4:○ 適切
低栄養の高齢者では、食欲低下、噛みにくさ、飲み込みにくさ、嗜好の変化などにより、食べる食品が偏ることがあります。主食だけ、おかずだけ、好きなものだけを食べるような偏りは、低栄養につながる重要なサインです。
選択肢5:× 不適切
低栄養では、必要なエネルギーやたんぱく質などが不足するため、体重が減少しやすくなります。体重が増えるという説明は、低栄養の特徴としては適切ではありません。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
汗腺は、汗を分泌する器官です。体温調節や皮膚の保湿などに関わりますが、表皮のバリア機能をもつ構造として最も適切なものではありません。
選択肢2:○ 適切
角質層は、表皮の最も外側にある層で、外部からの刺激や細菌、化学物質などの侵入を防ぐバリア機能を担っています。また、体内の水分が外へ逃げすぎないようにする役割もあります。
選択肢3:× 不適切
基底層は、表皮の最も深い部分にあり、新しい表皮細胞をつくる層です。皮膚の再生に関わりますが、外部刺激から守るバリア機能の中心は角質層です。
選択肢4:× 不適切
有棘層は、基底層の上にある表皮の層で、表皮細胞どうしが結びつき、皮膚の構造を保つ役割があります。ただし、外界との直接的なバリア機能を担う中心は角質層です。
選択肢5:× 不適切
顆粒層は、有棘層の上にあり、角質層が形成される過程に関わる層です。皮膚のバリア形成に関係しますが、バリア機能をもつ構造として最も適切なのは角質層です。
問題68
Aさん(98歳,女性)は認知症(dementia)があるが,食事動作は自立していた。最近,配膳されても食事動作が始まらないことが増えてきた。介護福祉職が献立や食材などの説明をしたところ,Aさんは食べ始めるようになった。
次の摂食嚥下の5期のうち,介護福祉職が支援した期として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 先行期
2 準備期
3 口腔期
4 咽頭期
5 食道期
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
先行期は、食べ物を認識し、「食べよう」と判断して口に運ぶまでの段階です。Aさんは、献立や食材の説明を受けることで食事を認識し、食べ始めています。そのため、介護福祉職が支援したのは先行期です。
選択肢2:× 不適切
準備期は、食べ物を口の中に取り込み、噛んで唾液と混ぜ、飲み込みやすい形にする段階です。今回の支援は、口の中で食べ物を処理する場面ではありません。
選択肢3:× 不適切
口腔期は、口の中でまとめた食塊を舌の動きで咽頭へ送り込む段階です。Aさんは食事動作を始める前の段階で支援を受けているため、口腔期の支援ではありません。
選択肢4:× 不適切
咽頭期は、食塊が咽頭を通り、気管に入らないようにしながら食道へ送られる段階です。嚥下反射などが関係する時期であり、今回のような食事開始への促しとは異なります。
選択肢5:× 不適切
食道期は、食道に入った食塊が胃へ送られる段階です。Aさんへの支援は、食べ物を認識して食べ始めるための支援であり、食道期には該当しません。
問題69
次のうち,健康な成人において,横行結腸の次に便が通過する部位として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 盲腸
2 上行結腸
3 下行結腸
4 S状結腸
5 直腸
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
盲腸は、大腸の始まりの部分です。小腸から送られてきた内容物は、まず盲腸に入り、その後、上行結腸へ進みます。横行結腸の次に通過する部位ではありません。
選択肢2:× 不適切
上行結腸は、盲腸の次に内容物が通る部位です。大腸の流れとしては、盲腸から上行結腸、横行結腸へ進むため、横行結腸の次ではありません。
選択肢3:○ 適切
便は、上行結腸から横行結腸へ進み、その後、下行結腸へ移動します。大腸の通過順序は、盲腸 → 上行結腸 → 横行結腸 → 下行結腸 → S状結腸 → 直腸と覚えておくと整理しやすいです。
選択肢4:× 不適切
S状結腸は、下行結腸の次に便が通過する部位です。横行結腸の直後ではなく、下行結腸を通った後に続きます。
選択肢5:× 不適切
直腸は、便が排出される前に一時的にたまる部位です。大腸の流れの最後に近い部分であり、横行結腸の次に通過する部位ではありません。
問題70
Aさん(80歳,男性)は,半年前から急に便秘になり,最近では排便回数が5日に1回程度となった。腹部は膨満していて,便は細く,血液が付着することがあるという。
次の記述のうち,Aさんの便秘に対する対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 水分摂取を促す。
2 食物繊維の摂取を促す。
3 散歩などの運動を促す。
4 腹部のマッサージを行う。
5 医療機関の受診を促す。
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
便秘では水分摂取を促すことが基本的な対応になる場合があります。しかし、Aさんは半年前から急に便秘になり、腹部膨満、細い便、血液の付着がみられています。このような場合は、自己判断で水分摂取だけを促す対応は適切ではありません。
選択肢2:× 不適切
食物繊維の摂取は、一般的な便秘予防や便通改善に役立つことがあります。ただし、Aさんには腸の通過障害や大腸疾患を疑う症状がみられるため、まず医療機関で原因を確認する必要があります。
選択肢3:× 不適切
散歩などの運動は、腸の動きを促し、便秘予防に役立つことがあります。しかし、今回の便秘は高齢者に急に出現し、血液の付着や便が細いという変化を伴っています。運動を促すだけでは、必要な対応として不十分です。
選択肢4:× 不適切
腹部マッサージは、便秘への生活支援として行われることがあります。しかし、腹部膨満があり、便が細く血液が付着する場合には、腸の病気が隠れている可能性があります。原因が分からない段階で腹部マッサージを行うのは適切ではありません。
選択肢5:○ 適切
Aさんは、急に便秘が始まり、排便回数の減少、腹部膨満、細い便、血液の付着がみられています。これらは大腸の病気などを疑う重要なサインです。介護福祉職は自己判断で便秘対応を続けるのではなく、速やかに医療機関の受診を促すことが最も適切です。
問題71
次のうち,65歳以上の人の妥当な睡眠時間として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 約12時間
2 約10時間
3 約8時間
4 約6時間
5 約4時間
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
約12時間の睡眠は、65歳以上の人の一般的な睡眠時間としては長すぎます。病気や体調不良、活動量の低下などが背景にある場合もあるため、日中の様子も含めて確認が必要です。
選択肢2:× 不適切
約10時間の睡眠も、高齢者の妥当な睡眠時間としては長めです。高齢になると、若い頃より睡眠時間は短くなる傾向があります。
選択肢3:× 不適切
約8時間は成人の睡眠時間として一般的にイメージされやすいですが、65歳以上ではやや長めです。高齢者では、個人差はありますが、必要な睡眠時間は若年者より短くなる傾向があります。
選択肢4:○ 適切
65歳以上の人の妥当な睡眠時間としては、約6時間が最も適切です。高齢者では、睡眠が浅くなったり途中で目が覚めやすくなったりしますが、日中の生活に支障がなければ、必ずしも長く眠る必要はありません。
選択肢5:× 不適切
約4時間では、一般的には睡眠時間が短すぎます。日中の眠気、集中力の低下、転倒リスクなどにつながる可能性があるため、睡眠環境や生活リズムの確認が必要です。
問題72
キューブラー・ロス(Kubler-Ross,E.)が示した終末期にある人の死の受容プロセスのうち「抑うつ」の段階として,適切なものを1つ選びなさい。
1 第1段階
2 第2段階
3 第3段階
4 第4段階
5 第5段階
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
第1段階は「否認」です。自分の死や病状をすぐには受け入れられず、「何かの間違いではないか」と感じる段階です。抑うつの段階ではありません。
選択肢2:× 不適切
第2段階は「怒り」です。「なぜ自分がこのような状況になったのか」という怒りや不満が表れやすい段階です。抑うつとは異なります。
選択肢3:× 不適切
第3段階は「取り引き」です。「もう少し生きられるなら」「何かをすれば助かるのではないか」と考える段階です。抑うつの段階ではありません。
選択肢4:○ 適切
第4段階は「抑うつ」です。病状や死を避けられないものとして意識する中で、悲しみ、落ち込み、喪失感などが強くなる段階です。介護福祉職は、その人の感情を否定せず、静かに寄り添う姿勢が大切です。
選択肢5:× 不適切
第5段階は「受容」です。死を完全に喜んで受け入れるという意味ではなく、避けられない現実として少しずつ受け止めていく段階です。抑うつの段階とは区別されます。
■発達と老化の理解
問題73
次の記述のうち,ハヴィガースト(Havighust,R.)の示す中年期の発達課題に該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。
1 良心,道徳心,価値尺度を発達させる。
2 成人としての市民的・社会的責任を達成する。
3 満足できる住宅を確保する。
4 男性あるいは女性の社会的役割を身につける。
5 気心の合う社交集団を見つける。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
「良心、道徳心、価値尺度を発達させる」は、主に児童期の発達課題に該当します。社会生活の中で善悪の判断や価値観を身につけていく時期の課題です。
選択肢2:○ 適切
「成人としての市民的・社会的責任を達成する」は、ハヴィガーストの示す中年期の発達課題に該当します。家庭、職業、地域社会などの中で、成人としての役割や責任を果たしていくことが求められる時期です。
選択肢3:× 不適切
「満足できる住宅を確保する」は、主に壮年期・成人初期の発達課題に該当します。結婚生活や家庭生活を営むための生活基盤を整える課題として整理されます。
選択肢4:× 不適切
「男性あるいは女性の社会的役割を身につける」は、主に青年期の発達課題に該当します。自分の性別役割や社会的役割を意識し、自己理解を深めていく時期の課題です。
選択肢5:× 不適切
「気心の合う社交集団を見つける」は、主に成人初期の発達課題に該当します。職業生活や家庭生活を始める時期に、親しい人間関係や社会的つながりを形成していく課題です。
問題74
次の記述のうち,自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)の特徴として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 文字のつづりがうまく書けず,類似の文字を間違えたりする。
2 同じ動作や行動を繰り返す。
3 注意の持続が難しい。
4 順番を待てずに割り込む。
5 数の大小の比較が難しい。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
文字のつづりがうまく書けない、類似した文字を間違えるといった特徴は、限局性学習症のうち、書字表出の困難に関連する内容です。自閉症スペクトラム障害の中心的な特徴としては適切ではありません。
選択肢2:○ 適切
自閉症スペクトラム障害では、対人関係やコミュニケーションの困難に加えて、興味や行動の偏り、同じ動作や行動の繰り返しがみられることがあります。たとえば、決まった手順にこだわる、同じ遊びや動作を繰り返すといった特徴があります。
選択肢3:× 不適切
注意の持続が難しいことは、注意欠如・多動症(ADHD)の特徴としてよくみられます。自閉症スペクトラム障害でも集中の偏りがみられることはありますが、この選択肢は中心的特徴としては適切ではありません。
選択肢4:× 不適切
順番を待てずに割り込むことは、注意欠如・多動症(ADHD)の多動性・衝動性に関連する特徴です。自閉症スペクトラム障害の代表的な特徴としては適切ではありません。
選択肢5:× 不適切
数の大小の比較が難しいことは、限局性学習症のうち、算数に関する困難に関連する内容です。自閉症スペクトラム障害の中心的な特徴ではありません。
問題75
次のうち,健康な状態と心身の機能が低下して介護等が必要な状態の中間を示す用語として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 エイジング(aging)
2 サルコペニア(sarcopenia)
3 ロコモティブシンドローム
4 ホメオスタシス(homeostasis)
5 フレイル(frailty)
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
エイジングとは、加齢や老化のことです。年齢を重ねること全般を表す言葉であり、健康な状態と介護等が必要な状態の中間を示す用語ではありません。
選択肢2:× 不適切
サルコペニアとは、加齢などにより筋肉量や筋力が低下した状態を指します。転倒や要介護につながる要因の一つですが、健康と要介護状態の中間全体を示す言葉ではありません。
選択肢3:× 不適切
ロコモティブシンドロームは、骨・関節・筋肉などの運動器の障害により、移動機能が低下した状態を指します。介護予防で重要な概念ですが、心身全体の中間状態を示す用語としてはフレイルが適切です。
選択肢4:× 不適切
ホメオスタシスとは、体温や血糖値など、体内の状態を一定に保とうとする働きのことです。健康と要介護状態の中間を表す用語ではありません。
選択肢5:○ 適切
フレイルとは、健康な状態と、心身の機能が低下して介護等が必要な状態の中間にある状態を指します。身体的な衰えだけでなく、認知機能、精神面、社会的つながりの低下なども含まれます。早期に気づき、運動・栄養・社会参加などに取り組むことで、状態の改善や悪化予防が期待できます。
問題76
高齢者のセクシュアリティ(sexuality)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 高齢になると性への関心がなくなる。
2 男性は,高齢になっても性ホルモンの分泌が維持される。
3 女性は,高齢になると性交痛を感じやすくなる。
4 高齢者は生殖機能の喪失と同時にセクシュアリティ(sexuality)を喪失する。
5 高齢者の性的欲求に,性差はみられない。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
高齢になると、性への関心が必ずなくなるわけではありません。セクシュアリティは、年齢にかかわらず、その人らしさ、親密さ、安心感、ふれあいなどにも関わる大切な側面です。
選択肢2:× 不適切
男性も高齢になると、性ホルモンの分泌は徐々に変化します。個人差はありますが、高齢になっても性ホルモンの分泌がそのまま維持されるという説明は適切ではありません。
選択肢3:○ 適切
女性は高齢になると、女性ホルモンの分泌低下などにより、腟の乾燥や粘膜の変化が起こりやすくなります。そのため、性交痛を感じやすくなることがあります。
選択肢4:× 不適切
生殖機能が低下または喪失しても、セクシュアリティが同時に失われるわけではありません。セクシュアリティは、生殖だけでなく、愛情、親密さ、自己表現、人との関係性にも関わります。
選択肢5:× 不適切
高齢者の性的欲求には、個人差も性差もあります。年齢だけで一律に判断するのではなく、その人の価値観や生活歴、心身の状態を尊重して理解することが大切です。
問題77
Aさん(22歳,女性)は,施設で介護福祉職として勤務し,食事や睡眠を工夫しながら,一人暮らしをしている。日々の生活や勤務状況に問題はない。職場にAさんと年齢の近い介護福祉職はおらず,休憩時間や休みの日も一人で過ごしている。Aさんは,「自分の仕事ぶりを上司に認めてほしいという気持ちはない。それよりも,仕事やそれ以外のことを深く話せる同年代の同僚がほしい」と思っている。
次のうちマズロー(Maslow,A.H.)の欲求階層説の各段階のうち,Aさんの現在の気持ちが当てはまるものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生理的欲求
2 所属・愛情欲求
3 安全欲求
4 承認欲求
5 自己実現欲求
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
生理的欲求は、食事、睡眠、排泄など、生命を維持するための基本的な欲求です。Aさんは食事や睡眠を工夫し、日々の生活にも問題はないため、この段階の欲求が中心とはいえません。
選択肢2:○ 適切
所属・愛情欲求は、仲間とのつながりや、親しい人間関係を求める欲求です。Aさんは「仕事やそれ以外のことを深く話せる同年代の同僚がほしい」と思っているため、人とのつながりや所属感を求めている状態と考えられます。
選択肢3:× 不適切
安全欲求は、安心して生活できる環境や、危険から守られることを求める欲求です。Aさんの生活や勤務状況に問題はないため、現在の気持ちは安全欲求ではありません。
選択肢4:× 不適切
承認欲求は、他者から認められたい、評価されたいという欲求です。Aさんは「自分の仕事ぶりを上司に認めてほしいという気持ちはない」と述べているため、承認欲求が中心ではありません。
選択肢5:× 不適切
自己実現欲求は、自分の能力や可能性を発揮し、自分らしく成長したいという欲求です。Aさんの気持ちは、自己成長よりも、同年代の同僚との深いつながりを求める内容であるため、自己実現欲求ではありません。
問題78
次のうち,加齢に伴い階段を上ると息切れしやすくなる現象に関係する恒常性の機能として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 予備力
2 適応力
3 免疫力
4 抵抗力
5 回復力
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
予備力とは、体に負荷がかかったときに、必要に応じて働きを高める力のことです。加齢により心肺機能などの予備力が低下すると、階段を上るなど少し強い活動をしたときに息切れしやすくなります。
選択肢2:× 不適切
適応力とは、環境や状態の変化に体や心が対応していく力です。加齢により適応力も低下しやすくなりますが、階段を上ったときの息切れに直接関係する恒常性の機能としては、予備力がより適切です。
選択肢3:× 不適切
免疫力とは、細菌やウイルスなどから体を守る働きです。感染症へのかかりやすさなどに関係しますが、階段を上ると息切れしやすくなる現象を説明する機能としては適切ではありません。
選択肢4:× 不適切
抵抗力とは、病気や外部からの刺激に対して体を守ろうとする力です。免疫力と近い意味で使われることがありますが、運動時の息切れを説明する中心的な用語ではありません。
選択肢5:× 不適切
回復力とは、疲労や体調不良などから元の状態に戻ろうとする力です。加齢により回復に時間がかかることはありますが、階段を上ったときにすぐ息切れする現象には、心肺機能などの予備力の低下が関係します。
問題79
次の記述のうち,高齢者の疾患や症状の特徴として,適切なものを1つ選びなさい。
1 典型的な症状を呈する。
2 生活が活発になる。
3 痛みに敏感になる。
4 複数の疾患を持ちやすい。
5 慢性的な疾患は少ない。
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
高齢者の疾患では、典型的な症状がはっきり出ないことがあります。たとえば、感染症でも高熱が出にくかったり、痛みの訴えが弱かったりする場合があります。
選択肢2:× 不適切
疾患や症状がある高齢者では、活動量が低下しやすくなります。生活が活発になるという説明は、高齢者の疾患や症状の特徴としては適切ではありません。
選択肢3:× 不適切
高齢者は、痛みに敏感になるとは限りません。加齢や疾患の影響により、痛みを感じにくかったり、痛みをうまく訴えられなかったりすることがあります。
選択肢4:○ 適切
高齢者は、加齢に伴う身体機能の変化や生活習慣病などの影響により、複数の疾患を持ちやすくなります。そのため、介護福祉職は一つの症状だけで判断せず、全身状態や生活の変化を観察することが大切です。
選択肢5:× 不適切
高齢者では、高血圧、糖尿病、心疾患、関節疾患など、慢性的な疾患を持つ人が多くなります。慢性的な疾患が少ないという説明は適切ではありません。
問題80
Aさん(82歳,女性)は,介護老人保健施設に入所している。朝,眠そうな様子であったため,介護福祉職がどうしたのかと尋ねると,Aさんは,「夜,足や背中がかゆくてあまり眠れなかった」と話した。看護師と共に足や背中を観察すると,皮膚が乾燥していて,引っ掻いたような傷があった。そのほかに皮膚の異常はみられなかった。Aさんは寒さに弱く,今は冬なので常に電気毛布を使用している。昨日は入浴日であった。
次のうち,Aさんに生じている可能性がある疾患として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 角化型疥癬(hyperkeratotic scabies)
2 帯状疱疹(herpes zoster)
3 褥瘡
4 老人性皮膚掻痒症(senile pruritus)
5 閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans)
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
角化型疥癬は、ヒゼンダニの寄生によって起こる疥癬の重症型で、厚い角質や強い感染力が特徴です。Aさんには、皮膚の乾燥と引っ掻き傷以外の異常はみられていないため、最も適切とはいえません。
選択肢2:× 不適切
帯状疱疹は、水ぶくれを伴う発疹や神経に沿った痛みが特徴です。Aさんには、水疱や帯状の発疹、強い痛みの記載がないため、帯状疱疹とは考えにくいです。
選択肢3:× 不適切
褥瘡は、同じ部位に圧迫が続くことで血流が悪くなり、皮膚や皮下組織が損傷する状態です。仙骨部や踵などに起こりやすく、今回のような乾燥による全身的なかゆみの説明としては適切ではありません。
選択肢4:○ 適切
老人性皮膚掻痒症は、高齢者にみられやすい皮膚の乾燥によるかゆみです。冬は空気が乾燥しやすく、入浴や電気毛布の使用によって皮膚の乾燥が進むことがあります。Aさんの「足や背中がかゆい」「皮膚が乾燥している」「引っ掻いた傷がある」という状況に合っています。
選択肢5:× 不適切
閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化によって下肢の血流が悪くなる疾患です。歩行時の足の痛み、冷感、しびれ、皮膚色の変化などがみられます。Aさんの主な症状である乾燥とかゆみを説明する疾患としては適切ではありません。
■認知症の理解
問題81
次の記述のうち,認知症(dementia)のある人にみられる妄想の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自分でしまい忘れた物が見つからず,誰かが盗んだと思い込むのは,嫉妬妄想である。
2 孫と会って話をしたにもかかわらず,孫にずっと会わせてもらえていないと主張するのは,カプグラ症候群である。
3 介護支援専門員(ケアマネジャー)と妻が話しているのを見て,妻の浮気相手だと思い込むのは,幻の同居人である。
4 家族など身近な人がよく似た偽物と入れ替わっていると主張するのは,被害妄想である。
5 身体的疾患がないにもかかわらず,自分が病気だと思い込むのは,心気妄想である。
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
自分でしまい忘れた物が見つからず、「誰かが盗んだ」と思い込むのは、物盗られ妄想です。嫉妬妄想は、配偶者やパートナーが浮気をしていると思い込む妄想です。
選択肢2:× 不適切
孫と会って話をしたにもかかわらず、「会わせてもらえていない」と主張するのは、記憶障害などに関連した訴えと考えられます。カプグラ症候群は、身近な人がよく似た偽物に入れ替わっていると思い込む妄想です。
選択肢3:× 不適切
妻が介護支援専門員と話しているのを見て、浮気相手だと思い込むのは嫉妬妄想です。幻の同居人は、実際にはいない人が家の中にいると思い込むような妄想です。
選択肢4:× 不適切
家族など身近な人が、よく似た偽物と入れ替わっていると主張するのは、カプグラ症候群です。被害妄想は、「悪口を言われている」「嫌がらせをされている」など、自分が被害を受けていると思い込む妄想です。
選択肢5:○ 適切
身体的疾患がないにもかかわらず、自分が重い病気であると思い込むのは、心気妄想です。認知症のある人では、不安や身体感覚の変化、理解力の低下などが背景となって、病気への強い思い込みがみられることがあります。
問題82
次の記述のうち,認知症(dementia)の人への取り組みとその説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 本人ミーティングでは,当事者たちが語り合い社会に発信も行う。
2 認知症初期集中支援チームは,要介護認定を行う。
3 若年性認知症支援コーティネーターは,認知症(dementia)の診断を行う。
4 認知症疾患医療センターは,地域ケア会議を開催する。
5 認知症カフェは,認知症介護指導者を養成する。
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
本人ミーティングは、認知症の本人同士が集まり、自分の思いや生活上の困りごと、希望などを語り合う場です。そこで出された本人の声を、地域づくりや支援のあり方に反映させたり、社会に発信したりする取り組みでもあります。
選択肢2:× 不適切
認知症初期集中支援チームは、認知症が疑われる人や認知症の人、その家族を早期に支援するための専門職チームです。家庭訪問や医療・介護サービスにつなぐ支援を行いますが、要介護認定を行う機関ではありません。
選択肢3:× 不適切
若年性認知症支援コーディネーターは、若年性認知症の人や家族に対して、就労、生活、福祉サービスなどの相談支援を行います。認知症の診断を行うのは医師であり、コーディネーターではありません。
選択肢4:× 不適切
認知症疾患医療センターは、認知症に関する専門医療相談、鑑別診断、地域の医療・介護機関との連携などを担う医療機関です。地域ケア会議を開催する主体としては、市町村や地域包括支援センターなどが中心になります。
選択肢5:× 不適切
認知症カフェは、認知症の人や家族、地域住民、専門職などが気軽に集まり、交流や相談ができる場です。認知症介護指導者を養成する場ではありません。
問題83
次の記述のうち,認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 10分前に施設職員が挨拶しに来たことを,覚えていない。
2 病院にいるのに,自宅にいると思っている。
3 通所介護(デイサービス)を利用中に,出口を探して歩き回る。
4 薬を処方されても,服薬管理ができない。
5 入浴を促すと,湯につかるだけで出てくる。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
10分前の出来事を覚えていないのは、認知症の中核症状である記憶障害に該当します。BPSDではなく、認知機能そのものの低下による症状です。
選択肢2:× 不適切
病院にいるのに自宅にいると思っているのは、見当識障害に該当します。場所や時間、状況が分かりにくくなる中核症状であり、BPSDそのものではありません。
選択肢3:○ 適切
通所介護の利用中に出口を探して歩き回る行動は、認知症の行動・心理症状、つまりBPSDに該当します。不安、混乱、帰宅願望、環境へのなじみにくさなどが背景にあることもあります。
選択肢4:× 不適切
服薬管理ができないのは、記憶力や理解力、実行機能の低下によって起こる生活上の困難です。認知症の中核症状に関連する状態であり、BPSDとしては最も適切とはいえません。
選択肢5:× 不適切
入浴時に湯につかるだけで出てくるのは、手順が分からない、行為の意味が理解しにくいなど、認知機能の低下に関連する可能性があります。歩き回りのようなBPSDを問う選択肢としては、3が最も適切です。
問題84
次の記述のうち,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 古い記憶から障害され,徐々に新しい記憶も障害される。
2 認知機能が変動することが特徴的である。
3 ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の障害は,重度期以降に認められる。
4 見当識障害は,中期以降に認められる。
5 記憶障害は,初期から認められる。
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
アルツハイマー型認知症では、一般的に新しい記憶から障害されやすくなります。昔の出来事は比較的保たれていても、直前に聞いたことや最近の出来事を忘れやすくなるのが特徴です。
選択肢2:× 不適切
認知機能が大きく変動することが特徴的なのは、レビー小体型認知症でみられやすい特徴です。アルツハイマー型認知症では、認知機能が徐々に低下していく経過が一般的です。
選択肢3:× 不適切
アルツハイマー型認知症では、進行に伴ってADLにも影響が出てきます。重度期以降に限らず、中期頃から着替え、入浴、服薬管理など日常生活動作や生活管理に支援が必要になることがあります。
選択肢4:× 不適切
見当識障害は、アルツハイマー型認知症の比較的早い段階からみられることがあります。特に、日付や時間が分かりにくくなる時間の見当識障害が先に現れやすいとされています。
選択肢5:○ 適切
アルツハイマー型認知症では、記憶障害が初期から認められやすいことが特徴です。特に、新しい出来事を覚えにくい、同じことを何度も聞く、約束を忘れるといった近時記憶の障害が目立ちやすくなります。
問題85
次のうち,レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の症状として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ノンレム睡眠行動障害による大声
2 自律神経症状による起立性低血圧(orthostatic hypotension)
3 聴覚認知機能の障害による幻聴
4 側頭葉の萎縮による意味性失語
5 嚥下機能の促進による食欲増加
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
レビー小体型認知症では、レム睡眠行動障害がみられることがあります。夢の内容に合わせて大声を出したり、体を動かしたりすることがありますが、選択肢は「ノンレム睡眠行動障害」としているため適切ではありません。
選択肢2:○ 適切
レビー小体型認知症では、自律神経症状がみられることがあります。起立性低血圧、便秘、発汗異常などが起こることがあり、立ち上がったときのふらつきや転倒にも注意が必要です。
選択肢3:× 不適切
レビー小体型認知症では幻視が特徴的です。人や動物、虫などが見えると訴えることがあります。幻聴がまったくみられないわけではありませんが、代表的な症状としては幻視を押さえておくことが大切です。
選択肢4:× 不適切
側頭葉の萎縮による意味性失語は、前頭側頭型認知症でみられることがあります。レビー小体型認知症の代表的な症状としては適切ではありません。
選択肢5:× 不適切
レビー小体型認知症では、嚥下機能が促進されて食欲が増加するという特徴はありません。進行に伴って嚥下機能が低下することはありますが、この選択肢の説明は適切ではありません。
問題86
次のうち,認知症(dementia)の人の生活をアセスメントするうえで,身体的要因に含まれる項目として,適切なものを1つ選びなさい。
1 性格
2 居住環境
3 人的環境
4 IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)
5 社会とのつながり
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
性格は、その人の考え方や感じ方、行動傾向に関わる要素です。認知症の人を理解するうえで重要ですが、身体的要因ではなく、心理的・個人的要因として考えます。
選択肢2:× 不適切
居住環境は、住まいの構造、室内の配置、段差、照明、生活しやすさなどに関わる要素です。これは身体的要因ではなく、環境的要因に含まれます。
選択肢3:× 不適切
人的環境は、家族、友人、介護職、地域の人など、その人を取り巻く人間関係に関わる要素です。身体的要因ではなく、環境的・社会的要因として捉えます。
選択肢4:○ 適切
IADLは、買い物、調理、掃除、金銭管理、服薬管理、交通機関の利用など、日常生活を送るために必要な応用的な生活動作です。認知症の人の生活をアセスメントするときには、心身機能や生活動作の状態を確認する身体的要因の一つとして重要です。
選択肢5:× 不適切
社会とのつながりは、地域活動、友人関係、外出機会、社会参加などに関わる要素です。認知症の人の生活を支えるうえで大切ですが、身体的要因ではなく、社会的要因に含まれます。
問題87
認知症(dementia)の人への環境の配慮に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 視覚的認識を容易にするために,廊下の手すりに色をつけて目立つようにする。
2 聴覚に影響を与えるために,ピクトグラム(pictogram)を表示する。
3 音の選択的聴取の力を高めるために,BGM(background music)の音量を大きくする。
4 穏やかに生活するために,居室の光の刺激を強くする。
5 落ち着く空間をつくるために,居室を細かい模様の壁紙で統一する。
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
認知症の人は、場所や物の位置が分かりにくくなることがあります。廊下の手すりに色をつけて目立つようにすると、視覚的に認識しやすくなり、安全な移動につながります。
選択肢2:× 不適切
ピクトグラムは、絵や記号で情報を分かりやすく示すものです。視覚的な理解を助けるための表示であり、聴覚に影響を与えるものではありません。
選択肢3:× 不適切
BGMの音量を大きくすると、かえって周囲の音が聞き取りにくくなり、不安や混乱につながることがあります。認知症の人には、音の刺激を強くするよりも、落ち着いた音環境を整えることが大切です。
選択肢4:× 不適切
居室の光の刺激を強くすると、まぶしさや不快感、落ち着かなさにつながることがあります。穏やかに生活するためには、明るさを確保しつつ、強すぎない照明にすることが望まれます。
選択肢5:× 不適切
細かい模様の壁紙は、認知症の人にとって刺激が多く、模様を汚れや虫、段差などと誤認することがあります。落ち着く空間をつくるには、分かりやすく刺激の少ない環境が適しています。
問題88
次の記述のうち,認知症(dementia)の人の遂行機能障害の症状として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ご飯を食べたことを忘れて,ご飯をほしいと言う。
2 包丁の使い方を忘れて,うまく使うことができない。
3 食事が配膳されているが,左側のものを残す。
4 調理の手順を順序だてて行うことができない。
5 皿の模様をおかずと間違えて,スプーンですくおうとする。
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
ご飯を食べたことを忘れて、もう一度ご飯をほしがるのは、記憶障害に該当します。直前の出来事を覚えていられない近時記憶の障害として理解します。
選択肢2:× 不適切
包丁の使い方を忘れて、うまく使うことができないのは、失行に該当します。道具の使い方や、これまでできていた動作が分からなくなる状態です。
選択肢3:× 不適切
食事の左側のものを残すのは、半側空間無視が考えられます。見えていないわけではありませんが、片側の空間を認識しにくくなる症状です。
選択肢4:○ 適切
遂行機能障害とは、物事を計画し、順序立てて実行することが難しくなる症状です。調理の手順を考え、材料を準備し、順番に作業を進めることができない状態は、遂行機能障害に該当します。
選択肢5:× 不適切
皿の模様をおかずと間違えて、スプーンですくおうとするのは、失認に関連する症状です。見えているものを正しく認識できないために起こる状態です。
問題89
Aさん(75歳,男性)は,認知症(dementia)で,通所介護(デイサービス)を利用している。介護福祉職が,「今日は何月何日でしょうか」と聞くと,Aさんは,「9月」と答えた。介護福祉職が,「今朝,Aさんの家の庭にあじさいが咲いていましたね」と言うと,Bさんが,「あじさいが咲くのは6月?」と答えた。介護福祉職は,「そうです。今日は6月22日です」と言い,ホワイトボードに日付とあじさいの絵を描いた。介護福祉職が,「6月生まれの方はいますか」と聞くが,返事がない。介護福祉職は,「今日は6月22日ですが,あと3日でAさんの誕生日ですね」と伝えた。
次のうち,介護福祉職が実施した技法として,適切なものを1つ選びなさい。
1 タッチケア(touch care)
2 アートセラピー(art therapy)
3 リアリティ・オリエンテーション(reality orientation)
4 ライフレビュー(life review)
5 グリーフケア(grief care)
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
タッチケアは、手を添える、さするなどの触れる関わりを通して、安心感やリラックスを促す支援です。今回の場面では、触れるケアは行われていません。
選択肢2:× 不適切
アートセラピーは、絵を描く、作品を作るなどの表現活動を通して、心理的な安定や自己表現を促す方法です。介護福祉職はあじさいの絵を描いていますが、目的は創作活動ではなく、日付や季節の理解を助けることです。
選択肢3:○ 適切
リアリティ・オリエンテーションは、日付、季節、場所、時間、人などの現実見当識を確認し、認識しやすくする支援です。今回、介護福祉職は日付、季節の花、誕生日などを使って、Aさんが現在の日時を理解しやすいように支援しています。
選択肢4:× 不適切
ライフレビューは、これまでの人生を振り返り、思い出や経験を語ることで自己理解や人生の統合を支える方法です。今回の支援は、過去の人生を振り返るものではありません。
選択肢5:× 不適切
グリーフケアは、大切な人との死別などによる悲嘆に寄り添う支援です。今回の場面では、喪失体験や悲嘆への支援は行われていません。
問題90
Aさん(88歳,女性)は,4年前に,認知症(dementia)と診断された。在宅で長男が介護している。Aさんは,3か月前から,何度もトイレ以外で排泄しようとする様子がみられた。長男が繰り返しトイレの場所を教えているが,状態は変わらない。長男はAさんに対して,「何回,同じことを言ったら,わかるんだ」と大声でどなってしまい,その後で落ち込むようになった。また,長男は,「認知症(dementia)がいつまで続くのか」「自分に何か問題があったのではないか」と言って,自分を強く責めている。
次のうち,Aさんの認知症(dementia)を長男が受け入れる過程と考えた場合,このときの長男の心理的特徴に該当する段階として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ショック期
2 否認期
3 混乱期
4 解決への努力期
5 受容期
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
ショック期は、認知症と診断されたことや症状の変化に強い衝撃を受け、どう受け止めてよいか分からない初期の段階です。今回の長男は、介護を続ける中で怒りや自責感が強くなっているため、ショック期よりも混乱期が適切です。
選択肢2:× 不適切
否認期は、認知症であることや症状の進行を認めたくない気持ちが強く、「まだ大丈夫」「認知症ではない」と考えやすい段階です。長男はAさんの状態に直面し、対応に苦しんでいるため、否認期とは異なります。
選択肢3:○ 適切
混乱期は、認知症の症状への対応に困り、怒り、不安、戸惑い、自責感などが強くなる段階です。長男は、Aさんに大声でどなってしまった後に落ち込み、「自分に何か問題があったのではないか」と自分を責めています。この心理状態は混乱期に該当します。
選択肢4:× 不適切
解決への努力期は、認知症の症状や対応方法を理解しようとし、相談や支援を受けながら対応を工夫していく段階です。今回の長男は、まだ強い混乱や自責感の中にあり、解決に向けた具体的な工夫へ進んでいる段階とはいえません。
選択肢5:× 不適切
受容期は、認知症の症状や本人の状態を少しずつ受け止め、その人らしい生活を支える方向へ気持ちが向かう段階です。長男は現在、怒りや落ち込み、自責感が強く、受容期には至っていません。
■障害の理解
問題91
次のうち,障害福祉におけるソーシャルインクルージョン(social inclusion)の考え方の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害のある人とない人を統合する社会
2 障害のある人を権利侵害から守る社会
3 障害のある人の意思決定を支援する社会
4 障害のある人の最善の利益を考える社会
5 障害のある人もない人も包摂する社会
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
障害のある人とない人を「統合する」という表現は、ソーシャルインクルージョンの考え方としてはやや不十分です。単に一つの場にまとめることではなく、すべての人が排除されず、地域社会の一員として参加できることが重要です。
選択肢2:× 不適切
障害のある人を権利侵害から守ることは大切ですが、これは権利擁護の考え方に近い説明です。ソーシャルインクルージョンは、権利を守ることに加えて、社会参加やつながりを保障していく考え方です。
選択肢3:× 不適切
障害のある人の意思決定を支援することは、本人の自己決定を尊重するうえで重要です。ただし、これは意思決定支援の説明であり、ソーシャルインクルージョン全体を表す説明としては不十分です。
選択肢4:× 不適切
障害のある人の最善の利益を考えることは、支援の場面で重要な視点です。しかし、ソーシャルインクルージョンは、支援者側が一方的に最善を考えることではなく、本人を含めたすべての人が社会から排除されずに参加できることを重視します。
選択肢5:○ 適切
ソーシャルインクルージョンとは、障害のある人もない人も、社会から排除されることなく、地域の中で共に生活し、参加できるようにする考え方です。障害の有無にかかわらず、すべての人を包摂する社会を目指す点が重要です。
問題92
知的障害に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害が発達期にあらわれる。
2 障害の原因は明らかである。
3 一般就労は不可能である。
4 療育手帳の等級は障害支援区分である。
5 運動発達の遅れは伴わない。
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
知的障害は、知的機能や適応行動の困難が発達期にあらわれる障害です。発達期から、学習、理解、判断、日常生活や社会生活への適応に支援が必要になることがあります。
選択肢2:× 不適切
知的障害の原因は、染色体異常、出生前後の要因、感染症、外傷などさまざまですが、原因が明らかでない場合もあります。すべての原因が明らかであるとはいえません。
選択肢3:× 不適切
知的障害があるからといって、一般就労が不可能というわけではありません。本人の能力、環境調整、職場の理解、就労支援などにより、一般就労している人もいます。
選択肢4:× 不適切
療育手帳の等級は、知的障害の程度を示すものであり、障害支援区分そのものではありません。障害支援区分は、障害福祉サービスの必要性を判断するための区分です。
選択肢5:× 不適切
知的障害では、必ず運動発達の遅れを伴うとは限りませんが、運動発達の遅れを伴う場合もあります。「伴わない」と言い切るのは適切ではありません。
問題93
次のうち,後遺症によって片麻痺や言語障害を伴うことがある疾患や病態として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 脳血管障害(cerebrovascular disorder)
2 糖尿病(diabetes mellitus)
3 脊髄損傷(spinal cord injury)
4 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)
5 クローン病 (Crohn disease)
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
脳血管障害は、脳梗塞や脳出血などによって脳の血管に障害が起こる疾患です。後遺症として、片麻痺、言語障害、嚥下障害、感覚障害などが残ることがあります。
選択肢2:× 不適切
糖尿病は、血糖値が高い状態が続く疾患です。合併症として神経障害、網膜症、腎症などがみられることがありますが、片麻痺や言語障害を伴う代表的な疾患としては適切ではありません。
選択肢3:× 不適切
脊髄損傷は、脊髄が損傷されることで、麻痺や感覚障害、排泄障害などが生じる状態です。ただし、片麻痺や言語障害は、脳の障害でみられやすい症状であり、脳血管障害が最も適切です。
選択肢4:× 不適切
慢性閉塞性肺疾患は、肺の働きが低下し、息切れや慢性的な咳、痰などがみられる疾患です。呼吸機能の障害が中心であり、片麻痺や言語障害を伴う疾患としては適切ではありません。
選択肢5:× 不適切
クローン病は、消化管に慢性的な炎症が起こる疾患です。腹痛、下痢、体重減少などがみられることがありますが、片麻痺や言語障害を伴う代表的な疾患ではありません。
問題94
次の記述のうち,国際障害者年を契機に,日本の障害福祉に起きた変化として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害者を弱者として保護する捉え方が広まった。
2 ノーマライゼーションの理念が徐々に浸透した。
3 身体障害者福祉法の制定につながった。
4 障害種別ごとの福祉サービス給付が始まった。
5 措置制度から自立支援医療制度へ移行した。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
国際障害者年を契機に広まったのは、障害者を一方的に保護される弱者として捉える考え方ではありません。障害のある人も社会の一員として、地域で共に生活し、参加するという考え方が重視されるようになりました。
選択肢2:○ 適切
国際障害者年を契機に、日本でもノーマライゼーションの理念が徐々に浸透しました。ノーマライゼーションとは、障害のある人もない人も、地域社会の中で普通の生活を送ることができるようにする考え方です。
選択肢3:× 不適切
身体障害者福祉法は、国際障害者年より前に制定されています。そのため、国際障害者年を契機とした変化としては適切ではありません。
選択肢4:× 不適切
障害種別ごとの福祉サービス給付は、国際障害者年を契機に始まったものではありません。障害福祉制度は、時代ごとに身体障害、知的障害、精神障害などの制度が整備されてきました。
選択肢5:× 不適切
措置制度から自立支援医療制度へ移行したという説明は適切ではありません。自立支援医療は、障害者自立支援法により整理された医療費助成制度であり、国際障害者年を契機とした直接の変化ではありません。
問題95
次のうち,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)によくみられる症状として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 感覚障害
2 失禁
3 嚥下障害
4 視力障害
5 便秘
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
ALSでは、主に運動神経が障害されます。そのため、筋力低下や筋萎縮はみられますが、感覚障害は通常目立ちません。しびれや感覚の低下を中心とする疾患ではありません。
選択肢2:× 不適切
ALSでは、排尿や排便を調整する自律神経の機能は比較的保たれやすいとされています。そのため、失禁はALSによくみられる代表的な症状としては適切ではありません。
選択肢3:○ 適切
ALSでは、筋力低下や筋萎縮が進行し、話しにくさや飲み込みにくさがみられることがあります。嚥下障害が生じると、むせ込みや誤嚥、低栄養につながるおそれがあるため、食事場面での観察が重要です。
選択肢4:× 不適切
ALSでは、眼球運動は比較的保たれやすいとされています。視力障害はALSの代表的な症状ではありません。
選択肢5:× 不適切
便秘は、高齢者や活動量が低下した人にみられることがありますが、ALSそのものによくみられる代表的な症状としては、嚥下障害のほうが適切です。
問題96
Aさん(50歳,男性)は,以前は一人暮らしをしていたが,現在は統合失調症(schizophrenia)のため長期入院をしている。症状が軽快して安定したため,医師から間もなく退院できるという説明があった。Aさんは以前と同じように独居を希望しているが,一人で住居を探すのに不安がある。
次のうち,Aさんの希望を実現するために利用する公的な支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域定着支援
2 自立生活援助
3 地域移行支援
4 生活介護
5 同行援護
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
地域定着支援は、単身生活をしている障害者などが、地域での生活を継続できるように、常時の連絡体制や緊急時の支援を行うものです。退院後の生活を支える支援として関係しますが、今回のように退院に向けて住居探しなどを支援する段階では、地域移行支援が適切です。
選択肢2:× 不適切
自立生活援助は、施設や病院などから地域生活へ移行した人などに対して、定期的な訪問や相談対応を行い、自立した生活を支える支援です。退院後の生活支援として活用されることがありますが、退院前に住居探しなど地域生活への移行を支援するものとしては、地域移行支援が最も適切です。
選択肢3:○ 適切
地域移行支援は、障害者支援施設や精神科病院などに入所・入院している人が、地域で生活できるように支援するサービスです。退院に向けた住居の確保、外出への同行、相談支援などを行います。Aさんは長期入院中で、退院後に一人暮らしを希望しているため、地域移行支援の利用が適切です。
選択肢4:× 不適切
生活介護は、常時介護を必要とする障害者に対して、入浴、排泄、食事の介護や創作活動、生産活動の機会などを提供する日中活動系サービスです。住居探しや退院に向けた地域生活への移行支援を目的とするものではありません。
選択肢5:× 不適切
同行援護は、視覚障害により移動が困難な人に対して、外出時の移動支援や情報提供などを行うサービスです。Aさんは統合失調症による長期入院後の退院支援が課題であり、同行援護の対象となる状況ではありません。
問題97
Aさん(45歳,男性)は,1年前,交通事故で頭部外傷を負った。四肢に障害は残らなかったが,高次脳機能障害(higher brain dysfunction)と診断された。
次の記述のうち,Aさんの障害特性を理解した支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 記憶障害によって同じことを何度も質問するが,一度だけ質問に答える。
2 注意障害によって作業のミスが多いため,その度ごとに強く注意する。
3 遂行機能障害によって指示されないと作業ができないため,自分の判断でやるように促す。
4 社会的行動障害によってすぐに怒りだすことがあるため,感情が落ち着くように場面や話題を変える。
5 病識低下によってできないことを認めないため,できないことを指摘する。
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
高次脳機能障害による記憶障害では、同じことを何度も質問することがあります。この場合、一度だけ答えるのではなく、メモや予定表、掲示物などを活用して、本人が確認しやすい方法を整えることが大切です。
選択肢2:× 不適切
注意障害があると、集中が続きにくく、作業のミスが増えることがあります。その度ごとに強く注意すると、本人の混乱や不安が強くなることがあります。作業を短く区切る、刺激の少ない環境にするなどの工夫が必要です。
選択肢3:× 不適切
遂行機能障害では、計画を立てたり、手順に沿って作業を進めたりすることが難しくなります。「自分の判断でやるように」と促すだけではなく、手順を具体的に示し、必要に応じて声かけや確認を行う支援が適切です。
選択肢4:○ 適切
社会的行動障害では、感情のコントロールが難しくなり、怒りっぽくなることがあります。その場合、正面から否定したり叱責したりせず、本人が落ち着けるように、場面や話題を変えることが有効です。
選択肢5:× 不適切
病識低下があると、自分の障害やできないことを理解しにくい場合があります。できないことを一方的に指摘すると、反発や不安につながることがあります。本人が気づきやすいように、具体的な経験を振り返りながら支援することが大切です。
問題98
次のうち,「障害者総合支援法」に規定する補装具として,適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
1 特殊寝台
2 電動車椅子
3 点字器
4 電気式たん吸引器
5 ストーマ装具
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
特殊寝台は、障害のある人の日常生活を支える用具として給付対象になる場合がありますが、補装具ではなく、日常生活用具に分類されるものです。補装具は、身体機能を補完・代替し、身体に適合させて使用する用具として整理されます。
選択肢2:○ 適切
電動車椅子は、「障害者総合支援法」における補装具に含まれます。補装具には、義肢、装具、車椅子、電動車椅子、補聴器、歩行器、歩行補助つえなどがあり、身体機能を補うために使用されます。
選択肢3:× 不適切
点字器は、視覚障害のある人の日常生活を支援する用具ですが、補装具ではなく、日常生活用具として扱われます。補装具と日常生活用具は制度上の位置づけが異なるため、区別して覚えることが大切です。
選択肢4:× 不適切
電気式たん吸引器は、呼吸器機能障害などがある人の日常生活を支える用具として給付対象になる場合がありますが、補装具ではなく、日常生活用具に分類されます。
選択肢5:× 不適切
ストーマ装具は、排泄管理に必要な用具として日常生活用具に含まれます。補装具として問われた場合は、車椅子、電動車椅子、補聴器、義肢、装具などを中心に整理しておくとよいです。
問題99
次の記述のうち,地域における障害者のサポート体制として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護支援専門員は,サービス等利用計画を作成する。
2 相談支援専門員は,個別支援計画を作成する。
3 基幹相談支援センターは,障害支援区分を決定する。
4 地域包括支援センターは,要介護度を決定する。
5 市町村は,地域生活支援事業を行う。
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
サービス等利用計画を作成するのは、相談支援専門員です。介護支援専門員は、介護保険制度においてケアプランを作成し、サービス調整を行う専門職です。
選択肢2:× 不適切
相談支援専門員は、障害福祉サービス等を利用するためのサービス等利用計画を作成します。個別支援計画は、障害福祉サービス事業所などで、サービス管理責任者などが本人の支援内容を具体化するために作成します。
選択肢3:× 不適切
基幹相談支援センターは、地域の相談支援の中核的な役割を担う機関です。総合的・専門的な相談支援や、地域の相談支援体制づくりなどを行いますが、障害支援区分を決定する機関ではありません。
選択肢4:× 不適切
地域包括支援センターは、高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防ケアマネジメントなどを行う機関です。要介護度を決定するのは市町村であり、地域包括支援センターではありません。
選択肢5:○ 適切
市町村は、障害のある人が地域で生活しやすくなるように、地域生活支援事業を行います。相談支援、意思疎通支援、日常生活用具の給付、移動支援など、地域の実情に応じた支援が実施されます。
問題100
次のうち,障害があるためスプーンをうまく握れない人に自助具を作成する職種として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 看護師
2 義肢装具士
3 理学療法士
4 作業療法士
5 言語聴覚士
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
看護師は、療養上の世話や診療の補助を行う専門職です。健康状態の観察や医療的なケアに関わりますが、スプーンを握りやすくする自助具の作成を主に担う職種としては適切ではありません。
選択肢2:× 不適切
義肢装具士は、義手・義足・装具などを製作し、身体に適合させる専門職です。身体機能を補う器具に関わりますが、食事動作を助ける自助具の作成としては、作業療法士がより適切です。
選択肢3:× 不適切
理学療法士は、基本動作能力の回復や維持を目的に、運動療法や物理療法を行う専門職です。立つ、歩く、起き上がるなどの動作支援が中心であり、食事に使う自助具の作成を主に担う職種ではありません。
選択肢4:○ 適切
作業療法士は、食事、更衣、入浴、家事、仕事など、その人の生活に必要な作業や動作を支援する専門職です。スプーンをうまく握れない人に対して、柄を太くする、持ちやすい形にするなど、自助具の作成や調整を行います。
選択肢5:× 不適切
言語聴覚士は、言語、発声、聴覚、嚥下などに関する支援を行う専門職です。飲み込みやコミュニケーションの支援には関わりますが、スプーンを握りやすくする自助具の作成を主に担う職種ではありません。
問題101
次の記述のうち,バイタルサインを測定するときの留意点として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 非接触型体温計による測定では,環境温度に注意する。
2 脈拍の測定では,橈骨動脈に拇指で触れる。
3 呼吸の測定では,ゆっくりと息をするように伝えてから行う。
4 血圧測定では,上腕にマンシェットを隙間のないように巻く。
5 意識レベルは,まず身体を揺さぶって反応をみる。
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
非接触型体温計は、額などの皮膚表面の温度を測定します。そのため、室温、外気、汗、測定部位の状態などの影響を受けることがあります。測定時は、環境温度や測定条件に注意することが大切です。
選択肢2:× 不適切
脈拍を測定するときは、通常、橈骨動脈に示指・中指・薬指などを軽く当てて測定します。拇指には測定者自身の脈拍を感じやすいため、脈拍測定には適していません。
選択肢3:× 不適切
呼吸を測定するときに「ゆっくり息をしてください」と伝えると、本人が意識して呼吸を変えてしまうことがあります。自然な呼吸状態を観察するため、本人に意識させすぎないように測定します。
選択肢4:× 不適切
血圧測定では、マンシェットを上腕に適切な強さで巻きます。きつく巻きすぎたり、隙間がまったくないように強く巻いたりすると、正確な測定ができないことがあります。一般には、指が1〜2本入る程度を目安にします。
選択肢5:× 不適切
意識レベルを確認するときは、まず声をかけて反応をみます。反応がない場合に、肩を軽くたたくなどして確認します。最初から身体を強く揺さぶることは、けがや状態悪化につながるおそれがあるため適切ではありません。
問題102
気管カニューレの構造等に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 気管カニューレは,咽頭に挿入されている。
2 気管カニューレは,交換の必要がない。
3 カフは,カニューレの上端についている。
4 カフには,滅菌蒸留水が入れてある。
5 サイドチューブから,カフの上部の貯留物を吸引することができる。
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
気管カニューレは、気管切開によってつくられた開口部から気管内に挿入されます。咽頭に挿入されているものではありません。
選択肢2:× 不適切
気管カニューレは、汚れや分泌物の付着、閉塞、感染予防などの観点から、状態に応じて交換が必要です。交換は医師や看護師など、医療職が行います。
選択肢3:× 不適切
カフは、気管内でカニューレの先端側にある風船状の部分です。気管壁とのすき間を減らし、空気漏れや誤嚥を防ぐ目的で使用されます。カニューレの上端についているものではありません。
選択肢4:× 不適切
カフには、通常、空気を注入して膨らませます。滅菌蒸留水を入れるものではありません。カフ圧が高すぎると気管粘膜を傷つけるおそれがあるため、管理には注意が必要です。
選択肢5:○ 適切
サイドチューブ付きの気管カニューレでは、カフの上部にたまった唾液や分泌物などを吸引することができます。これにより、分泌物が気管内へ流れ込むことを防ぎ、誤嚥や肺炎の予防につなげます。
問題103
Aさん(85歳,男性)は,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)で,介護老人福祉施設に入所している。ある日,Aさんから,「痰がからんでいて,咳をしても出せない」という訴えがあった。介護福祉士が呼吸回数を確認すると,1分間に22回で,ゴロゴロという音がしていた。看護職からは,右肺に痰が貯留しやすいという情報提供があった。口腔内吸引をすると,粘性の強い透明な痰が吸引できた。
このとき,介護福祉士が喀痰排出を促すためにAさんに行う対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 居室の湿度を30%に保つ。
2 水分摂取を控えるように伝える。
3 左側を下にした体位を勧める。
4 太い吸引チューブに変える。
5 ベッド上での安静を勧める。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
居室の湿度30%は低く、空気が乾燥しやすい状態です。痰が粘くなり、排出しにくくなることがあります。喀痰排出を促すためには、乾燥を避け、適切な湿度を保つことが大切です。
選択肢2:× 不適切
水分摂取を控えると、痰がさらに粘くなり、排出しにくくなることがあります。水分制限が必要な疾患がない場合は、状態を確認しながら適切な水分摂取を促すことが重要です。
選択肢3:○ 適切
右肺に痰が貯留しやすい場合、左側を下にした側臥位をとることで、右肺が上になり、重力を利用して痰の移動や排出を促しやすくなります。喀痰排出を助ける体位として適切です。
選択肢4:× 不適切
吸引チューブの太さを介護福祉士の判断で変更することは適切ではありません。吸引チューブの選択や吸引方法については、医師や看護職の指示・助言に基づいて行う必要があります。
選択肢5:× 不適切
安静にするだけでは、痰の排出が促されにくいことがあります。状態に応じて体位を工夫したり、呼吸しやすい姿勢をとったりすることが大切です。今回のように痰の貯留がある場合は、適切な体位による排痰支援が求められます。
問題104
次の記述のうち,胃の構造として,正しいものを1つ選びなさい。
1 幽門から始まり噴門で終わる。
2 左上方を胃底部といい,食べ物を一時的にためる。
3 左下方の縁を小弯という。
4 胃には3つの生理的狭窄部がある。
5 胃に続く小腸は,空腸という。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
胃は、食道から続く噴門から始まり、十二指腸へつながる幽門で終わります。選択肢は、噴門と幽門の順序が逆になっています。
選択肢2:○ 適切
胃の左上方にふくらんだ部分を胃底部といいます。胃底部は、食べ物や空気を一時的にためる働きがあります。胃の構造を理解するうえで、噴門・胃底部・胃体部・幽門部の位置を整理しておくことが大切です。
選択肢3:× 不適切
胃の内側の短い弯曲部分を小弯といいます。小弯は左下方の縁ではなく、胃の右側寄りの内側にある小さな弯曲です。外側の大きな弯曲は大弯と呼ばれます。
選択肢4:× 不適切
3つの生理的狭窄部があるのは食道です。食道には、咽頭との境目、気管支・大動脈と交差する部位、横隔膜を通る部位などに狭くなりやすい部分があります。胃の構造としては適切ではありません。
選択肢5:× 不適切
胃に続く小腸は十二指腸です。小腸は、十二指腸、空腸、回腸の順につながっています。空腸は十二指腸の次に続く部分です。
問題105
次の記述のうち,ボタン型胃ろうチューブを挿入している利用者に対して,介護福祉士が行うケアとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 胃ろう周囲の皮膚に発赤がある場合は,軟膏を塗布する。
2 1日に2,3回,胃ろうチューブを回転させて,癒着を防ぐ。
3 胃ろうチューブの抜去予防のため,歩行は避けるように勧める。
4 胃ろう周囲の皮膚は石けんとぬるま湯で洗浄して,清潔を保つ。
5 栄養剤を注入する前には,胃ろう部を消毒する。
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
胃ろう周囲の皮膚に発赤がある場合は、感染や皮膚トラブルの可能性があります。介護福祉士が自己判断で軟膏を塗布するのではなく、看護職などに報告し、指示を受けることが必要です。
選択肢2:× 不適切
胃ろうチューブを回転させる対応は、チューブの種類や時期によって扱いが異なります。介護福祉士が自己判断で1日に2、3回回転させるのは適切ではありません。施設の手順や医療職の指示に従うことが大切です。
選択肢3:× 不適切
胃ろうチューブがあるからといって、歩行を避ける必要はありません。利用者の状態に応じて、活動性を保つことは大切です。抜去予防のためには、チューブの固定や衣類の工夫、本人の様子の観察を行います。
選択肢4:○ 適切
胃ろう周囲の皮膚は、石けんとぬるま湯でやさしく洗い、清潔を保つことが大切です。汚れや栄養剤の付着を放置すると、皮膚トラブルにつながることがあります。洗浄後は水分を拭き取り、発赤や浸出液、痛みなどがないか観察します。
選択肢5:× 不適切
栄養剤を注入する前に、毎回胃ろう部を消毒する必要はありません。日常的には清潔を保つケアが基本です。消毒や処置が必要な場合は、医療職の判断や指示に基づいて行います。
以上、Bパート:問題61~105はここまでです。
Cパート・問題106~先は、追ってアップされるこの後の投稿をお待ちください。


