第38回介護福祉士国家試験から、パート合格制度が導入されました。Aパートは午前試験(60問)で構成されています。今回は「生活支援技術」から26問の問題&解答解説を行っていきます。解答解説はそれぞれの問題の下のタブをクリックしてご確認ください。
■生活支援技術
問題35
次の記述のうち,介護福祉職が行う利用者の生活支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者ができないことを代わりに行うことに重点を置く。
2 利用者の全体像をとらえて支援する。
3 利用者がすべてを自分一人でできるようにする。
4 利用者の生活の効率化を図ることを目標にする。
5 利用者に同情する気持ちで寄り添う。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
利用者ができないことをすべて代わりに行う支援は、利用者の残された力やできることを生かしにくくなります。生活支援では、必要以上に代行するのではなく、本人の力を引き出しながら支える視点が大切です。
選択肢2:○ 適切
介護福祉職が行う生活支援では、利用者の身体面だけでなく、心理面、社会面、生活歴、価値観なども含めて全体像をとらえることが重要です。利用者を一人の生活者として理解し、その人らしい生活を支える視点が求められます。
選択肢3:× 不適切
生活支援は、利用者がすべてを一人でできるようにすることだけを目指すものではありません。必要な支援を受けながら、その人らしく安心して暮らせることが大切です。
選択肢4:× 不適切
生活支援の目標は、生活の効率化そのものではありません。利用者の思いや生活の質を尊重しながら、安心して日常生活を送れるように支えることが重要です。
選択肢5:× 不適切
利用者に寄り添う姿勢は大切ですが、同情する気持ちを中心に支援することは適切ではありません。介護福祉職には、利用者の尊厳を守り、専門職として理解と共感に基づいて支援する姿勢が求められます。
問題36
介護老人福祉施設における,快適な室内環境に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 風の通り道をつくって,換気を行う。
2 手すりは,壁紙と同じ色を使う。
3 ベッドライトの光源は,利用者の目に直接あたるように調整する。
4 カビの発生を予防するために,湿度は高く保つ。
5 靴音を小さくするために,硬い床材にする。
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
室内の快適な環境を保つためには、空気のよどみを防ぎ、風の通り道をつくって換気を行うことが重要です。換気は、におい、湿気、感染予防の面からも大切であり、介護老人福祉施設における生活環境の整備の基本となります。
選択肢2:× 不適切
手すりは、利用者が見つけやすく使いやすいように、壁と区別しやすい色にすることが望まれます。壁紙と同じ色では視認しにくくなり、安全性が低下するおそれがあります。
選択肢3:× 不適切
ベッドライトの光源が利用者の目に直接あたると、まぶしさや不快感の原因になります。照明は、必要な明るさを確保しつつ、目に直接入らないように調整することが大切です。
選択肢4:× 不適切
カビの発生を予防するためには、湿度を高く保つのではなく、適切な湿度管理と換気が必要です。湿度が高すぎると、かえってカビが発生しやすくなります。
選択肢5:× 不適切
硬い床材は靴音が響きやすく、転倒時の衝撃も大きくなりやすいため、快適で安全な環境づくりの観点から適切とはいえません。床材は、歩きやすさや安全性、静かさにも配慮して選ぶことが重要です。
問題37
パーキンソン病 (Parkinson disease)の人の住まいに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 玄関の段差には,スロープを設置する。
2 廊下の床には,歩幅に合わせて目印をつける。
3 リビングの床には,大きさの違うカーペットを重ねて敷く。
4 移動空間が狭くなるように,家具を配置する。
5 リビングは1階,浴室は2階にして,階段で行き来する。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
玄関の段差にスロープを設置することは、場合によっては有効ですが、パーキンソン病の人ではすくみ足やバランス障害がみられることがあり、勾配のある移動はかえって不安定になることがあります。住環境の調整は、病状や移動能力に応じて慎重に行う必要があります。
選択肢2:○ 適切
パーキンソン病では、すくみ足がみられることがあり、歩行のきっかけづくりが重要です。廊下の床に歩幅に合わせた目印をつけると、足を出す動作を促しやすくなり、安全な歩行の支援につながります。
選択肢3:× 不適切
カーペットを重ねて敷くと、つまずきや転倒の原因になります。パーキンソン病の人の住まいでは、床面はできるだけ平らで安定した状態に整えることが大切です。
選択肢4:× 不適切
移動空間が狭くなるように家具を配置すると、方向転換や歩行がしにくくなり、転倒の危険も高まります。安全に移動できるよう、十分な動線を確保することが必要です。
選択肢5:× 不適切
パーキンソン病の人にとって階段の昇降は負担が大きく、転倒の危険もあります。日常的に使う部屋や浴室は、できるだけ同じ階にまとめることが望まれます。
問題38
次の記述のうち,歩行が不安定になり,移動の意欲が低下している利用者に対する介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 福祉用具の使用は避けて,自力での歩行を目指すように促す。
2 移動の目的を伝えるよりも,歩行機能の改善を優先する。
3 成功体験を積み重ねることができるように,達成可能な歩行の目標距離を設定する。
4 歩行の不安定さに合わせて,移動範囲を縮小する。
5 本人が希望しなくても,介護福祉職の判断で毎日歩くことを目標にする。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
福祉用具の使用を避けて自力歩行だけを目指すよう促すことは、利用者の不安を強めたり、転倒の危険を高めたりするおそれがあります。必要に応じて福祉用具を活用しながら、安全に移動できるよう支援することが重要です。
選択肢2:× 不適切
移動の意欲が低下している利用者には、歩くこと自体を目的にするだけではなく、「どこへ行くのか」「何のために移動するのか」という目的を共有することが大切です。目的のある移動は意欲の向上につながります。
選択肢3:○ 適切
歩行が不安定で意欲が低下している利用者には、無理のない達成可能な目標距離を設定し、成功体験を積み重ねられるように支援することが適切です。できたという実感は、自信や意欲の回復につながります。
選択肢4:× 不適切
歩行が不安定だからといって移動範囲を一方的に縮小すると、活動量の低下や意欲の低下を招くおそれがあります。安全に配慮しつつ、できる範囲で活動を広げる支援が求められます。
選択肢5:× 不適切
本人が希望しないのに、介護福祉職の判断だけで毎日歩くことを目標にするのは適切ではありません。介護では、利用者本人の意思や意欲を尊重しながら目標を共有していくことが大切です。
問題39
次の記述のうち,右片麻痺のある利用者に対する,仰臥位(背臥位)から車いすへの移乗の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者に右側臥位になって起き上がるように促す。
2 端座位になった利用者の左側に立つ。
3 端座位になった利用者の右側に,車いすを置く。
4 車いすのフットサポートは下げておく。
5 移乗するときは,利用者に前傾姿勢をとるように促す。
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
右片麻痺がある利用者に右側臥位をとらせると、麻痺側を下にすることになり、動きにくく負担が大きくなります。起き上がりでは、一般に非麻痺側を活用しやすい方法を考えることが大切です。
選択肢2:× 不適切
端座位になった利用者の左側に立つことが常に誤りとは限りませんが、この場面で最も重要なのは、移乗動作を安全に行えるよう利用者の重心移動を促すことです。この選択肢は、最も適切な介助の要点を示していません。
選択肢3:× 不適切
右片麻痺の場合は、一般に動かしやすい非麻痺側を活用できるよう車いすの位置を考えます。麻痺側である右側に車いすを置くのは、移乗しにくくなる可能性があります。
選択肢4:× 不適切
移乗時にはフットサポートが足元の邪魔にならないよう、上げておくことが基本です。下げたままでは足を引っかけたり、動作の妨げになったりするおそれがあります。
選択肢5:○ 適切
移乗時には、利用者に前傾姿勢をとってもらうことが重要です。重心を前に移すことで立ち上がりや方向転換がしやすくなり、安全な移乗につながります。
問題40
視覚障害者の歩行時の誘導に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護福祉職は,利用者の半歩後ろで背中を支えながら歩く。
2 介護福祉職は,白杖に触れながら歩く。
3 狭い通路では,介護福祉職は利用者の後ろを歩く。
4 階段利用時は,介護福祉職は階段の前で声かけして止まる。
5 介護福祉職は,利用者が握っている上肢を振って歩く。
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
視覚障害者の誘導では、介護福祉職が半歩前を歩き、利用者が介護福祉職の肘や上腕を軽く持つ方法が基本です。半歩後ろで背中を支えながら歩く方法は、利用者が周囲の状況をつかみにくく、安全な誘導とはいえません。
選択肢2:× 不適切
白杖は利用者が自分で周囲の状況を把握するための大切な補助具です。介護福祉職が白杖に触れながら歩くと、利用者の感覚を妨げたり、歩行の妨げになったりするおそれがあります。
選択肢3:× 不適切
狭い通路では、介護福祉職が前に立ち、利用者が後ろに続く形をとります。ただし、介護福祉職が単に利用者の後ろを歩くのでは、適切な誘導にはなりません。
選択肢4:○ 適切
階段を利用するときは、介護福祉職が階段の前でいったん止まり、「これから上ります」「これから下ります」などと声をかけて利用者に状況を伝えることが大切です。安全確認をしながら一段ずつ進めるための基本的な対応です。
選択肢5:× 不適切
利用者が持っている上肢を振って歩くと、不安や危険につながります。視覚障害者の歩行誘導では、利用者が安心して介護福祉職の動きに合わせられるよう、安定した姿勢で歩くことが重要です。
問題41
身じたくの目的に関する次の記述のうち,国際生活機能分類(ICF)における「心身機能・身体構造」の観点が考えられるものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 体温を調整する。
2 身体を清潔に保つ。
3 セルフケアを行う。
4 自分を表現する。
5 周囲との人間関係を調整する。
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
身じたくには、衣類の調整などを通して体温を保ち、暑さや寒さに対応する役割があります。これは、身体のはたらきを維持することに関わるため、国際生活機能分類(ICF)における「心身機能・身体構造」の観点として考えることができます。
選択肢2:× 不適切
身体を清潔に保つことは身じたくの大切な目的ですが、これは日常生活行為としての側面が強く、ICFでは主に「活動」の観点でとらえられます。
選択肢3:× 不適切
セルフケアを行うことは、ICFでは主に「活動」に位置づけられる内容です。「心身機能・身体構造」の観点そのものを示すものではありません。
選択肢4:× 不適切
自分を表現することは、身じたくの社会的・心理的な意味として重要ですが、ICFでは主に「活動」や「参加」に関わる内容です。「心身機能・身体構造」の観点として最も適切とはいえません。
選択肢5:× 不適切
周囲との人間関係を調整することは、社会生活や対人関係に関わるものであり、ICFでは主に「参加」の観点でとらえられます。「心身機能・身体構造」の観点には当たりません。
問題42
次のうち,介護が必要な利用者への口腔ケアとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 仰臥位(背臥位)で行う。
2 歯垢を除去するためにうがいをしてもらう。
3 歯ブラシで歯を1,2本ずつ磨く。
4 スポンジブラシは乾いた状態で使用する。
5 部分床義歯(局部床義歯)はつけたまま行う。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
口腔ケアを仰臥位で行うと、唾液や水分、汚れを誤嚥する危険があります。介護が必要な利用者に口腔ケアを行うときは、可能であれば座位や半座位にし、顔をやや横に向けるなど、誤嚥を防ぐ姿勢を整えることが大切です。
選択肢2:× 不適切
うがいは口腔内の食べかすを流す助けにはなりますが、歯垢を十分に除去する方法ではありません。歯垢は歯の表面に付着するため、歯ブラシなどで機械的に取り除く必要があります。
選択肢3:○ 適切
歯ブラシで歯を1、2本ずつ丁寧に磨くことは、口腔ケアとして適切です。歯と歯ぐきの境目、奥歯、歯の裏側などに注意しながら、磨き残しがないように少しずつ進めます。
選択肢4:× 不適切
スポンジブラシを乾いた状態で使用すると、口腔粘膜を傷つけるおそれがあります。使用時は水分を含ませ、余分な水分をしぼってから、粘膜や舌などをやさしく清拭します。
選択肢5:× 不適切
部分床義歯は、つけたままでは義歯の内側や残っている歯との接触部分を十分に清掃できません。口腔ケアの際は原則として外し、義歯と口腔内の両方を清潔に保つことが大切です。
問題43
次のうち,右片麻痺の利用者が前開きの上着を着脱するときに介護福祉職が行う説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「脱ぐときは,左肩の衣服を下げてから,右側の袖から腕を抜きましょう」
2 「脱ぐときは,右肩の衣服を下げてから,右側の袖から腕を抜きましょう」
3 「襟元を手前にして,腿の上に置きましょう」
4 「着るときは,右袖を肘まで通してから,左袖を通しましょう」
5 「着るときは,右袖を肩まで通してから,左袖を通しましょう」
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
右片麻痺の利用者が上着を脱ぐときは、動かしやすい左側、つまり非麻痺側から脱ぐのが基本です。ただし、この選択肢では左肩の衣服を下げた後に、麻痺側である右側の袖から腕を抜くとしているため適切ではありません。
選択肢2:× 不適切
脱ぐときは非麻痺側から脱ぐのが基本です。右片麻痺の場合、麻痺側である右肩の衣服を先に下げ、右側の袖から腕を抜く方法は、麻痺側に負担がかかりやすく適切ではありません。
選択肢3:× 不適切
前開きの上着を着るときは、襟元を奥にして膝の上に置くと、麻痺側の袖を確認しやすくなります。「襟元を手前にして置く」という説明は、着衣動作を行いやすくする方法として適切ではありません。
選択肢4:× 不適切
右片麻痺の利用者が上着を着るときは、麻痺側である右袖から通します。ただし、右袖を肘まで通しただけでは、その後に衣服がずれたり、肩まで通しにくくなったりすることがあります。麻痺側の袖は肩までしっかり通してから、非麻痺側の左袖を通すことが適切です。
選択肢5:○ 適切
片麻痺のある利用者の更衣では、「着るときは麻痺側から、脱ぐときは非麻痺側から」が基本です。右片麻痺の場合は、右袖を肩まで通してから左袖を通すことで、麻痺側への負担を少なくし、安全に着衣しやすくなります。
問題44
次のうち,介護老人福祉施設における食事に関する支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 食堂の換気は,不要である。
2 食事中は,会話を控えるようにする。
3 食事が楽しくなるような雰囲気をつくる。
4 食べ終わった利用者の食器は,すぐに下膳する。
5 照明は,明るさを25ルクス(lx)以下にする。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
食堂の換気は、においや空気のよどみを防ぎ、快適な食事環境を保つために必要です。感染予防や衛生管理の面からも、適切な換気を行うことが大切です。
選択肢2:× 不適切
食事中の会話を一律に控えるようにすることは適切ではありません。利用者同士や職員との自然な会話は、食事の楽しみや生活の質につながります。ただし、誤嚥の危険がある場合は、本人の状態に応じた声かけや見守りが必要です。
選択肢3:○ 適切
介護老人福祉施設における食事支援では、栄養摂取だけでなく、食事を楽しめる雰囲気づくりも重要です。落ち着いた環境、季節感、会話、食欲を引き出す配慮などにより、利用者の生活の質を高める支援につながります。
選択肢4:× 不適切
食べ終わった利用者の食器をすぐに下膳すると、まだ食事中の利用者が急かされているように感じることがあります。食事のペースや周囲の雰囲気に配慮し、落ち着いて食事できる環境を整えることが大切です。
選択肢5:× 不適切
25ルクス以下の照明では暗すぎて、食事の色や形が見えにくくなります。食欲や安全な食事動作にも影響するため、食堂では食事が見やすい適切な明るさを確保する必要があります。
問題45
次の記述のうち,椅子に座って食事をするときに,利用者が食事をしやすい姿勢を確保するための介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 足底を床につけてもらう。
2 テーブルと身体の間は30cm離してもらう。
3 椅子に浅く座ってもらう。
4 体幹を後方に傾けてもらう。
5 顎を上げてもらう。
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
椅子に座って食事をするときは、足底を床につけて座位を安定させることが大切です。足が浮いていると姿勢が不安定になり、食事動作や嚥下にも影響しやすくなります。
選択肢2:× 不適切
テーブルと身体の間が30cmも離れていると、食器や箸、スプーンに手が届きにくくなり、前かがみの無理な姿勢になりやすくなります。食事をしやすいように、身体とテーブルの距離は近すぎず遠すぎない位置に調整します。
選択肢3:× 不適切
椅子に浅く座ると、姿勢が不安定になり、ずり落ちや転倒の危険があります。安定して食事ができるよう、深く腰かけて骨盤と体幹を安定させることが大切です。
選択肢4:× 不適切
体幹を後方に傾けると、飲み込みにくくなったり、誤嚥の危険が高まったりします。食事時は、体幹を安定させ、やや前傾姿勢をとれるように支援します。
選択肢5:× 不適切
顎を上げる姿勢は、気道に食べ物や水分が入りやすくなり、誤嚥の危険を高めます。食事の際は、顎を軽く引いた姿勢を保てるように支援することが重要です。
問題46
咀嚼機能が低下した利用者の食事介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 大きめのスプーンで吸い込むように食べてもらう。
2 一口量は,ティースプーンに軽く一杯を目安にする。
3 食べる順番は,介護福祉職の判断で行う。
4 スプーンは,舌の奥にのせるように入れる。
5 咀嚼が始まったら,すぐに次の食べ物を口に入れる。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
大きめのスプーンで吸い込むように食べてもらうと、一口量が多くなり、むせ込みや誤嚥の危険が高まります。咀嚼機能が低下している利用者には、無理なく口に取り込める量と食べ方に配慮する必要があります。
選択肢2:○ 適切
咀嚼機能が低下している利用者では、一口量を少なめに調整することが大切です。ティースプーンに軽く一杯程度を目安にすると、口の中で処理しやすく、誤嚥や食べ残しの予防にもつながります。
選択肢3:× 不適切
食べる順番を介護福祉職だけの判断で決めるのは適切ではありません。利用者の好みや食べやすさ、体調、嚥下状態などを確認しながら支援することが大切です。
選択肢4:× 不適切
スプーンを舌の奥にのせるように入れると、嘔吐反射や誤嚥を引き起こすおそれがあります。スプーンは口元から入れ、利用者が唇で取り込みやすい位置に運ぶことが基本です。
選択肢5:× 不適切
咀嚼が始まった直後に次の食べ物を口に入れると、口腔内に食べ物がたまり、むせ込みや誤嚥の危険があります。飲み込みを確認してから、次の一口を提供することが重要です。
問題47
Aさん(80歳,女性,要介護3)は,介護老人福祉施設で生活している。食事は見守りのもとでほぼ自立しているが,嚥下機能は低下してきている。医師からは,食事摂取に配慮するように指導されている。ある日の昼食中,Aさんは食事を1/3ほど食べたところで箸を止め,表情がこわばり,呼吸もやや浅くなった。
次の記述のうち,介護福祉職が医療職に報告すると同時に,最初に行う対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 血圧を測定する。
2 口腔の状況を観察する。
3 口すぼめ呼吸を促す。
4 その場で仰臥位(背臥位)になってもらう。
5 すぐに薬を服用してもらう。
【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
血圧測定は体調確認として必要になる場合がありますが、この場面では食事中に表情がこわばり、呼吸が浅くなっていることから、まず誤嚥や窒息の可能性を考える必要があります。最初に行う対応としては、口腔内の状態確認が優先されます。
選択肢2:○ 適切
嚥下機能が低下している利用者が食事中に箸を止め、表情がこわばり、呼吸が浅くなった場合は、食べ物が口腔内や咽頭部に残っている可能性があります。医療職へ報告すると同時に、まず口腔内に食物残渣がないか、むせや窒息につながる状態がないかを観察することが適切です。
選択肢3:× 不適切
口すぼめ呼吸は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などで呼吸を整える際に用いられることがあります。この場面では、食事中の嚥下障害や誤嚥・窒息の可能性が考えられるため、最初の対応としては適切ではありません。
選択肢4:× 不適切
その場で仰臥位にすると、口腔内や咽頭部に残った食べ物を誤嚥しやすくなる危険があります。食事中の異変では、安易に寝かせるのではなく、姿勢を保ちながら口腔内の状態を確認することが重要です。
選択肢5:× 不適切
医療職の指示や状態確認がないまま、すぐに薬を服用してもらうことは適切ではありません。嚥下機能が低下している利用者では、服薬そのものが誤嚥につながるおそれもあるため、まず状況を確認し、医療職へ報告することが必要です。
問題48
ベッド上で行う陰部洗浄に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 滅菌手袋を使用して行う。
2 上半身はベッドの手前端に移動する。
3 バスタオルで両下肢を包む。
4 洗浄するときは,43℃のお湯を用いる。
5 終了後は,蒸しタオルで水分を拭き取る。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
陰部洗浄では清潔を保つことが重要ですが、通常は滅菌手袋ではなく、使い捨て手袋を使用します。滅菌操作が必要な医療処置ではないため、滅菌手袋を用いる必要はありません。
選択肢2:× 不適切
利用者の身体をベッドの手前端まで移動すると、転落の危険があります。介護を行いやすい位置に調整することは必要ですが、安全を確保できる位置で行うことが基本です。
選択肢3:○ 適切
ベッド上で陰部洗浄を行うときは、羞恥心や保温に配慮することが大切です。バスタオルで両下肢を包み、必要な部分だけを露出することで、利用者の尊厳を守りながら安全に介助できます。
選択肢4:× 不適切
43℃のお湯は、陰部洗浄に用いるには熱すぎます。陰部の皮膚や粘膜は刺激に弱いため、やけどや不快感を防ぐためにも、ぬるめのお湯を用いることが適切です。
選択肢5:× 不適切
洗浄後は、水分を残さないようにやさしく拭き取ることが大切ですが、蒸しタオルで拭く必要はありません。清潔なタオルなどで押さえるように水分を拭き取り、皮膚トラブルを防ぎます。
問題49
腹部の清拭の方法を図に示す。矢印は拭く方向を表している。
次のうち,基本的な清拭の方法として,最も適切なものを1つ選びなさい。





【解答】2
【解説】
選択肢1:× 不適切
お腹の上から下方向にジグザグに清拭する方法は、腹部の基本的な清拭方法としては適切ではありません。腹部を清拭するときは、力を入れてこすったり、不規則な方向に拭いたりするのではなく、お腹の自然な流れに合わせてやさしく拭くことが大切です。
選択肢2:○ 適切
腹部の清拭は、大腸の流れに沿って、おへその回りを時計回りに「の」の字を描くように行う方法が基本です。身体の仕組みに合わせて清拭することで、利用者に不快感を与えにくく、安楽にも配慮した介護につながります。
選択肢3:× 不適切
へその位置を右から左にジグザグに横へ清拭する方法は、大腸の流れに沿った拭き方ではありません。腹部を横方向にジグザグに拭くと、拭く方向が不自然になり、利用者に違和感を与える可能性があります。
選択肢4:× 不適切
おへその回りを「の」の字とは逆回りに清拭する方法は、大腸の流れに沿った基本的な方法とは異なります。腹部の清拭では、おへその周囲を時計回りに、やさしく円を描くように拭くことが適切です。
選択肢5:× 不適切
下から上方向にジグザグに清拭する方法も、腹部の基本的な清拭方法としては適切ではありません。腹部は、大腸の流れを意識して、おへその回りを時計回りに「の」の字を描くように清拭します。
問題50
Aさん(55歳,男性,会社員)は,20歳のときに交通事故で第5頸髄(C5)を損傷した。現在,電動車いすを使用し,自宅で自立した生活を送っている。身体状況は安定しているが,ときどき仙骨部に褥瘡ができることがある。入浴は,居宅介護(ホームヘルプサービス)を利用していて,訪問介護員(ホームヘルパー)が福祉用具を用いて入浴介護をしている。
次のうち,Aさんが入浴時に使用している福祉用具として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 移乗台
2 バスボード
3 入浴用リフト
4 浴槽用手すり
5 滑り止めマット
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
移乗台は、浴槽の縁に腰かけて浴槽内へ移動するために使用する福祉用具です。Aさんは第5頸髄を損傷しており、電動車いすを使用しています。上肢や体幹の機能に制限があると考えられるため、移乗台だけで安全に入浴することは難しいと考えられます。
選択肢2:× 不適切
バスボードは、浴槽の上に設置して腰かけ、座った姿勢で浴槽へ出入りするための福祉用具です。比較的座位保持や移乗動作が可能な人に用いられます。Aさんの身体状況を考えると、バスボードだけでの入浴支援は適切とはいえません。
選択肢3:○ 適切
入浴用リフトは、座位保持や浴槽への移乗が難しい利用者を、機械の力を用いて浴槽内へ安全に移動させる福祉用具です。Aさんは第5頸髄損傷で電動車いすを使用しており、褥瘡にも配慮が必要です。そのため、身体への負担や介助者の負担を軽減しながら入浴できる入浴用リフトが最も適切です。
選択肢4:× 不適切
浴槽用手すりは、浴槽への出入りや浴槽内での姿勢保持を補助する福祉用具です。自分で手すりをしっかり握り、身体を支えられることが前提となるため、C5損傷のAさんには十分な支援とはいえません。
選択肢5:× 不適切
滑り止めマットは、浴室や浴槽内での滑りを防ぐために使用します。ただし、Aさんのように電動車いすを使用し、浴槽への移乗に大きな支援が必要な場合、滑り止めマットだけでは安全な入浴支援として不十分です。
問題51
Aさん(85歳,男性,要介護3)は,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断され,認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)で生活をしている。入所時,Aさんは,尿意や便意はあり,自分でトイレに行って排泄できていた。最近,認知機能の低下によって,トイレ以外の場所で排泄するようになった。
次のうち,Aさんの状態に合わせた介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 骨盤底筋訓練を行う。
2 紙おむつを使用する。
3 一日の水分摂取量を減らす。
4 ほかの利用者と同じ時間にトイレへ誘導する。
5 トイレの出入口に「トイレ」と書いた紙を貼る。
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
骨盤底筋訓練は、尿失禁の予防や改善に用いられることがあります。しかし、Aさんは尿意や便意があり、もともとは自分でトイレに行けていた人です。今回の課題は、認知機能の低下によってトイレの場所が分かりにくくなっている可能性が高いため、最も適切な対応とはいえません。
選択肢2:× 不適切
すぐに紙おむつを使用すると、Aさんが持っている排泄動作の力を生かしにくくなるおそれがあります。まずは、トイレの場所が分かりやすくなるよう環境を工夫し、自分で排泄できる可能性を支えることが大切です。
選択肢3:× 不適切
水分摂取量を減らすと、脱水や便秘、尿路感染などのリスクが高まります。排泄の失敗を防ぐ目的で安易に水分を制限することは適切ではありません。
選択肢4:× 不適切
ほかの利用者と同じ時間に一律にトイレへ誘導する方法は、Aさん個人の排泄リズムや状態に合っているとは限りません。排泄支援では、本人の生活リズムやサインを確認しながら個別に対応することが大切です。
選択肢5:○ 適切
認知症の進行により、トイレの場所が分かりにくくなることがあります。トイレの出入口に「トイレ」と分かりやすく表示することで、Aさんが自分で場所を認識しやすくなり、これまでの排泄動作を続ける支援につながります。
問題52
次のうち,下痢をしている利用者の水分補給として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 白湯
2 牛乳
3 炭酸水
4 コーヒー
5 冷水
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
下痢をしているときは、水分が失われやすく、脱水を予防するための水分補給が重要です。白湯は胃腸への刺激が少なく、冷たすぎないため、下痢をしている利用者の水分補給として適切です。
選択肢2:× 不適切
牛乳は、人によっては腸を刺激したり、下痢を悪化させたりすることがあります。下痢をしている利用者への水分補給として、最も適切とはいえません。
選択肢3:× 不適切
炭酸水は胃腸を刺激し、腹部膨満感や不快感につながることがあります。下痢をしているときは、刺激の少ない飲み物を選ぶことが大切です。
選択肢4:× 不適切
コーヒーに含まれるカフェインは、利尿作用や胃腸への刺激につながることがあります。下痢によって水分が失われている状態では、適切な水分補給とはいえません。
選択肢5:× 不適切
冷水は胃腸を刺激し、下痢や腹痛を悪化させるおそれがあります。下痢のときは、冷たい水よりも、常温または温かい白湯などを少量ずつ補給することが望まれます。
問題53
Aさん(83歳,男性,要介護1)は,一人暮らしで,少額の年金で生活している。Aさんは軽度の認知症(dementia)と診断を受けている。近所には親しくしている人が複数いる。ある日,訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると,近所のスーパーで購入した未開封の健康食品が山積みになっていた。Aさんが財布を持ってきて,「買いたいものがたくさんあるが,お金が足りない。どうしたらよいか」と訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。
このときの訪問介護員(ホームヘルパー)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「お金は足りているから安心して大丈夫ですよ」と伝える。
2 近所の親しい人に,財布を預かってもらえるか,聞いてみる。
3 鍵付きの引き出しに財布を入れ,訪問介護員(ホームヘルパー)が鍵を管理する。
4 「お金の使い方について,一緒に考えてみませんか」と提案する。
5 健康食品のクーリング・オフを勧める。
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
Aさんは少額の年金で生活しており、健康食品を多数購入して金銭面の不安を訴えています。「お金は足りている」と事実を確認せずに安心させる対応は適切ではありません。本人の不安や生活状況を丁寧に確認する必要があります。
選択肢2:× 不適切
近所の親しい人であっても、安易に財布を預かってもらうことは適切ではありません。金銭管理はトラブルにつながりやすいため、本人の意思や権利を尊重しながら、必要に応じて専門的な支援につなげることが大切です。
選択肢3:× 不適切
訪問介護員が財布の鍵を管理することは、金銭管理を職員が引き受けることになり、不適切です。利用者の財産管理に関わる対応は、事業所のルールや制度的な支援に基づいて慎重に行う必要があります。
選択肢4:○ 適切
Aさんは軽度の認知症があり、金銭管理に不安が生じている可能性があります。まずは本人の思いを尊重しながら、「お金の使い方について一緒に考える」ことを提案する対応が適切です。必要に応じて、介護支援専門員や地域包括支援センター、日常生活自立支援事業などの支援につなげることも考えられます。
選択肢5:× 不適切
クーリング・オフは、訪問販売など一定の取引で適用される制度です。今回の健康食品は近所のスーパーで購入したものとされており、通常の店舗購入では原則としてクーリング・オフの対象にはなりません。そのため、最も適切な対応とはいえません。
問題54
繊維や衣類の性質と洗濯方法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 綿の柄物シャツには酸素系漂白剤を使う。
2 ナイロンのレインウエアは脱水時間を長くする。
3 ウールのニットセーターは乾燥機を使う。
4 レーヨンのパジャマはすすぎ時間を長くする。
5 絹のブラウスには弱アルカリ性洗剤を使う。
【解答】1
【解説】
選択肢1:○ 適切
綿の柄物シャツに漂白剤を使う場合は、色柄物にも使用できる酸素系漂白剤を選ぶことが適切です。塩素系漂白剤は色落ちや生地の傷みにつながることがあるため、衣類の表示を確認して使用します。
選択肢2:× 不適切
ナイロンのレインウエアは、水を含みにくく乾きやすい素材です。脱水時間を長くすると、生地や防水加工を傷めるおそれがあります。洗濯表示を確認し、必要以上に強い脱水を避けることが大切です。
選択肢3:× 不適切
ウールのニットセーターは、乾燥機を使うと縮みや型崩れを起こしやすい素材です。洗濯表示に従い、平干しなどで形を整えて乾かすことが基本です。
選択肢4:× 不適切
レーヨンは水に弱く、ぬれると縮みや型崩れが起こりやすい素材です。すすぎ時間を長くすると生地を傷めるおそれがあるため、洗濯表示に従って短時間でやさしく扱う必要があります。
選択肢5:× 不適切
絹はデリケートな繊維で、弱アルカリ性洗剤では傷みやすい素材です。洗濯する場合は、洗濯表示を確認し、おしゃれ着用の中性洗剤などを使用することが適切です。
問題55
Aさん(82歳,女性,要介護1)は,訪問介護(ホームヘルプサービス)を週1回利用し,生活援助を受けながら,自宅で一人暮らしをしている。調理はAさん本人が行うなど,できることは自分で行いたいと思っている。ある日,訪問介護員(ホームヘルパー)はAさんから買物リストを渡されて,近くのスーパーで食材を購入してきた。
次の記述のうち,Aさんへの生活援助における訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 依頼された食材が安かったので,リストに書かれた数より多く購入した。
2 おつりとレシート,購入した食材の確認を,Aさんにすべて任せた。
3 冷蔵庫を開けたとき,賞味期限切れの食材があったため廃棄した。
4 買物リストは,次から訪問介護員(ホームヘルパー)が書くことを提案した。
5 購入した食材で調理しにくいものがないか,Aさんに確認した。
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
依頼された食材が安かったとしても、利用者の了承を得ずにリストより多く購入することは適切ではありません。生活援助では、利用者の希望や金銭管理を尊重し、依頼された内容に沿って支援することが大切です。
選択肢2:× 不適切
おつり、レシート、購入品の確認をAさんにすべて任せるのは適切ではありません。金銭を扱う支援では、訪問介護員が一緒に確認し、金額や品物に誤りがないようにする必要があります。
選択肢3:× 不適切
賞味期限切れの食材があっても、訪問介護員が本人の了解なく廃棄することは適切ではありません。利用者の所有物であるため、まずAさんに確認し、本人の意思を尊重して対応します。
選択肢4:× 不適切
Aさんは、買物リストを自分で作成できています。次から訪問介護員が書くことを提案すると、Aさんのできる力を奪ってしまうおそれがあります。できることは本人が続けられるよう支援することが大切です。
選択肢5:○ 適切
Aさんは調理を自分で行いたいと思っています。そのため、購入した食材の中に調理しにくいものがないか確認することは、本人のできる力を生かしながら生活を支える対応として適切です。利用者の自立支援と安全に配慮した生活援助につながります。
問題56
次の記述のうち,良質な睡眠のための環境づくりとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 日中は,強度の高い運動を多く取り入れる。
2 夜食は,就寝直前にとる。
3 入浴は,就寝の1~2時間前に行う。
4 眠気がなくても,決まった時間に目を閉じる。
5 寝ている間も,照明は明るくしておく。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
日中に体を動かすことは良質な睡眠につながりますが、強度の高い運動を多く取り入れることが適切とは限りません。高齢者や介護が必要な利用者では、体力や疾患の状態に合わせて、無理のない活動量に調整することが大切です。
選択肢2:× 不適切
就寝直前に夜食をとると、胃腸が働き続けて眠りが妨げられることがあります。良質な睡眠のためには、就寝前の食事は控え、胃腸に負担をかけない生活リズムを整えることが望まれます。
選択肢3:○ 適切
入浴は、就寝の1~2時間前に行うと、入浴後に体温がゆるやかに下がり、自然な眠気につながりやすくなります。熱すぎない湯温でリラックスできるようにすることも、良質な睡眠の環境づくりとして大切です。
選択肢4:× 不適切
眠気がないまま無理に目を閉じて横になり続けると、かえって緊張や焦りが強まり、眠りにくくなることがあります。生活リズムを整えることは大切ですが、眠気や本人の状態に合わせた支援が必要です。
選択肢5:× 不適切
寝ている間も照明を明るくしておくと、睡眠の質が低下しやすくなります。安全確認に必要な明かりは確保しつつ、眠りを妨げないよう、室内は落ち着いた暗さに調整することが適切です。
問題57
Aさん(83歳,女性,要介護3)は,脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左片麻痺があり,介護老人福祉施設に入所している。ある日の夜間,仰臥位(背臥位)で寝ていたAさんが,「背中が重く感じて,眠れない」と介護福祉職に訴えた。
次の記述のうち,介護福祉職がAさんに行う介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ファーラー位にして,左下肢にクッションを入れる。
2 両上肢の下に,クッションを入れる。
3 両膝窩部に,クッションを入れる。
4 右側臥位にしてクッションを抱いてもらう。
5 右下肢の足部に,クッションを入れる。
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
ファーラー位は上半身を起こした姿勢で、呼吸がしやすい場合などに用いられます。しかし、Aさんは「背中が重く感じて眠れない」と訴えており、仰臥位による背部への圧迫感を軽減する対応が優先されます。左片麻痺があるため、左下肢だけにクッションを入れる対応も十分とはいえません。
選択肢2:× 不適切
両上肢の下にクッションを入れることは、腕の安楽や拘縮予防に役立つ場合があります。ただし、今回の訴えは背中の重さであり、背部への圧迫を軽減する対応としては不十分です。
選択肢3:× 不適切
両膝窩部にクッションを入れると、膝の裏を圧迫し、血流を妨げるおそれがあります。下肢を支える場合でも、膝窩部を強く圧迫しないように配慮する必要があります。
選択肢4:○ 適切
仰臥位で背中が重く感じる場合は、体位変換によって背部への圧迫を軽減することが大切です。左片麻痺があるAさんでは、麻痺側である左側を下にするよりも、非麻痺側の右側臥位にしてクッションを抱いてもらうことで、安楽な姿勢を保ちやすくなります。
選択肢5:× 不適切
右下肢の足部にクッションを入れるだけでは、背中の重さや背部への圧迫感の軽減にはつながりにくいです。Aさんの訴えに対しては、体位変換による安楽な姿勢の確保が優先されます。
問題58
次の記述のうち,介護老人福祉施設で,終末期にある利用者とその家族に行う介護福祉職の支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の苦しそうな姿を見せないように,家族には面会を控えてもらう。
2 利用者と家族の関係が良好でない場合は,家族と連絡を取らないようにする。
3 好きなものや食べたいものがある場合は,家族に持ってきてもらう。
4 苦痛を訴える場合は,家族から激励してもらう。
5 家族が不安になるため,体調の変化は伝えないようにする。
【解答】3
【解説】
選択肢1:× 不適切
終末期にある利用者にとって、家族と過ごす時間は大切な意味をもちます。苦しそうな姿を見せないように面会を控えてもらうのではなく、本人と家族の希望を確認しながら、できるだけ穏やかに一緒の時間を過ごせるよう支援することが大切です。
選択肢2:× 不適切
利用者と家族の関係が良好でない場合でも、介護福祉職が一方的に家族と連絡を取らないようにすることは適切ではありません。本人の意思や家族関係、施設の方針を確認しながら、必要な連絡や調整を丁寧に行うことが求められます。
選択肢3:○ 適切
終末期の支援では、利用者の希望やその人らしさを大切にします。好きなものや食べたいものがある場合は、医療職と相談しながら、安全に配慮したうえで家族に持ってきてもらうことは、本人の楽しみや安らぎにつながる適切な支援です。
選択肢4:× 不適切
苦痛を訴えている利用者に対して、家族から激励してもらうことは、かえって本人の負担になる場合があります。苦痛があるときは、まず医療職と連携して苦痛の緩和を図り、本人の気持ちに寄り添う支援が大切です。
選択肢5:× 不適切
家族が不安になることを理由に体調の変化を伝えないのは適切ではありません。終末期では、家族が状況を理解し、本人との時間を大切に過ごせるよう、必要な情報を分かりやすく伝え、支えることが重要です。
問題59
次の記述のうち,施設で亡くなった利用者家族への介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 悲しみの表出があった時点からかかわりを開始する。
2 傾聴よりも励ますことを重視する。
3 悲嘆は特異な反応のため注意する。
4 故人との思い出には触れないようにする。
5 悲嘆が長期化した場合は,専門医等へ相談するように助言する。
【解答】5
【解説】
選択肢1:× 不適切
利用者家族への支援は、悲しみの表出があってから始めるものではありません。終末期から看取り後にかけて、家族の不安や思いを受け止めながら継続的に関わることが大切です。
選択肢2:× 不適切
家族が悲しんでいるときに、励ますことを優先すると、家族が自分の気持ちを十分に表出しにくくなる場合があります。まずは家族の思いを否定せず、傾聴する姿勢が重要です。
選択肢3:× 不適切
悲嘆は、大切な人を亡くしたときに生じる自然な反応です。悲しみ、怒り、後悔、無力感などが表れることもありますが、それ自体を特異な反応と決めつけるのは適切ではありません。
選択肢4:× 不適切
故人との思い出に触れることは、家族が気持ちを整理する助けになる場合があります。家族の様子や希望に配慮しながら、故人を大切に思う気持ちを共有する関わりが求められます。
選択肢5:○ 適切
悲嘆が長期化し、日常生活に大きな支障が出ている場合などは、専門的な支援が必要になることがあります。介護福祉職は家族の様子を見守り、必要に応じて専門医や相談機関への相談を助言することが適切です。
問題60
次のうち,固定式歩行器が適した利用者として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 対麻痺で,下肢を交互に出すことができない人
2 片麻痺があって,麻痺側の指関節の拘縮がある人
3 両上肢の筋力が弱く,手関節に痛みがある人
4 両手の握力が保たれていて,数秒程度の立位保持ができる人
5 右の足根骨を骨折して,右下肢に体重をかけることができない人
【解答】4
【解説】
選択肢1:× 不適切
固定式歩行器は、歩行器を持ち上げて前に置き、体重を支えながら下肢を交互に出して歩く福祉用具です。対麻痺で下肢を交互に出すことができない人には適していません。
選択肢2:× 不適切
固定式歩行器を使用するには、両手で歩行器を握り、上肢で身体を支える力が必要です。麻痺側の指関節に拘縮がある場合、歩行器を安全に握ることが難しくなるため、最も適切とはいえません。
選択肢3:× 不適切
固定式歩行器は、両上肢で身体を支える必要があります。両上肢の筋力が弱く、手関節に痛みがある人では、歩行器を十分に操作できず、手首への負担も大きくなるため適していません。
選択肢4:○ 適切
固定式歩行器は、両手で握って身体を支えながら使用します。そのため、両手の握力が保たれていて、数秒程度の立位保持ができる人に適しています。歩行時の安定性を高め、転倒予防にもつながります。
選択肢5:× 不適切
右下肢に体重をかけられない人は、免荷を考えた移動方法が必要です。固定式歩行器だけでは、患側下肢への荷重を避けながら安全に移動する支援として十分とはいえません。通常は医療職の指示に基づき、松葉杖や歩行器などの適否を慎重に判断します。
以上、問題35~60はここまでです。
Bパート・問題61~先は、追ってアップされるこの後の投稿をお待ちください。


