今週は、2027年度の介護報酬改定と障害福祉サービス等報酬改定に向けた議論が進みました。通所系サービスの身体的拘束等の適正化、介護現場のカスタマーハラスメント対策、障害福祉の相談支援における中立性の確保など、事業所運営に関わる案が示されています。
以下は、10月31日から11月6日までに発信された資料・記事をもとに整理したものです。審議会や検討チームで示された案は、現行の基準や報酬の変更を意味するものではありません。
【★注目】通所系サービスに身体的拘束等の適正化措置と未実施減算を提案
発信日:2026.11.06
要旨
厚生労働省は第274回介護給付費分科会で、通所系サービスに身体的拘束等の適正化のための措置を義務付ける案を示しました。対象として挙げられたのは、通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護です。
案には、対策を検討する委員会の開催、指針の整備、定期的な研修と、措置等が講じられていない場合の基本報酬の減算が含まれます。一定期間の経過措置も提案されました。身体的拘束等の原則禁止と、緊急やむを得ず行った場合の記録は、すでに運営基準に定められています。今回の論点は、適正化に向けた組織的な措置を通所系サービスにも広げるかどうかです。
出典:厚生労働省「第274回社会保障審議会介護給付費分科会」資料3、28ページ
元記事URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001766540.pdf
【★注目】介護現場のカスタマーハラスメント対策を運営基準にも位置付ける案
発信日:2026.11.06
要旨
厚生労働省は、介護事業者が講ずべきカスタマーハラスメント対策を、介護サービスの運営基準にも位置付ける案を示しました。具体的な内容は、改正労働施策総合推進法に基づく指針などを踏まえ、運営基準の解釈通知で明確にする考えです。
事業主に雇用管理上の防止措置を求める法律は、2026年10月1日に施行されています。今回の議論は、その措置を介護サービスの運営基準上でも明確にするものです。資料では、利用者・家族との相互理解を図ることに加え、事案が起きた際には管理者等が関わり、事実確認や職員への配慮を組織として行うことが重視されています。
出典:厚生労働省「第274回社会保障審議会介護給付費分科会」資料5、17~18ページ
元記事URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001766559.pdf
【★注目】障害福祉の相談支援 特定事業者への利用集中に減算案
発信日:2026.11.05
要旨
第68回障害福祉報酬改定検討チームでは、計画相談支援と障害児相談支援の中立性・公正性が議論されました。厚生労働省は、特定のサービス提供事業者への利用が一定割合に集中した場合、相談支援の基本報酬を減算する仕組みの創設を提案しています。
中山間地域や離島などでサービス提供事業所が少ない場合や、医療的ケアが必要な人、強度行動障害の状態にある人などを主に支援する事業所には、正当な理由があれば減算を適用しない案も示されました。集中を判定する割合や減算の単位数など、具体的な仕組みは決まっていません。
出典:厚生労働省「第68回障害福祉報酬改定検討チーム」資料1「計画相談支援及び障害児相談支援に係る報酬・基準について」
元記事URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001765970.pdf
居宅サービス事業所等の事故防止 指針・研修・担当者の設置を提案
発信日:2026.11.06
要旨
第274回介護給付費分科会では、居宅サービス事業所等における事故防止の体制整備も議論されました。厚生労働省は、事故防止の指針の整備、事故発生時等の報告と分析を踏まえた改善策の従業者への周知、定期的な研修、これらを適切に実施するための担当者の設置を義務付ける案を示しています。
小規模事業所の負担に配慮し、委員会は一律に義務付けない考えです。研修は他事業所との共同開催も可能とし、1年間の経過措置を設ける案も示されました。居宅療養管理指導については、一定の介護サービス提供実績がある事業所を義務付けの対象とする方向です。
出典:厚生労働省「第274回社会保障審議会介護給付費分科会」資料3、51ページ
元記事URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001766540.pdf
サービス管理責任者等の研修修了状況 変更届で確認する仕組みを検討
発信日:2026.11.05
要旨
第68回障害福祉報酬改定検討チームでは、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の研修修了状況を、指定権者が継続して確認する方法が議論されました。厚生労働省は、指定申請書と変更届出書の標準様式に、実践研修・更新研修の修了日や次回の更新研修修了期限を記載する欄を設ける案を示しています。
資料には、サービス管理責任者が更新研修等を修了する都度、事業所が変更届出書を提出する案も記されています。相談支援専門員の現任研修についても、同様の対応を検討する考えです。現時点で新たな届出義務が始まったわけではありません。
出典:厚生労働省「第68回障害福祉報酬改定検討チーム」資料2、2~3ページ
元記事URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001765971.pdf
特別養護老人ホームの透析患者支援 送迎を含む一連の対応を評価する案

発信日:2026.11.02
要旨
第273回介護給付費分科会では、介護老人福祉施設における透析患者の受入れ・支援が議論されました。現在の特別通院送迎加算は血液透析の通院送迎を評価していますが、厚生労働省の資料では、透析を続ける入所者への支援には送迎以外にもさまざまな対応が必要だとしています。
厚生労働省は、継続的な透析が必要な入所者を受け入れ、医療機関との連携体制を確保しながら行う、送迎を含めた一連の支援を総合的に評価する案を示しました。血液透析患者と腹膜透析患者の受入れ体制が議論の対象です。加算の見直し内容や算定要件は決まっていません。
出典:厚生労働省「第273回社会保障審議会介護給付費分科会」資料1、18ページ
元記事URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001765516.pdf
介護老人保健施設の初期加算(Ⅰ) 対象となる退院元の拡大を提案
発信日:2026.11.02
要旨
厚生労働省は第273回介護給付費分科会で、介護老人保健施設の初期加算(Ⅰ)について、評価対象となる退院元を広げる案を示しました。現行の加算は、急性期医療を担う医療機関の一般病棟に入院後、30日以内に退院して介護老人保健施設に入所した人を対象とする仕組みです。
今回の案では、急性期医療を担う医療機関の一般病棟以外から退院した人も評価対象に含めることが提案されています。医療機関から早期に退院した人の受入れを促すための議論であり、対象となる病棟などの詳細は今後の検討によります。現行の算定要件が変更されたわけではありません。
出典:厚生労働省「第273回社会保障審議会介護給付費分科会」資料2、12~14ページ
元記事URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001765517.pdf
老健の在宅復帰率 特養への退所を算定対象に含める案
発信日:2026.11.02
要旨
第273回介護給付費分科会では、介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援等指標についても議論されました。厚生労働省は、特別養護老人ホームへの退所を在宅復帰率の算定対象に含めるなど、指標の算出方法を見直す案を示しています。
資料では、診療報酬との整合性や、特別養護老人ホームが利用者の移行先となっていることを踏まえた提案とされています。特養への退所を一般的な意味で「自宅に戻ること」と呼ぶものではなく、老健の評価に用いる指標の計算方法に関する論点です。どのような算出方法になるかは、今後の議論で確認が必要です。
出典:厚生労働省「第273回社会保障審議会介護給付費分科会」資料2、43ページ
元記事URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001765517.pdf
☆今週の注目記事を梅沢が読む!
今週、私が特に注目したのは、介護現場のカスタマーハラスメント対策です。事業主に求められる雇用管理上の措置に続き、介護サービスの運営基準でも対応を明確にする案が示されました。
介護の現場では、職員の安全と利用者への支援の両方を考える必要があります。認知症や疾病の影響が考えられる言動なら、その背景や支援方法を確かめたい。同時に、職員に危険が及ぶおそれがあれば、安全確保を後回しにはできません。
大切なのは、その判断を対応した職員一人に任せないことです。起きたことを記録し、管理者を交えて利用者の状態と職員の安全を確認する。必要に応じて関係者とも相談する。今回の議論を、事業所の対応手順が実際に機能するかを見直す機会として捉えたいと思います。
この記事について
本記事は、介護・福祉分野の各報道機関、業界紙、公的機関が公表した情報をもとに、内容を要約・整理したダイジェスト記事です。各記事の詳細は、掲載している出典・元記事をご確認ください。
編集・解説:梅沢佳裕
ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表/最新福祉情報サイト「介護キャンパス」主宰
介護・福祉分野の制度動向、現場実務、研修企画に関する情報を継続的に発信しています。本記事では、各媒体で公表されたニュース・記事をもとに、介護・福祉現場に関わる動きを横断的に整理し、要点がつかみやすい形で解説しています。
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