介護福祉士国家試験の過去問を解いていると、「知っているはずの問題を間違えた」「2つの選択肢までは絞れたのに、最後の判断で迷った」という経験はありませんか。
こうした誤答には、専門知識の不足だけでなく、問題文や選択肢に含まれる条件を正確に読み取れていないことが関係しています。
例えば、介護保険制度の対象年齢を覚えていても、被保険者になる条件と保険給付を受ける条件を混同すれば、正解を選べません。
また、介護技術の基本的な手順を覚えていても、利用者の身体状況や支援場面の条件を読み落とすと、判断を誤ることがあります。
第39回介護福祉士国家試験は、2027年1月31日(日)に実施されます。出題数は125問、出題形式は五肢択一を基本とする多肢選択形式です。
今回は、国家試験の選択肢で間違えやすい6つのパターンを取り上げ、正誤を判断するための読み方と解答の手順を詳しく解説します。
この記事で学べること
- ひっかけ選択肢で注意したい6つのパターン
- 問題文と選択肢の正確な読み取り方
- 2つの選択肢で迷ったときの判断方法
- 知識を使って正解を選ぶための確認手順
- 選択肢を読み違えた場合の復習方法
この記事で解き方を確認した後は、実践問題で理解を確かめてみましょう。
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1.介護福祉士国家試験で注意したい「ひっかけ選択肢」6つのパターン
国家試験には、正しい専門用語が含まれていても、説明の一部分が誤っている選択肢があります。
また、一般的には正しい説明でも、設問に示された利用者の状態や制度上の条件に合っていない場合があります。
ただし、「必ず」という言葉があるから誤り、「本人の意思を尊重する」と書かれているから正しい、といった判断はできません。
選択肢の表現を手掛かりにしながら、専門知識と照らし合わせて正誤を判断することが基本です。
パターン①「必ず」「すべて」「のみ」などの断定表現
選択肢に「必ず」「すべて」「のみ」「一切」「常に」といった言葉が使われている場合は、その内容が正しいか慎重に確認します。
例えば、次の記述です。
例題
「認知症の人は、すべての生活上の意思決定を家族が代わりに行う」
この記述は誤りです。
認知症があっても、本人の意思を尊重し、必要な情報提供や意思表明の支援を行うことが基本だからです。
ここでは「すべて」という言葉に注意します。認知症の診断があることだけを理由に、本人の意思決定を一律に家族へ委ねることはできません。
一方、法令で明確に定められた要件には、「すべて」「必ず」などの断定的な表現が適切に用いられる場合もあります。
攻略ポイント
断定表現を見つけたら、次の点を確認します。
- 例外が認められる内容か。
- 個別の状態によって判断が変わる内容か。
- 法令などで明確に定められた要件か。
断定表現の有無だけで正誤を決めないことが重要です。
パターン② 対象者・実施主体・年齢の入れ替え
社会の理解などの制度問題では、「誰が対象か」「誰が実施するか」「何歳から該当するか」という条件が重要です。
代表例が介護保険制度です。
例題
「介護保険の第2号被保険者は、40歳以上65歳未満のすべての住民である」
この記述は誤りです。
第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。「すべての住民」という部分が正確ではありません。
さらに、被保険者になる条件と介護保険給付を受ける条件にも違いがあります。
第2号被保険者が介護保険の給付対象となるには、特定疾病に起因する要介護状態または要支援状態について認定を受ける必要があります。
攻略ポイント
制度問題では、次の内容を分けて考えます。
- 対象者:誰が制度の対象になるのか。
- 年齢:何歳から何歳までが対象か。
- 実施主体:誰が制度を運営・実施するのか。
- 要件:どのような条件を満たす必要があるのか。
制度名を知っているだけで判断せず、対象や条件まで確認しましょう。
パターン③ 原則と例外の条件が混同されている
介護・福祉制度には、原則的な取扱いと、一定の条件を満たした場合に認められる例外があります。
この違いを正確に理解しているかが問われる場合があります。
例題
「介護施設では、家族の同意を得ていれば身体拘束を行うことができる」
この記述は誤りです。
介護保険施設における身体拘束等は、原則として禁止されています。
緊急やむを得ない場合に該当するかどうかは、切迫性・非代替性・一時性の三つの要件をすべて満たすことが必要です。
家族の同意だけで実施が認められるわけではありません。
また、三要件を満たすか慎重に確認し、組織的な判断や必要な説明・記録なども行う必要があります。
攻略ポイント
例外が書かれている場合は、次の点を確認します。
- そもそもの原則は何か。
- どのような場合に例外が認められるか。
- 必要な要件がすべて満たされているか。
特に「家族が同意した場合」「緊急の場合」「事故防止のため」などの説明は、それだけで正しいと判断しないよう注意しましょう。
パターン④ 専門用語は正しいが、説明内容が違う
専門用語が正しく使われていても、その意味や説明が誤っている場合があります。
例えば、ICF(国際生活機能分類)の問題です。
例題
「ICFにおける『活動』とは、地域や社会の生活場面への関わりを意味する」
この記述は誤りです。
ICFでは、「活動」は個人が課題や行為を遂行すること、「参加」は生活・人生場面への関わりを指します。
「活動」と「参加」は関連する概念ですが、定義が異なります。
同じように、介護過程における「アセスメント」と「評価」も混同しやすい専門用語です。
アセスメントでは、利用者の状態や生活状況、本人の希望などの情報を収集・分析します。
評価では、実施した支援の結果や目標の達成状況を確認し、必要に応じて計画の見直しにつなげます。
攻略ポイント
専門用語が出てきたら、次の点を確認します。
- その用語の定義を正確に説明しているか。
- 似た専門用語と取り違えていないか。
- 説明している内容と用語が一致しているか。
専門用語を見て安心せず、選択肢の説明まで読むことが大切です。
パターン⑤ 介護方法は正しくても、利用者の状態に合わない
生活支援技術では、一般的な介助方法を理解していることに加え、設問に示された利用者の状態を読み取る必要があります。
例えば、右片麻痺のある利用者の更衣介助です。
例題
「右片麻痺のある利用者が上衣を着る場合、動かしやすい左腕から袖を通す」
この記述は、一般的な更衣介助の基本に照らすと誤りです。
片麻痺のある利用者の更衣介助では、一般的に「着患脱健(ちゃっかんだっけん)」を基本とします。
着るときは患側から、脱ぐときは健側から行います。
したがって、右片麻痺の場合は、上衣を着る際に右腕から袖を通すのが基本です。
ただし、実際の介助では、麻痺の程度、関節可動域、痛み、衣服の形状なども考慮する必要があります。
攻略ポイント
介護技術の問題では、次の条件に着目します。
- 利用者の身体状況や残存機能
- 介助を行う場面
- 安全上の注意点
- 本人が行える動作
- 使用している福祉用具や生活環境
同じ介助でも、利用者の状態によって適切な方法が変わることを理解しましょう。
パターン⑥ 前半は正しいが、後半の結論が誤っている
選択肢の前半に正しい内容が書かれていると、後半まで十分に確認せず、正しいと判断してしまうことがあります。
例題
「認知症の人は判断に時間がかかる場合があるため、介護福祉職が本人に代わって生活上の希望を決定する」
前半の「判断に時間がかかる場合がある」という説明は適切です。
しかし、そのことを理由に、介護福祉職が本人に代わって希望を決定するという結論は適切ではありません。
本人が理解しやすい方法で説明する、選択肢を整理する、考える時間を確保するなどの支援が必要です。
攻略ポイント
選択肢を次のように分けて確認します。
- 前半の説明は正しいか。
- 後半の対応や結論は適切か。
- 前半の説明から、その結論が導かれるか。
「~であるため」「~なので」「~の場合は」など、理由や条件と結論を結びつける部分にも注意しましょう。

2.本試験で実践したい!選択肢の読み方と解答の手順
ここまで、選択肢で注意したい6つのパターンを説明しました。
実際の国家試験では、問題文を読み、5つの選択肢から正解を選ぶ必要があります。
ここでは、問題に取り組むときの具体的な手順を確認します。
手順① 最初に「何を選ぶ問題か」を確認する
問題文では、次のような指示が使われます。
- 正しいものを1つ選びなさい。
- 最も適切なものを1つ選びなさい。
- 誤っているものを1つ選びなさい。
「正しいもの」と「誤っているもの」では、選ぶ対象が逆になります。
また、「最も適切なもの」では、一般的に望ましい対応というだけでなく、設問に示された状況に最も合っているかを検討する必要があります。
最初に設問の指示を確認し、その後で選択肢を読む習慣をつけましょう。
手順② 選択肢を最後まで読み、判断の決め手を探す
選択肢の前半が正しくても、後半に誤りが含まれる場合があります。
例えば、
「認知症の人の意思を尊重するため、本人が迷っている場合は家族が代わりに決定する」
という説明です。
「本人の意思を尊重する」という前半の言葉は適切ですが、後半では本人の意思決定支援が十分に考慮されていません。
選択肢を読むときは、「誰が」「何を」「どのような条件で」「どうするのか」に着目します。
手順③ 正しい知識と照合して判断する
選択肢の正誤は、専門知識と照らし合わせて判断します。
介護保険制度なら対象者や給付要件、身体拘束等なら原則と例外の要件、介護技術なら本人の身体状況と適切な介助方法を確認します。
知識が曖昧なまま、言葉の印象だけで正誤を決めることは避けましょう。
手順④ 最後の2つで迷ったら、違いを比較する
5つの選択肢から2つに絞れた場合は、残った選択肢の違いを丁寧に確認します。
例えば、身体拘束等の問題で、次の2つが残った場合です。
A:「緊急性が高い場合は、切迫性の要件を満たせば実施できる」
B:「緊急やむを得ない場合は、切迫性・非代替性・一時性をすべて満たす必要がある」
この場合は、三要件をすべて満たす必要があるという知識が判断の決め手になります。
迷ったときは、2つの選択肢の何が違うのかを整理し、その違いを判断できる知識を思い出します。
なお、知識を思い出しても判断できない場合は、一度保留して次の問題に進むことも考えます。限られた試験時間を、一問だけに使い過ぎないようにしましょう。
手順⑤ 見直すときは、判断した根拠を確認する
見直しでは、正解番号だけを見直すよりも、最初に判断した理由を確認することが重要です。
例えば、断定表現があるから誤りと判断した場合、それが制度上本当に誤っているのか確認します。
また、問題文に書かれていない条件を、自分で付け加えて解答していないかも確認しましょう。
設問に示された情報と、自分の推測を区別することが大切です。
3.間違えた選択肢から、正しい知識を身につける方法
問題を解いた後は、正解したかどうかだけで学習を終えないことが重要です。
間違えた問題については、何が原因で誤答したのかを確認します。
① 知識が不足していた場合
制度の対象者や専門用語の意味を知らなかった場合は、その内容を教科書や解説で確認します。
例えば、第2号被保険者の条件を間違えた場合は、年齢だけでなく、医療保険加入要件や特定疾病との関係まで整理しましょう。
② 知識はあったが読み違えた場合
正しい知識を覚えていたにもかかわらず間違えた場合は、選択肢のどの部分を読み落としたのか確認します。
「すべて」「のみ」などの表現や、対象者・実施主体の違いを見落としていなかったか振り返ります。
③ 2つの選択肢で迷った場合
どちらの選択肢が正しいか判断できなかった理由を確認します。
専門用語の違いなのか、原則と例外の条件なのか、介護方法の適合性なのかを整理すると、自分に不足している知識が明確になります。
復習では「正解の理由」を自分で説明してみる
例えば、介護保険の問題で正解が分かったら、解説を閉じて、
「第1号被保険者と第2号被保険者では何が違うのか」
と自分に問いかけます。
説明できなければ、その部分をもう一度確認します。
問題を解いて知識を思い出し、その後で正しい答えを確認する学習方法は、知識の定着にも役立ちます。
ただし、間違えた問題を何度も読み返すだけでは、正解番号を覚えてしまうことがあります。理由を説明できるかどうかを確認することが大切です。
4.解き方を理解したら、実践問題20問に挑戦しよう
ここまで説明した方法を、実際の問題で使ってみましょう。
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- 全100選択肢について正誤の理由を解説
- 介護保険、身体拘束等、認知症、生活支援技術、医療的ケア、介護過程などを収録
- 5問ずつ区切って学習できる構成
問題に取り組むときは、今回紹介した6つのパターンを思い出してください。
正解した問題でも、残り4つの選択肢がなぜ誤っているのかを確認すると、関連知識の復習につながります。
5.まとめ|ひっかけ問題は、選択肢の根拠を確かめて判断する
介護福祉士国家試験では、専門用語や制度の知識を覚えるだけでなく、設問の条件を正確に読み取ることが必要です。
今回紹介した6つのパターンを整理します。
- 断定表現:「必ず」「すべて」「のみ」などに例外がないか確認する。
- 対象者・実施主体の違い:誰が対象で、誰が実施する制度なのかを区別する。
- 原則と例外:例外が認められる要件を正確に理解する。
- 専門用語の不一致:用語の定義と説明内容が一致しているか確認する。
- 利用者の状態との適合性:設問に示された条件に合う介助方法を選ぶ。
- 前半と後半の論理関係:正しい説明から誤った結論が導かれていないか確認する。
本試験では、問題文を最後まで読み、正誤の判断に必要な知識を思い出しましょう。
また、過去問や実践問題で間違えたときは、知識不足によるものか、選択肢の読み違いによるものかを確認すると、復習する内容が明確になります。
正解を選べることに加え、なぜその選択肢が正しいのかを説明できることが重要です。
今回の解き方を確認したうえで、ひっかけ問題20問にも取り組み、2027年介護福祉士国家試験に向けて、着実に解答力を高めていきましょう。
参考資料
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
第39回介護福祉士国家試験・試験概要
https://www.sssc.or.jp/kaigo/tetsuzuki.html
介護福祉士国家試験・出題基準
https://www.sssc.or.jp/kaigo/kijun/kijun_01.html
厚生労働省
認知症施策・認知症の人の意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212395.html
e-Gov法令検索
介護保険法
https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
※本文中の例題は、選択肢の読み方を説明するために作成したものです。過去の国家試験問題を転載したものではありません。
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