厚生労働省は令和8年6月25日、介護保険最新情報Vol.1518「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について」を発出しました。
今回の改正法は、社会福祉法、介護保険法、老人福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法など、福祉制度全体に関わる大きな法改正です。介護分野では、介護支援専門員(ケアマネジャー)の更新制廃止、登録有料老人ホーム制度、登録施設介護支援・登録施設介護予防支援の創設、地域包括支援センターに関係する支援会議の見直しなどが重要な論点になります。
今回のポイント
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 通知番号 | 介護保険最新情報Vol.1518 |
| 発出日 | 令和8年6月25日 |
| 通知名 | 社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について |
| 原則施行日 | 令和9年4月1日 |
| 注意点 | 一部の重要項目は、政令で定める日に段階施行 |
| 主な影響 | 介護支援専門員研修、登録有料老人ホーム、登録施設介護支援、地域包括支援センター、支援会議 |
今回の改正は、ひとつの加算や届出だけを変えるものではありません。介護人材の確保、介護サービスの提供体制、有料老人ホームの運営、ケアマネジメント、地域包括ケア、住まい支援、多制度連携に関わる内容を含んでいます。
現時点で確定していること・今後確認すること
今回の記事で最も大切なのは、確定している制度改正と、今後の政令・省令・通知で具体化される事項を分けて理解することです。
・社会福祉法等の一部を改正する法律が公布された
・介護支援専門員証の有効期間と更新研修制度が見直される
・登録有料老人ホーム制度が創設される
・登録施設介護支援、登録施設介護予防支援が創設される
・施行日は一律ではなく、項目ごとに段階施行となる
今後確認が必要なこと
・介護支援専門員研修の具体的な対象者・運用
・登録有料老人ホームの登録基準や都道府県条例
・登録施設介護支援の指定基準、算定方法、報酬上の取扱い
・自治体ごとの説明、通知、運用スケジュール
事業所としては、「公布されたからすぐに実務が変わる」と受け止めるより、自事業所に関係する項目を整理し、施行日と今後の通知を追うことが大切です。
介護支援専門員の更新制廃止
今回の改正で、実務者の関心が最も高いのは、介護支援専門員の資格に係る更新制の廃止です。
介護保険法では、介護支援専門員証の有効期間を廃止し、交付や有効期間の更新を受けるために受講していた研修を廃止する改正が盛り込まれました。ただし、更新制が廃止されても、研修管理が消えるわけではありません。
通知では、厚生労働省令で定める者を除く介護支援専門員について、資質の保持・向上を図るため、都道府県知事が行う研修を受けるものとされています。正当な理由なく研修を受けていないと認められる場合、都道府県知事は研修の受講を命ずることができます。さらに、その命令に従わない場合には、1年以内の期間を定めて、介護支援専門員として業務を行うことを禁止できる規定も設けられています。
また、条例により介護支援専門員を置くことが求められる事業者・施設には、介護支援専門員が業務に従事したとき、また従事しなくなったときの報告が求められます。さらに、介護支援専門員の研修受講機会を確保するための措置も位置づけられます。
居宅介護支援事業所だけでなく、介護保険施設、地域密着型サービス、介護支援専門員を配置する事業所の管理者は、資格管理・配置管理・研修受講管理を今後も継続して確認する必要があります。
ケアマネ更新制廃止の施行日は原則日と異なる
本改正法の原則施行日は、令和9年4月1日です。
しかし、介護支援専門員の更新制廃止等は、令和9年4月1日に一律施行される項目ではありません。公布日である令和8年6月25日から起算して、1年6月を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。
そのため、現時点で更新研修の受講を自己判断で止めることは危険です。現在の介護支援専門員証の有効期間、都道府県からの更新研修案内、今後の政令・省令・通知を必ず確認してください。
特に、更新期限が近い介護支援専門員は、所属事業所や都道府県の案内を確認し、制度移行期に資格管理の空白が生じないよう注意が必要です。
登録有料老人ホーム制度の創設
老人福祉法では、一定の要件に該当する有料老人ホームについて、都道府県知事の登録を受ける登録有料老人ホーム制度が創設されます。登録は5年ごとの更新制です。
この制度では、有料老人ホームの名称、所在地、入居者に供与する介護等の内容、介護サービス提供者との連携、運営に関する重要事項などが登録事項として位置づけられます。登録有料老人ホームについては、契約締結前の書面交付や説明、誇大広告の禁止、報告徴収、立入検査、改善命令、事業停止命令、登録取消しなどの監督規定も整備されます。
ここで押さえたいのは、すべての有料老人ホームに同じ仕組みが直ちに始まるものではないという点です。登録有料老人ホーム制度は、公布日から2年を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。
有料老人ホームの運営事業者は、今後示される政令、省令、都道府県条例、自治体説明を確認しながら、自施設がどの制度に該当するのかを整理していく必要があります。
登録施設介護支援・登録施設介護予防支援の創設
今回の改正で、介護実務への影響が大きい論点が、登録施設介護支援と登録施設介護予防支援の創設です。
登録施設介護支援は、登録有料老人ホームにおける居室で介護を受ける要介護者が、必要な居宅サービス、地域密着型サービス、特定地域居宅サービス等、その他の保健医療サービス・福祉サービスを適切に利用できるよう支援するものです。
具体的には、登録施設要介護者の依頼を受け、心身の状況、生活環境、本人・家族の希望等を踏まえて、登録施設サービス計画を作成します。そのうえで、サービス提供者との連絡調整、地域活動への参加支援、必要に応じた介護保険施設等への紹介や便宜の提供を行う仕組みです。
登録施設介護予防支援についても、登録有料老人ホームにおける居室で支援を受ける要支援者を対象に、登録施設介護予防サービス計画の作成やサービス提供者との連絡調整などが位置づけられます。
登録施設介護サービス計画費等の扱い
介護給付には、登録施設介護サービス計画費と特例登録施設介護サービス計画費が追加されます。予防給付には、登録施設介護予防サービス計画費と特例登録施設介護予防サービス計画費が追加されます。
ただし、現時点で事業所がすぐに請求できる段階ではありません。給付額、算定方法、指定基準、届出、請求実務、介護報酬上の細かな取扱いは、今後の政令、省令、通知、自治体説明で確認する必要があります。
登録施設介護支援・登録施設介護予防支援は、公布日から3年を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。登録有料老人ホーム制度の施行日とも異なるため、登録有料老人ホーム制度と登録施設介護支援の施行時期を混同しないことが大切です。
地域包括支援センターと支援会議の見直し
介護保険法第115条の48に規定する支援会議についても見直しがあります。
この支援会議は、社会福祉法上の支援会議、障害者総合支援法上の支援協議会、住まい支援に関する協議会、生活困窮者自立支援法上の支援会議などと、相互に連携を図るよう努めるものとされます。
また、市町村は、介護保険法上の支援会議の実施について、その一部を地域包括支援センターの設置者に委託できるようになります。実際の運用は、市町村の判断、委託範囲、地域包括支援センターの体制、今後の通知を確認しながら整理する必要があります。
地域包括支援センターでは、高齢者支援、権利擁護、生活困窮、住まい、障害福祉、家族支援など、複数制度にまたがる相談への関わりがより意識されていきます。多制度連携と地域包括ケアの接点として、今後の自治体運用を確認しておきたい内容です。
特定地域居宅サービス等事業は対象地域を広げすぎない
今回の改正では、特定地域におけるサービス確保に関する見直しも含まれます。
特定地域居宅サービス等事業は、特定地域に住所を有する要介護者・要支援者に対し、訪問介護、訪問入浴介護、通所介護、短期入所生活介護、介護予防訪問入浴介護、介護予防短期入所生活介護などを行う仕組みとして整理されています。
ここで注意したいのは、対象地域、対象者、市町村の実施、委託基準、費用負担の取扱いは、今後の省令や自治体運用の確認が必要です。
介護現場で今から確認したいこと
今回の改正は、制度全体に関わる大きな内容です。事業所では、まず次の点を確認しておくと整理しやすくなります。
- 介護支援専門員の配置状況
居宅介護支援事業所、施設、地域密着型サービスなどで、介護支援専門員を配置しているか確認します。 - 介護支援専門員証の有効期間と研修予定
更新制廃止の施行前に、研修受講を自己判断で止めないよう注意します。 - 有料老人ホームの運営形態
自施設が今後、登録有料老人ホーム制度に関係する可能性があるか確認します。 - 登録施設介護支援への影響
登録施設サービス計画、登録施設介護サービス計画費、指定基準、請求実務に関わる可能性を整理します。 - 地域包括支援センター・市町村との連携
支援会議、多制度連携、委託範囲、地域ケア会議との関係を確認します。 - 施行日と経過措置
原則施行日、政令で定める日、省令で具体化される事項を分けて確認します。
まとめ
介護保険最新情報Vol.1518は、今後の介護・福祉制度の方向性を示す重要通知です。特に、介護支援専門員の更新制廃止、登録有料老人ホーム制度、登録施設介護支援・登録施設介護予防支援の創設、地域包括支援センターに関係する支援会議の見直しは、介護事業者、ケアマネジャー、有料老人ホーム運営者、自治体関係者に大きく関わります。
一方で、今回の改正は段階施行です。原則施行日は令和9年4月1日ですが、介護支援専門員の更新制廃止等は公布日から1年6月以内、登録有料老人ホーム制度は2年以内、登録施設介護支援・登録施設介護予防支援は3年以内の政令指定日から施行されます。
今回の改正は非常に大きな影響があるため、自事業所に関係する改正項目、施行日、今後の政令・省令・通知、自治体説明を分けて慎重に確認することが大切です。ケアマネジャーの研修、登録有料老人ホーム、登録施設サービス計画、介護報酬・請求実務に関わる部分は、今後の続報を継続して確認していきましょう。
※詳しくは元データを丁寧に確認して頂きますようお願い致します。
関連リンク
■介護保険最新情報vol.1518(社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について(通知))
(令和8年6月25日厚生労働省社会・援護局長ほか連名通知)
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