2026年度の介護報酬を考えるとき、最初に大切なのは、「今年は3年に1度の本改定年度ではない」ことと、「それでも期中改定として実務上の見直しがある」ことを分けて理解することです。現場では、令和6年度改定で始まった運用の継続確認と、令和8年度に行われる期中改定への対応が重なり、情報が混ざりやすくなっています。
特に今年度は、介護職員等処遇改善加算を中心に、届出、配分、職員説明、記録、運用の見直しが必要です。LIFE、生産性向上、BCP、介護情報基盤といったテーマも、単独の制度知識としてではなく、事業所運営の実務とつなげて考えることが欠かせません。
この記事では、2026年度の介護報酬をめぐって、まず何を確認すべきかを整理します。高齢者介護を中心にしつつ、障害者福祉にも通じる視点を交えながら、「今年度の実務が一目でわかる総整理」として、誤解しやすい点を順に確認していきます。
2026年度の介護報酬はどう見る?|本改定ではなく「期中改定」と「令和6年度改定の継続運用」を押さえる
2026年度を理解するうえで、最初に押さえたいのは、令和8年度は通常の3年周期の本改定年度ではないという点です。介護報酬の本改定は、近年では令和3年度、令和6年度、令和9年度という流れで行われます。そのため、2026年度を単純に「次の大改定の年」と受け取ると、制度理解がずれてしまいます。
ただし、ここで「今年は何も変わらない」と考えるのも正確ではありません。厚生労働省は、令和9年度介護報酬改定を待たずに、令和8年度介護報酬改定として期中改定を実施することを示しています。これは通常の全面改定とは性格が異なりますが、実務上は明確に対応が必要な見直しです。
現場で混乱しやすいのは、次の二つが同時に進んでいるからです。
・令和6年度改定で始まった運用を継続して確認すること
・令和8年度の期中改定で新たに見直される部分に対応すること
たとえば、令和6年度改定で一本化された介護職員等処遇改善加算は、2024年6月から運用されています。2026年度は、その制度をただ続けるだけではなく、令和8年度分の見直しを踏まえて、あらためて確認し直す年度でもあります。
この整理ができると、今年度の見方がかなり明確になります。2026年度は、**「本改定の年」ではなく、「令和6年度改定の運用を継続しながら、期中改定への対応も求められる年」**と理解するのが実務的です。ここを曖昧にすると、届出時期、対象サービス、加算内容の理解にずれが生じやすくなります。
今年度の実務で最初に見るべき点は?|処遇改善加算の対象拡大・届出・説明対応を先に確認する
2026年度に最初に確認したいのは、やはり介護職員等処遇改善加算です。今回の期中改定では、厚生労働省が、介護従事者への対象拡大、生産性向上や協働化に取り組む事業者への上乗せ区分の創設、さらにこれまで対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等への新設を明記しています。ここは推測ではなく、厚労省資料に記載された内容として確認できます。
このため、今年度の実務では、単に「処遇改善加算を算定しているか」だけでなく、次の視点で見直す必要があります。
・自事業所のサービス種別が、令和8年度の見直し対象にどう関係するか
・新しい区分や対象拡大に伴って、計画書や届出の確認が必要か
・賃金改善の考え方や配分の説明を、職員にどう伝えるか
とくに注意したいのは、処遇改善加算は制度を知っているだけでは足りないという点です。実務では、「誰が対象か」「前年度と何が違うか」「うちの事業所の配分はどうなるのか」といった質問が職員から出やすくなります。説明が曖昧だと、制度への不信感にもつながります。だからこそ、届出と計画だけでなく、職員説明まで含めて準備することが重要です。
また、今年度は提出時期にも注意が必要です。厚生労働省は、令和8年度の処遇改善加算に関して、見直し後の様式等を踏まえ、令和8年4月及び5月分を申請する事業者は、令和8年6月以降分の計画とあわせて令和8年4月15日までに提出する予定として案内していました。その後、3月13日付の通知で、令和8年度分の基本的考え方、事務処理手順、様式例が正式に示されています。
さらに、今回の見直しでは、生産性向上や協働化が処遇改善加算と切り離せない論点として位置づけられています。そのため、「処遇改善だけを見る」「生産性向上は別テーマとして後で考える」という整理では不十分です。委員会、研修、ICT活用、業務見直しなどを、加算実務と地続きのテーマとして見ていくことが求められます。
今年度の出発点として大切なのは、派手な制度変更を探すことではありません。むしろ、令和6年度改定の継続運用を土台にしながら、令和8年度の期中改定で何を見直す必要があるかを早めに把握することです。この視点を持つと、処遇改善、届出、職員説明、体制確認が一本の実務線としてつながって見えてきます。
まとめ
2026年度は、通常の3年周期の本改定年度ではありません。しかし、厚生労働省は令和9年度改定を待たずに、令和8年度介護報酬改定として期中改定を実施しています。そのため、今年度は「改定がない年」と見るのではなく、令和6年度改定の継続運用を確認しながら、処遇改善加算を中心とした期中改定へ対応する年として理解することが大切です。
特に実務では、介護職員等処遇改善加算の対象拡大、新設対象サービス、届出、計画書、職員説明まで含めて見直すことが重要になります。今年度の介護報酬を正しく押さえるには、制度の大枠だけでなく、自事業所で何を確認し、いつ動くかまで具体化しておくことが欠かせません。
【次回の内容】
次回は、『介護職員等処遇改善加算の対象拡大とは|いま見直すべき配分・賃金・説明の基本』を取り上げます。
【筆者】
梅沢佳裕
― ベラガイア17人材開発総合研究所 代表/最新福祉情報サイト【介護キャンパス】主宰
【カテゴリトップ】
https://kaigocampus.com/category/fee-revision/
厚生労働省 参考・引用文献
- 介護保険最新情報 Vol.1479(令和8年3月13日)
「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」及び「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」の送付について
https://www.mhlw.go.jp/content/001674610.pdf - 厚生労働省老健局長通知(老発0313第6号・令和8年3月13日)
介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675724.pdf - 介護保険最新情報 Vol.1469(令和8年2月10日)
令和8年度の介護職員等処遇改善加算の取得に係る処遇改善計画書等の提出について
https://www.mhlw.go.jp/content/001654190.pdf - 介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)(令和8年3月13日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675711.pdf - 厚生労働省老健局長通知の一部改正(令和8年3月13日)
介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について
https://www.mhlw.go.jp/content/001673853.pdf
