令和8年3月31日付で、厚生労働省から介護保険最新情報Vol.1490が示されました。今回の通知は、「介護員養成研修の取扱細則についての一部改正」と、「新型コロナウイルス感染症にかかる介護員養成研修(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修)の臨時的な取扱いの廃止」を知らせるものです。
今回の見直しでは、介護職員初任者研修と生活援助従事者研修について、従来の「通信学習」の枠組みだけで整理していた考え方を見直し、対面のほか、テレビ電話装置等を活用する形態、録画された動画を視聴させる形態、通信学習の形態でも実施できることが明確化されました。受講しやすい環境を整える方向での見直しといえます。
一方で、今回の通知は「全面オンライン化」を認めたものではありません。質問機会の確保、理解度確認、録画動画視聴における添削指導や面接指導、実技・実習科目の対面実施など、研修の質を担保する条件もあわせて示されています。また、コロナ対応として認められていた臨時的取扱いは、令和9年3月31日をもって廃止されます。改正後の取扱細則は、令和9年4月より施行とされています。
今回の通知で押さえたいポイント
今回のVol.1490で、実務者がまず確認したいポイントは次のとおりです。
- 介護職員初任者研修・生活援助従事者研修の実施方法が見直されたこと
- 対面以外に、テレビ電話装置等、録画動画、通信学習の形態が整理されたこと
- 実技や実習科目は対面で行うことが求められていること
- コロナ特例による臨時的取扱いは令和9年3月31日で廃止されること
- 改正後の取扱細則は令和9年4月から施行されること
実施方法はどう見直されたのか
通知では、介護職員初任者研修、生活援助従事者研修ともに、受講者の負担軽減と受講しやすさの向上のため、対面実施に加えて、次の方法で実施できるとしています。
- テレビ電話装置等を活用する形態
- 録画された動画を視聴させる形態
- 通信学習の形態
ここで大切なのは、「録画された動画を視聴させる形態」と「通信学習」は同じものではないという点です。今回の見直しでは、これまで「対面」で行うことが前提だった講義部分について、一定の条件のもとで、テレビ電話装置等や録画動画による実施も位置づけられました。一方で、通信学習は、教材送付や郵送等による添削を行う形態として従来どおり整理されており、上限時間も引き続き定められています。
このため、実務上は、Zoom等の同時双方向型の学習、録画動画による学習、テキスト中心の通信学習は、それぞれ別の実施形態として理解することが重要です。
録画動画やオンラインで実施する場合の留意点
テレビ電話装置等を活用する形態や、録画された動画を視聴させる形態で実施する場合には、講師等に対する受講者の質問の機会を確保することが求められています。加えて、通信環境がないなどの事情で受講が難しい受講者から相談があった場合には、視聴会場を用意するほか、対面方式で行っている別の研修を案内するなどの配慮も行うこととされています。
また、受講者が講義を適正に視聴していることを確認するため、テレビ電話装置等を活用する場合には受講者の画面が常に表示されていることを確認すること、さらに、研修途中での試験やアンケート、研修後の課題やレポート等で理解度を確認するなどの対応も求められています。
とくに、録画された動画を視聴させる形態については、単に動画を見せるだけでは足りません。通知では、質問機会の確保に加えて、添削指導、面接指導等による十分な指導を合わせて行うこととされています。したがって、動画配信だけで研修が完結するという理解は適切ではなく、録画動画方式でも相応の指導体制が必要であることを押さえておきたいところです。
通信学習の上限はどうなっているか
通信学習の形態については、従来どおり上限時間が示されています。
介護職員初任者研修では、各科目の上限を超えない範囲で最大40.5時間まで、生活援助従事者研修では、科目ごとに定められた範囲で合計29時間までとされています。残りの研修時間については、他の形態により実施することが必要です。
ここでも重要なのは、今回の見直しによって、録画動画やテレビ電話装置等の活用が明確化された一方、通信学習そのものの時間上限は維持されているという点です。つまり、すべてをテキストによる自習方式へ置き換えてよいという整理にはなっていません。
実技や実習は対面が必要
通知では、これらの実施形態にかかわらず、実技を学ぶ演習や実習の科目については対面により実施することとされています。
この対面には、本会場とは別の会場に講師を配置して行う形態であって、対面と同様の効果が認められる場合も含むとされています。
少なくとも今回の通知からは、実技や実習をすべて通信や録画動画で完結できるとは読めません。実務的には、講義部分の実施方法は柔軟化されたが、実技・実習については対面性が維持されたと理解するのが適切です。
コロナ特例はどうなるか
あわせて事務連絡では、新型コロナウイルス感染症にかかる介護員養成研修の臨時的な取扱いについて、令和9年3月31日をもって廃止すると示されています。ここでいう臨時的取扱いとは、都道府県の判断により、修了評価を含め全て通信学習の活用による実施を可能としていた特例です。
今回の見直しでは、オンライン系の実施方法が制度上あらためて整理された一方、コロナ対応としての全面的な特例措置は終了することになります。したがって、今後は、恒久的なルールとして整理された新しい取扱いに沿って研修を運営していくことが前提になります。
実務者としてどう見ればよいか
今回のVol.1490は、研修実施機関、自治体、採用担当、教育担当にとって、かなり実務的な意味を持つ通知です。受講しやすさを広げる方向で実施方法が見直された一方、質問機会、理解度確認、録画動画への添削・面接指導、実技科目の対面実施など、研修の質を担保する条件も明確にされたからです。
そのため、今回の通知は、単に「オンラインでもできるようになった」と捉えるだけでは不十分です。むしろ、どこまで柔軟化されたのか、どこからは対面や指導が必要なのかを切り分けて理解することが重要です。特に、研修運営に関わる立場であれば、動画配信のみで完結すると誤解しないよう注意が必要です。
まとめ
Vol.1490の要点は、介護職員初任者研修・生活援助従事者研修の実施方法見直しと、新型コロナ対応の臨時的取扱いの廃止です。改正後の取扱細則は令和9年4月から施行、コロナ特例は令和9年3月31日で廃止とされています。
実務者としては、
- テレビ電話装置等や録画動画による実施が位置づけられたこと
- 録画動画方式では添削指導や面接指導等も必要であること
- 通信学習の上限は引き続き維持されていること
- 実技や実習は対面で行うこと
- コロナ特例は終了すること
この5点を押さえておくと、通知の要旨を外しにくいでしょう。
※ご確認いただきたい点
本記事は、厚生労働省が公表した介護保険最新情報Vol.1490の原文に沿って、実務者向けに要点を整理したものです。
できる限り正確を期して記載していますが、実際の運用判断にあたっては、必ず厚生労働省の原通知・関係告示・最新の疑義解釈等の一次情報をご確認ください。
とくに、厚労省通知や医療関係の情報は、通知本文の文脈や関連する告示・算定ルールをあわせて確認することが重要です。
本記事は実務理解を助けるための参考情報であり、最終的な判断は必ず元情報に基づいて行っていただくことをおすすめします。
著者(講師)
ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表 梅沢 佳裕
社会福祉士・介護支援専門員・アンガーマネジメントファシリテーター/介護キャンパス 主宰
関連リンク
■介護保険最新情報vol.1490(「介護員養成研修の取扱細則についての一部改正について」及び「新型コロナウイルス感染症にかかる介護員養成研修(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修)の臨時的な取扱いの廃止について」)(令和8年3月31日厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課長通知、認知症施策・地域介護推進課事務連絡)
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