(筆者:ベラガイア17人材開発総合研究所 代表 梅沢佳裕:社会福祉士・ケアマネジャー)
令和8年3月23日付の介護保険最新情報Vol.1484では、科学的介護情報システム(LIFE)の運営主体が、厚生労働省から公益社団法人国民健康保険中央会へ移管されることが周知されました。令和8年4月から介護情報基盤が稼働することに伴い、**令和8年5月11日から「国保中央会運用LIFE」**として新たにサービス提供を開始する予定とされています。LIFE関連加算を継続して算定するには、事業所・施設側で期限内に必要な準備と移行作業を行う必要があります。
この通知は、単なる「運営主体の変更のお知らせ」ではありません。
実務上は、ログイン方法、端末認証、利用者情報の扱い、移行スケジュール、提出方法まで変わるため、LIFEを使っている事業所・施設にとっては、かなり重要な内容です。
1.まず押さえたい全体像
令和8年5月11日から「国保中央会運用LIFE」が始まる
通知では、介護情報基盤が令和8年4月1日から稼働開始予定であり、それに伴ってLIFEも国保中央会へ移管し、令和8年5月11日から国保中央会運用LIFEとして稼働開始予定とされています。あわせて、国保中央会運用LIFEに提出されたデータの一部は介護情報基盤に連携され、介護保険資格確認等WEBサービスを通じて、利用者と関係する介護事業所間で参照可能になる予定です。
2.厚労省運用LIFEから何が変わるのか
主な変更点は5つ
通知と別紙では、主な変更点として次の5点が示されています。
(1)バックアップファイルの授受が廃止
これまでの厚労省運用LIFEでは、利用者の個人情報を事業所の端末内に保存していたため、別端末で最新情報を表示するにはバックアップファイルの授受が必要でした。
国保中央会運用LIFEでは、利用者情報をLIFEのサーバ上に保持するため、バックアップファイルの授受が不要になります。別の端末でも、他ユーザーの更新内容が自動で反映される設計です。
(2)電子証明書が導入される
国保中央会運用LIFEでは、セキュリティ向上のため、電子証明書(介護保険証明書または介護DX証明書)を用いた認証が導入されます。これは介護保険資格確認等WEBサービスと同様の仕組みで、電子証明書をインストールした端末でのみログイン可能になります。
(3)端末認証用の一時パスコード認証が廃止
厚労省運用LIFEでは、端末ごとに一時パスコード認証が必要でしたが、国保中央会運用LIFEではこれが不要になります。管理ユーザーと操作職員の間で一時パスコードを共有する必要がなくなり、運用はシンプルになります。
(4)LIFEホームページのリンクからログイン可能
これまでは、各端末に導入したLIFEアイコンからログインする必要がありました。
国保中央会運用LIFEでは、LIFEホームページのリンクから直接ログインできるようになり、端末へのLIFEアイコン導入が不要になります。
(5)利用者情報の正確性チェック機能が追加
国保中央会運用LIFEでは、新規登録または登録済みの利用者情報について、介護情報基盤で保有する介護被保険者証情報と照合し、本人情報の正確性を確認する機能が設けられます。照合項目は、保険者番号・被保険者番号・生年月日・性別の4項目です。画面入力でもCSV取込でもチェックされます。
ただし、この確認は介護情報基盤に対応した保険者の被保険者に限られ、未対応保険者に属する被保険者は確認対象外です。
3.ここが最重要
事業所・施設に必要な事前準備及び作業等について
LIFE関連加算を継続して算定するためには、令和8年5月11日から7月31日までの間に、厚労省運用LIFEから国保中央会運用LIFEへ移行作業を行う必要があります。これに先立ち、令和8年4月24日からは、厚労省運用LIFEへの新規利用申請、事業所サービスおよび利用者情報の削除ができなくなり、さらに厚労省運用LIFEは令和8年9月1日にサービス停止予定とされています。
通知で示されている必要作業は、次の3つです。
① 電子証明書の取得・インストール
国保中央会運用LIFEを利用するには、端末に電子証明書(介護保険証明書または介護DX証明書)が必要です。
ただし、すべての事業所・施設が新規取得しなければならないわけではありません。別紙では、次の二つの条件を両方満たす場合は取得不要とされています。
- (1) すでに
① 電子請求受付システムへログインしてレセプト請求をしている
または
② ケアプランデータ連携システムを利用している - (2) その①または②で使っている端末と、国保中央会運用LIFEで使う予定の端末が同じ
このため、まずは「自事業所は新規取得が必要なのか」を早めに確認することが重要です。通知でも、要否確認に時間を要する場合があるため、移行作業前に対応するよう求めています。
補足:電子証明書の取得先・確認先
国保中央会運用LIFEの準備にあたっては、介護情報基盤ポータルサイト内の
「【別紙】セットアップ手順書(電子証明書編)」
を確認しておくと実務上わかりやすくなります。通知では掲載先も示されています。
- 介護情報基盤ポータルサイト
https://www.kaigo-kiban-portal.jp/materials - 【別紙】セットアップ手順書(電子証明書編)
https://www.kaigo-kiban-portal.jp/assets/pdf/tebiki_besshi_02.pdf
原文には具体的な日数の目安までは書かれていませんが、要否確認に時間を要する場合があるとされているため、移行期間に入る前に確認・着手しておくことが安全です。
② 厚労省運用LIFEから国保中央会運用LIFEへの移行
移行期間は5月11日から7月31日です。この間の任意のタイミングで、各事業所・施設ごとに移行作業を実施します。
移行後は、厚労省運用LIFEでは参照のみ可能で、情報登録はできなくなります。 また、移行で引き継がれるのはアカウントのID・パスワードと事業所情報であり、利用者情報と様式情報は引き継がれません。 ここは特に見落としやすいポイントです。
③ 国保中央会運用LIFEでの利用者情報の再登録
利用者情報は引き継がれないため、国保中央会運用LIFE側で再登録が必要です。
通知本文でも必要作業として明示されているため、「移行したら自動的に利用者も移る」と考えないように注意が必要です。
補足:利用者情報の再登録は事前準備が重要
原文には、利用者数ごとの具体的な工数までは示されていません。
ただし、利用者情報が自動移行されない以上、利用者数が多い事業所ほど再登録の負担が大きくなることは想定しておく必要があります。
そのため、移行期間に入ってから慌てないよう、
- どの利用者を再登録する必要があるか
- 誰が入力を担当するか
- いつ作業するか
を事前に整理しておくことが実務上とても重要です。
参考:移行ガイドの公開
②以降の具体的な作業内容については、「移行ガイド」が令和8年4月ごろに、厚生労働省ホームページ、厚労省運用LIFE、国保中央会運用LIFE等で配布予定とされているそうです。実作業は、このガイドを確認しながら進めることになります。
4.「国保中央会運用LIFEを利用する場合の注意事項等」
ここも必ず確認したい3点
通知の第3項では、国保中央会運用LIFEを使う場合の注意事項が、三つの見出しに分けて示されています。ここは実務上の影響が大きい部分です。
(1)令和8年5月11日以降の様式情報等の提出について
厚労省運用LIFEを現在利用している事業所・施設では、5月11日以降の様式情報等の提出について、
- 移行前なら厚労省運用LIFEから提出
- 移行後なら国保中央会運用LIFEから提出
と整理されています。
また、厚労省運用LIFEで提出した様式情報等は国保中央会運用LIFEへは引き継がれませんが、同じ月の様式情報等を国保中央会運用LIFEで再提出する必要はないと明記されています。これは二重提出を避けるうえで重要です。
(2)「フィードバック参照」機能について
国保中央会運用LIFEでも、厚労省運用LIFEと同様に**「フィードバック参照」機能**は利用可能です。
ただし、国保中央会運用LIFEに表示されるフィードバックは、国保中央会運用LIFEに登録された各事業所・施設のデータのみを集計対象とし、厚労省運用LIFEのデータは集計対象外です。
そのため、過去のフィードバックが必要な場合は、厚労省運用LIFEのサービス停止前に、フィードバック画面からPDF等で出力・保存しておく必要があります。ここは見落とすと、後から「以前のフィードバックが見られない」という事態になり得ます。
補足:フィードバックデータは早めに保存を
原文では、保存の必要性は示されていますが、保存方法の細かな運用までは示されていません。
実務上は、あとで探しやすいように、年度別・月別・加算種別別などでフォルダ分けして保存しておくと管理しやすくなります。
たとえば、
LIFEフィードバック_令和7年度LIFEフィードバック_令和8年度移行前
のように分けておくと、後で確認がしやすくなります。
※このフォルダ分けは原文の要件ではなく、実務上の整理方法の一例です。
(3)LIFEへの様式情報の提出が必要な介護報酬上の加算の取扱い
LIFE関連加算の取扱いそのものについては、この通知では結論を示していません。
通知では、国保中央会運用LIFEへの移行に伴う、LIFEへの様式情報提出が必要な介護報酬上の加算の取扱いについては、別途事務連絡およびQ&Aで改めて知らせる予定としています。
したがって、このVol.1484の段階では、LIFE移行の実務ルールは示されているが、加算の取扱いの詳細は今後の別通知待ちと理解しておくのが正確です。
5.スケジュールを整理するとどうなるか
別紙のスケジュール図では、実務上の流れが次のように整理されています。
- 4月下旬ごろ:厚労省運用LIFEの一部機能制限
(新規利用申請、登録済み事業所サービス情報・利用者情報の削除が制限) - 4月ごろ:移行ガイド公開
- 5月11日:国保中央会運用LIFE稼働開始
- 5月11日〜7月31日:移行期間
(各事業所・施設が任意のタイミングで移行作業を実施) - 9月1日:厚労省運用LIFE停止
この期間中、移行前は厚労省運用LIFEで提出、移行後は国保中央会運用LIFEで提出という流れになります。
まとめ
Vol.1484で実務者が本当に押さえるべきこと
今回のVol.1484で最も大切なのは、次の三点です。
まず、令和8年5月11日から国保中央会運用LIFEが始まり、厚労省運用LIFEは最終的に9月1日に停止すること。
次に、LIFE関連加算を継続算定するには、5月11日から7月31日までの間に、電子証明書の確認・取得、移行作業、利用者情報の再登録を行う必要があること。特に、利用者情報と様式情報は自動では引き継がれない点は重要です。
そして、5月11日以降の様式提出、フィードバック参照、加算の扱いについては、それぞれ別の注意点があることです。とくに、過去のフィードバックは事前にPDF等で保存しておくこと、同月分の再提出は不要であること、加算の詳細は今後の別通知・Q&A待ちであることは、実務上の判断を誤らないために押さえておきたいポイントです。
原文は難解ですが、実務としては、
「いつまでに何を準備し、どのタイミングで移行し、移行後に何ができて何ができないか」
を具体的に整理しておくことが重要です。
著者(講師)
ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表 梅沢 佳裕
社会福祉士・介護支援専門員・アンガーマネジメントファシリテーター
関連リンク
■介護保険最新情報vol.1484(「科学的介護情報システム(LIFE)の運営主体の移管に係る周知について」)(令和8年3月23日厚生労働省老健局老人保健課、高齢者支援課、認知症施策・地域介護推進課事務連絡)
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