住宅型有料老人ホームの入居者に対するケアマネジメントが、制度上大きく見直されます。
2026年10月28日の社会保障審議会介護給付費分科会では、新設される「登録施設介護支援・登録施設介護予防支援」について、人員・運営基準と報酬の対応案が示されました。
制度の枠組みは、2026年6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)により設けられました。一方、10月28日に示された人員基準や報酬は審議中の案であり、まだ確定していません。
- この記事で確認できること
- ・制度創設の背景と対象となるホーム
・地域生活相談の役割と人員・報酬の検討案
・利用者負担、施行予定、事業所が確認したい点
登録施設介護支援とは?制度創設の背景と対象
住宅型有料老人ホームでは、入居者が訪問介護などの居宅サービスを利用し、居宅介護支援事業所の介護支援専門員がケアプランを作成する仕組みが一般的です。
しかし、一部のホームでは、併設・関連する介護サービス事業所の利用を事実上優先させる「囲い込み」が課題となってきました。本人の意向や心身の状態に応じたサービス選択が制限され、ケアプランの中立性が損なわれることが問題です。
こうした状況を踏まえ、2026年6月に成立した「社会福祉法等の一部を改正する法律」により、介護保険法や老人福祉法等が改正されました。この改正では、ホームの運営、ケアマネジメント、介護サービスの提供という三者の独立性・透明性を確保する仕組みが位置づけられています。
その一つが、要介護者を対象とする「登録施設介護支援」と、要支援者を対象とする「登録施設介護予防支援」です。
対象は、新たな登録制の対象となる有料老人ホームの入居者です。登録制は、中重度の要介護者や一定の医療ニーズがある人などを入居対象とするホームを中心に設けられるもので、すべての住宅型有料老人ホームが一律に該当するわけではありません。特定施設入居者生活介護とも制度上区別されます。
新たな役割「地域生活相談」
登録施設介護支援は、ケアプラン(登録施設サービス計画)の作成やサービス事業者との連絡調整に加え、地域生活相談を一体的に提供する仕組みです。
10月28日の対応案では、地域の支援機関や活動先の把握、本人への情報提供、地域活動への参加支援、外出時の移動手段の調整、ホームとの連絡調整などが挙げられています。
重要なのは、入居者の意思を踏まえて地域との関わりを支えることです。ホームが担う日常生活の相談と、登録施設介護支援事業所が担う地域生活相談との役割分担も、実務上の論点になります。
人員基準・報酬はどうなる?審議中の案と施行予定

人員配置の案
登録施設介護支援では、常勤の介護支援専門員を1人以上配置し、利用者44人につき1人を基準とする案です。ケアプランデータ連携システムを利用する場合は49人につき1人とされています。
また、地域生活相談員を1人以上配置し、介護支援専門員との兼務も認める案です。地域生活相談員には、介護支援専門員または社会福祉主事等の資格要件が想定されています。いずれも正式決定前の基準案です。
運営基準の案
ホームから提供された入居者の生活状況なども踏まえ、ケアプランを作成することが提案されています。地域生活相談の検討内容を計画に位置づけ、実施状況を記録することも検討されています。
ホームと適切に情報共有しながら、介護支援専門員が対等な立場でケアプランを作成できることが重要です。
報酬と利用者負担
基本報酬は、現行の居宅介護支援・介護予防支援を参考に、地域生活相談の業務と集合住宅の特性を考慮する案です。利用者数に応じて報酬が変わる逓減制や、加算・減算の扱いも検討されています。
現行の居宅介護支援では、原則として利用者の自己負担はありません。一方、新しい登録施設介護支援には利用者負担(原則1割、所得に応じて2・3割)が位置づけられています。具体的な報酬単位や算定要件は未確定です。
施行時期と経過措置
厚生労働省は、有料老人ホームの新たな登録制を2027年12月に施行し、既存ホームの移行期間を2028年12月までの1年間とする予定を示しています。登録施設介護支援は、この移行期間が終わる時期の施行を想定しています。
したがって、2027年度介護報酬改定で審議されていても、2027年4月の一斉開始が決まったわけではありません。施行日は今後、政令等で確認する必要があります。
なお、「社会福祉法等の一部を改正する法律」の附則第18条では、施行時に既に指定を受けている居宅介護支援事業者について、一定期間、登録施設介護支援の指定を受けたものとみなす経過措置が設けられています。これはホームの登録移行期間とは別の措置です。
今から確認したいこと
ホームと介護支援専門員の役割分担、本人によるサービス選択の保障、地域資源との連携状況を確認しておきましょう。新たな請求・利用者負担の事務や人員配置については、確定した基準と報酬を確認してから具体的に準備することが必要です。
制度見直しの中心にあるのは、入居者本位のケアマネジメントと、地域とのつながりの確保です。決定事項と審議中の案を区別し、今後の政省令・告示・通知を継続して確認していきましょう。
参考・出典
厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)の概要(2026年6月25日公布)
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001760767.pdf
厚生労働省「第272回社会保障審議会介護給付費分科会」(2026年10月28日)資料2「登録施設介護支援・登録施設介護予防支援(改定の方向性)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001763609.pdf
厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」(2026年10月9日)資料1「登録制の施行に向けた対応について(まとめ)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001758070.pdf
※本記事は2026年10月29日時点の公表資料に基づいています。今後の審議や政省令等により内容が変更される可能性があります。
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