【文例】服薬介助の介護記録の書き方|服薬拒否・飲み忘れ・誤薬予防

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服薬介助は、介護現場で日常的に行われる支援の一つです。利用者の取り違え、薬剤や服薬時点の確認不足、与薬漏れなどが生じると、健康状態に大きな影響を及ぼすことがあります。

介護記録でも、「服薬済み」「拒否あり」といった短い記載だけでは、実際の服薬状況や、その後の対応まで把握できません。

この記事では、服薬介助の介護記録に必要な視点、服薬拒否・飲み忘れ・与薬漏れ・誤薬予防につながる記録文例、看護職や薬剤師など医療職との連携に活かせる記録の残し方を整理します。

服薬介助の記録に必要な視点とは

服薬介助の記録では、薬を利用者へ渡した事実に加えて、実際に服用できたか、服薬後に変化がなかったかを確認します。

現場では、薬包を渡した後にテーブルへ置いたままになっていた、口腔内に薬剤が残っていた、本人が吐き出していたといった場面も起こります。

記録では、その日の状況に応じて次の点を確認します。

  • 服薬した時刻
  • 本人確認と服薬内容の確認
  • 服薬時の本人の状態
  • 実際に服用できたか
  • 服薬拒否や残薬の有無
  • 服薬後の体調変化
  • 報告先と、その後の対応

薬剤名や用量を毎回介護記録へ記載するかは、事業所の記録様式や服薬管理方法によって異なります。服薬チェック表など別の記録様式を使用している場合は、各記録の役割を確認し、事業所の服薬管理手順に沿って記載します。

NG例

「朝薬、服薬済み。」

この記録だけでは、本人が確実に服用したのか、その後の状態まで確認したのかが分かりません。

修正文例

「8時、朝食後薬の服薬介助を実施。利用者A様本人であることを確認し、準備された薬剤を本人が内服した。服薬後、口腔内に薬剤の残留は見られず、体調変化も認めなかった。」

薬を渡した時点と、実際に服用できた時点を分けて確認することが、服薬介助では重要です。

服薬拒否・飲み忘れ・誤薬予防の記録文例

文例1:服薬を拒否した場合

「8時10分、朝食後薬の服薬を促したところ、利用者B様は『今日は飲みたくない』と話された。服薬の必要性について説明したが、本人の意思は変わらず、服薬には至らなかった。事業所の手順に沿って看護職へ報告し、対応について指示を受けた。」

服薬拒否があった場合は、本人の発言、職員の対応、服薬できなかった事実、報告先、その後の指示や対応を記録します。

本人の意思を確認しながら対応し、介護職の判断だけで服薬方法や服薬時刻を変更しないことが基本です。必要時は看護職などへ報告し、自事業所の手順に沿って対応します。

文例2:飲み忘れ・与薬漏れに気づいた場合

「12時40分、昼食後薬が未服用であることを確認した。利用者C様へ確認すると、『まだ飲んでいない』と話された。看護職へ報告し、対応について指示を受けた。」

ここで区別したいのが、「飲み忘れ」と「与薬漏れ」です。

利用者が自己管理している薬を飲まなかった場合は「飲み忘れ」、職員が服薬介助を担っている場面で必要な薬を提供できなかった場合は「与薬漏れ」と整理できます。

記録では、原因を推測して一括りにせず、誰が服薬管理を担っていたか、どの時点で未服用が分かったかを事実に沿って残します。

予定時刻を過ぎた薬について、介護職が独自に服用の可否を判断することは避けます。医療職への報告や事業所の手順に沿って対応します。

文例3:口腔内に薬剤が残っていた場合

「19時、夕食後薬の服薬介助後、利用者D様の口腔内に錠剤1錠が残っていることを確認した。本人へ声をかけ、水分摂取後に嚥下を確認した。咳嗽やむせ込みは見られず、その後も体調変化は認めなかった。」

服薬介助では、内服したと思い込まず、実際の服薬状況を確認することが誤薬や与薬漏れの予防につながります。

嚥下状態に変化がある場合や、薬剤を口腔内にため込む様子が繰り返し見られる場合は、その状態を記録し、看護職などへ共有します。

医療職につながる介護記録の残し方

服薬時に普段と異なる状態が見られた場合は、看護職、医師、薬剤師などが状況を把握できるように記録します。

たとえば、「薬を嫌がった」という記載だけでは、拒否した理由が分かりません。

「服薬を促すと『飲むと気持ち悪くなる』と話され、服薬を希望されなかった」と記載すると、本人の訴えが具体的に伝わります。

特に、次のような変化は共有しておきたい情報です。

  • 服薬後に強い眠気が見られた
  • 錠剤を飲み込みにくそうにしていた
  • 服薬後に嘔気や不快感を訴えた
  • 以前より服薬拒否が増えた
  • 薬剤を口腔内にため込む様子が見られた

こうした場面では、観察した事実と本人の訴えを分けて記載することが基本です。

医療職への報告につながる文例

「20時、就寝前薬を内服後、利用者E様より『薬が喉につかえる感じがする』との訴えあり。咳嗽やむせ込みは認めなかった。看護職へ報告し、服薬時の状態を共有した。」

介護記録では、診断名や副作用の有無を介護職が判断して記載する必要はありません。日常生活の中で観察した変化を具体的に残すことが、医療職の判断につながる情報になります。

誤薬や与薬漏れが発生した場合は、介護記録への記載とあわせて、事業所の事故報告や緊急連絡などの手順に沿って対応します。

まとめ

服薬介助の介護記録では、服薬できたか、服薬できなかった場合に何が起きたか、その後どのように対応したかが分かるように記載します。

服薬拒否、飲み忘れ、与薬漏れがあった場合は、本人の発言や観察した状態を具体的に残し、必要な報告につなげます。

誤薬予防では、本人確認、準備された薬剤の確認、実際の服用確認が欠かせません。服薬後の状態変化も記録しておくことで、看護職や薬剤師などとの情報共有に活かせます。

服薬介助の記録は、利用者が安全に服薬できた経過を残し、その後のケアと医療職との連携につなぐ実務記録です。

【次回の内容】
次回は、排泄介助の介護記録の書き方を取り上げます。

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梅沢 佳裕

ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表
最新福祉情報サイト【介護キャンパス】主宰
梅沢 佳裕

社会福祉士・介護支援専門員・アンガーマネジメントファシリテーター他。
東京都を拠点に、介護・福祉事業所の人材育成、管理職研修、法定研修、制度改正対応、BCP、カスタマーハラスメント対策などをテーマに、研修講師・コンサルティング・執筆活動を行っています。

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公的資料や最新通知を確認しながら、制度と現場実践をつなぐ分かりやすい解説を心がけています。

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