令和8年1月23日、厚生労働省老健局から
介護保険最新情報 Vol.1465 が発出されました。
今回の通知は、
「介護保険料が上がるのではないか」
「税制改正の影響がそのまま高齢者の負担増につながるのではないか」
といった現場の不安に対し、制度運営上の整理を行ったものです。
結論から言えば、
税制改正の影響が、令和8年度の介護保険料算定に想定外に及ばないようにするための技術的な調整が今回の主眼です。
制度の方向性や負担構造を大きく変える改正ではありません。
今回の通知は何を示しているのか
Vol.1465は、
介護保険法施行令の一部を改正する政令を、さらに一部改正する政令
が公布されたことを知らせるものです。
やや分かりにくい表現ですが、ポイントは次のとおりです。
- すでに行われた介護保険法施行令の改正について
- その中で、一部整理が不十分だった点を補正するための追加改正
という位置づけになります。
背景にある「税制改正」とは何か
今回の改正の背景として明確に示されているのが、
令和7年度税制改正 です。
この税制改正では、
物価上昇や就業調整への配慮を目的として、
給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へ引き上げられました。
一見すると、介護保険とは無関係に見えますが、
ここが今回の制度整理の出発点になります。
なぜ税制改正が介護保険料に関係するのか
介護保険の 第1号被保険者(65歳以上) の保険料は、
市町村ごとに定められた「保険料段階」に基づいて決まります。
この段階判定では、
- 市町村民税が課税か非課税か
- 合計所得金額がいくらか
といった 所得に関する情報 が用いられています。
そのため、税制改正により
「所得の計算方法」や「控除額」が変わると、
生活実態が大きく変わっていなくても、
保険料段階が動いてしまう可能性が生じます。
Vol.1465が示す問題意識
Vol.1465では、次の点が問題として示されています。
- 税制改正の影響で、一部の被保険者の保険料段階が変動する可能性がある
- その結果、第9期介護保険事業計画期間(令和6~8年度)中の保険料収入が減少するおそれがある
- しかもそれは、保険者(市町村)の責任によるものではない
このような「制度外要因」による影響は、
可能な限り抑える必要がある、という整理です。
今回の改正の核心:特例の「対象者」をそろえる
ここで重要なのが、
「特例の対象者を限定する規定を整える」 という考え方です。
すでに、
- 保険料率の算定に関する特例
については、
「どの市町村で、いつ賦課される人を対象にするのか」
を明確にする規定が設けられていました。
一方で、
- 所得の額の算定方法に関する特例
については、
同様の限定規定が十分に整備されていなかったため、
今回の政令改正で 整理をそろえる必要が生じた、という流れです。
つまり今回の改正は、
特例を広げるためでも、狭めるためでもなく、
制度の整合性を保つための調整と理解するのが適切です。
施行時期について
この改正政令は、
公布の日(令和8年1月23日)から施行されています。
実務上は、
令和8年度の介護保険料率算定に関わる場面で、
この整理が前提として用いられることになります。
現場で押さえておきたい説明の視点
「保険料が上がる制度改正」ではありません
今回のVol.1465は、
介護保険料を引き上げることを目的とした通知ではありません。
税制改正による影響が、
介護保険制度にそのまま波及しないよう、
制度運営上の安定を確保するための整理です。
利用者・家族への説明は「趣旨」を中心に
現場で聞かれた場合は、
個別の保険料額の増減を断定せず、次のように説明するのが無難です。
税制改正の影響が介護保険料の計算に想定外に出ないよう、
令和8年度の保険料を決めるためのルールを整理した通知です。
まとめ|Vol.1465をどう受け止めるか
介護保険最新情報Vol.1465は、
制度の方向転換を示すものではありません。
- 税制改正という外部要因
- 介護保険料算定という内部制度
この二つの間に生じるズレを調整し、
介護保険制度を安定的に運営するための“技術的な整備”
であることが、今回の本質です。
経営層・リーダー層・ケアマネの皆さまは、
「負担増」「制度変更」と短絡的に捉えるのではなく、
制度趣旨を正確に説明するための材料として、
このVol.1465を位置づけておくと安心です。
最新介護情報(外部リンク)
厚生労働省|介護保険最新情報(通知一覧)
https://www.mhlw.go.jp/content/001640957.pdf
著者クレジット
(筆:ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表 梅沢佳裕
社会福祉士・介護支援専門員・研修講師)
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