日常生活支援の介護記録は、**「誰が・何を・どう行ったか」**を明確に残すことが基本です。
とくに、職員が行った支援と利用者が行った行動を分けて書くことで、次の支援者が正確に状況を把握できます。今回は、移動場面・更衣場面・整容場面・レクリエーション場面の記録例を紹介します。
1.移動・更衣・整容場面の記録
●移動場面
10時15分 利用者Aさんが居室から食堂まで歩行。手すりを使用して約10mを歩行し、小休止を1回取りました。職員は後方から見守りと声かけを行い、安全を確認。食堂到着後、Aさんは「自分で歩けた」と笑顔を見せました。
●更衣場面
9時00分 職員が衣類を2種類提示し、利用者Bさんが好みの上衣を選択。右腕の袖通しにやや時間がかかり、職員が袖口を支援しました。ボタン3個を本人が自力で留め、残り2個を職員が補助。終了後、「これが一番着やすい」と発言あり。
●整容場面
8時30分 利用者Cさんが歯磨きを自力で実施。柄が細い歯ブラシを握りにくそうにしていたため、職員が太い柄のものへ変更。Cさんは5分間継続して磨き、「すっきりした」と話しました。
書き方のポイント
- 主語(誰が)を省かない。
- 「職員の支援」と「利用者の行動」を分けて書く。
- 「観察→支援→結果」の順で記録する。
- 数値(歩行距離・回数・時間)を入れる。
- 利用者の表情や発言も重要な情報として残す。
2.レクリエーション場面の記録
●参加した場合
14時00分〜14時30分 利用者Dさんが音楽レクリエーションに参加。3曲中2曲で手拍子を行い、隣席の利用者へ笑顔で声をかけました。職員は安全確認と促しを行い、Dさんは最後まで集中。「また参加したい」と発言しました。
●拒否した場合
13時50分 職員が体操の参加を促したところ、利用者Eさんが「疲れているからやめておく」と拒否。無理に誘わず、座位での上肢運動を提案。5分間実施後、表情が穏やかになりました。次回は事前予告で参加を促す予定。
ポイント
- 参加・拒否を「誰がどう行動したか」で書く。
- 推測は避け、事実・対応・結果を記録する。
- 次の支援に活かせる一文を添える。
3.施設別の特有ポイント
- 特養ホーム:生活リズムと転倒防止を意識し、職員の見守りや声かけの内容を明記。
- デイサービス:到着時と帰宅時の変化を比較。家族への伝達事項を記録に反映。
- 障害者支援施設:合理的配慮(視覚支援・選択肢提示など)を具体的に書く。
小まとめ
介護記録 日常生活では、主語を省かず「誰が・何を・どうしたか」を正確に記すことが重要です。
観察・支援・結果の流れを明確にし、利用者の行動と職員の支援を対で記録しましょう。
その一文が、次の支援を導く――
記録は未来への道しるべです。

