【メンタルケア】第3回:忙しい介護現場でもできる!1分セルフケア法

6.介護専門職のメンタルケア

1.呼吸法とストレッチで心身をリセットする

介護職は、日々の業務の中で利用者の身体介助や声かけを行いながら、突発的な出来事にも臨機応変に対応しなければなりません。そのため、気づかないうちに心身に大きな負担が積み重なります。そこで役立つのが、わずか1分でできるセルフケアです。

最も取り入れやすいのが呼吸法です。椅子に腰かけて背筋を伸ばし、3秒かけて鼻から息を吸い、5秒かけて口からゆっくりと吐きます。これを3回繰り返すと、緊張していた体と心がほぐれていきます。呼吸は自律神経と直結しており、忙しい現場でも短時間でストレスケアにつながります。

また、介護の仕事では腰や肩に疲労が集中します。ここで有効なのがストレッチです。肩をすくめて一気に下げる動きを繰り返すと、首から肩にかけての筋肉がほぐれます。首を左右に傾けて深呼吸するだけでも血流が改善され、頭の重さや肩こりが和らぎます。

たとえば、特養ホームの職員Aさんは入浴介助の合間に「肩すくめストレッチ」を取り入れています。たった30秒で肩が軽くなり、その後の業務が楽になると話していました。大げさな動作ではないため、利用者の前でも自然に行える点も魅力です。


2.マインドフルネスで気持ちを整える

身体をほぐしたら、次はメンタルケアです。今注目されているのがマインドフルネスです。これは「今この瞬間」に意識を向けることで、心のざわつきを整える方法です。

やり方は簡単です。椅子に腰かけて目を閉じ、呼吸に意識を集中させます。「吸っている」「吐いている」と心の中で言葉にしながら呼吸の流れを感じてください。雑念が浮かんでも気にせず、「考えているな」と気づき、再び呼吸に注意を戻します。

訪問介護の待機時間やデイサービスでの休憩時間に、たった1分実践するだけで頭がすっきりし、焦りや不安が軽減します。特別な道具も場所も必要ないため、誰でも今すぐ取り入れられるセルフケアです。

老健で働くBさんは、毎朝出勤後のわずかな時間にマインドフルネスを行うようになりました。以前は利用者や家族の言葉に過敏に反応してしまっていましたが、今では気持ちの切り替えがスムーズになり、イライラが減ったと実感しています。


小まとめ

介護職は心と体の両方に大きな負担を抱える仕事です。しかし、呼吸法・ストレッチ・マインドフルネスといったシンプルな方法を1分取り入れるだけで、メンタルケアストレスケアに大きな効果をもたらします。

大切なのは「難しいことを完璧にやろう」としないことです。1分でできる小さなセルフケアを日常に組み込み、続けることが自分を守る第一歩になります。今日からできる「ちょっとした1分の習慣」が、明日の大きな安心につながります。

(筆:ベラガイア17人材開発総合研究所 代表 梅沢佳裕

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