――協力医療機関の要件と令和9年4月からの義務化に備える
1. 今回の通知について
厚生労働省から「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.16)」が出されました(2025年9月5日)。
今回の内容は、介護施設と医療機関との連携=協力医療機関 についてです。
入所者が体調を崩したときに、どの病院・診療所と連携して対応するかをあらかじめ決めておく制度です。通知では、その「協力医療機関」をどう整備すればよいかが整理されています。
2. 協力医療機関の要件(分かりやすく整理)
(1)診療体制の確保
「常時確保」という言葉が使われていますが、24時間いつでも往診してくれることを必ずしも意味しません。
外来診療を含めて、必要なときに診療してもらえる体制が整っていればOK です。
(2)入院受け入れ体制
協力医療機関に「専用のベッド」を常に確保してもらう必要はありません。
地域で一般的に入院できる体制があれば要件を満たします。
(3)対象となる施設・サービス
この考え方は、
- 老健(介護老人保健施設)
- 特養(介護老人福祉施設)
- 地域密着型特養
- 介護医療院
- 養護老人ホーム
などに適用されます。
また、グループホーム や 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等) にも準用されます。
3. いつから義務になるのか
- 令和9年3月31日まで:努力義務(できる限り確保してくださいという段階)
- 令和9年4月1日から:義務化(すべての施設で必ず協力医療機関を定める必要あり)
つまり、「あとでやればいい」ではなく、今から連携体制を整えることが望ましいということです。
4. 実務で取り組むべきこと
- 近隣の病院・診療所と早めに話し合う
夜間や休日を含む連絡方法を確認しておくことが大切です。 - 入院体制をマニュアル化
「救急対応 → 医師診療 → 入院調整」の流れを手順書にまとめ、職員研修に活用しましょう。 - 施設ごとの対象サービスを確認
法人内の特養、老健、グループホームなどで契約状況を整理し、抜けがないようにします。
まとめ
今回のQ&Aは、協力医療機関の要件を分かりやすく説明した重要通知です。
特に「常時確保=外来診療を含めて対応可能ならよい」「専用病床は不要」という整理は、施設にとって現実的に準備を進めやすい内容です。
令和9年4月の義務化に備えて、今のうちから地域医療機関との関係を強化し、契約やマニュアルを整備しておくことが安心につながります。