入浴は「気持ちよさ」や「清潔保持」を支える大切なケアです。しかし同時に、転倒・体調変化・皮膚トラブルなどのリスクが最も高い場面でもあります。だからこそ入浴介助 記録は「今日は入れたかどうか」だけでなく、可否判断・実施内容・皮膚観察・対応と結果を丁寧に残す必要があります。
➡記録の基本を押さえたい方は、まず 第2回|介護記録の基本ルールと書き方のコツ をぜひご覧ください。
1.入浴の可否判断は根拠を明確に
入浴できるかどうかは、その日の状態によって変わります。
観察する項目は以下です。
- バイタル(体温・血圧・脈拍)
- 食後経過(食後すぐは嘔気や低血圧のリスク)
- 歩行・ふらつき(移動の安定性)
- 皮膚状態(発赤・びらん・掻破痕)
- 医師や看護師の指示(浴可/清拭/部分浴など)
記録例(入浴可)
13:10 バイタル正常(36.7℃/76回/128-78mmHg)。食後90分経過。歩行安定、入浴可。看護師確認済。
記録例(入浴不可)
13:15 食後30分で嘔気あり。入浴見合わせ、清拭へ変更。看護師指示。
2.実施内容は数値と具体性をセットで
方式(一般浴/シャワー浴/機械浴/部分浴)
介助量(見守り/部分介助/全介助)
時間・水温(開始・終了/湯温)
整容(洗髪・爪切り・保湿)
記録例
13:30–13:50 一般浴(湯温40℃)。洗身は自力、洗髪と更衣は部分介助。入浴20分。終了後に保湿クリーム塗布。
➡食事場面での「数値化と具体性」の書き方は、第3回|食事介助の記録文例集 も参考にしてください。
3.皮膚状態の観察は診断語を避けて
- 位置・大きさ(目安で可)、色・形
- 圧迫で退色するか
- 痛みやかゆみの有無(本人訴え)
- 洗浄・保湿などの対応、報告先
良い例
背部に発赤(直径約2cm、圧迫で退色)。痛み訴えなし。洗身後に保湿実施。看護師報告。
NG例
褥瘡あり。→(診断語は避け、観察事実で)
4.転倒・体調変化は「事実→対応→結果→予防策」
転倒しかけの例
13:42 浴室で滑りかけ(転倒なし)。マットめくれを確認し即時撤去。2名介助へ変更。以後問題なし。管理者・看護師報告済。
体調変化の例
13:38 シャワー中にめまい訴え。座位へ変更し水分50ml。3分で回復し中止。バイタル測定(36.6℃/102-64)。看護師評価のもと本日は清拭へ。次回は短時間で実施。
5.障害者支援施設の機械浴・部分浴の記録
障害特性がある方は、見通しの確保・感覚配慮・移乗方法を具体的に残すことが重要です。
機械浴の例
14:05–14:25 機械浴(湯温40℃)。リフト移乗2名介助。視覚カードで手順提示し同意を得て開始。洗身は部分介助。騒音に不快表情→耳栓対応で軽減。皮膚異常なし。
部分浴(足浴)の例
10:30–10:40 足浴(38℃、10分)。タイマー提示で安心感あり。角質肥厚を認めるが痛みなし。洗浄後に保湿。靴下は綿製へ変更を提案。OTへ情報共有。
6.清潔保持+安全+尊厳を意識する
介護記録 清潔保持は、洗った・入れたの報告だけでは不十分です。
- プライバシー配慮(目隠し、同性介助)
- 快適性(湯温・室温・タオル温度)
- 好みや選択(シャンプーの香り、洗う順序)
記録例
シャンプーは無香料選択時に表情が和らぐ。次回も同対応予定。
7.NG表現の言い換え(入浴記録)
- 「特に問題なし」 → 「バイタル正常、ふらつきなし、皮膚異常なし」
- 「いつも通り」 → 「13:30–13:50、一般浴20分、湯温40℃、見守り中心」
- 「肌が弱い」 → 「前腕に乾燥・軽度掻破痕あり。保湿実施」
8.まとめ|今日のチェックリスト
- 可否判断はバイタル・食後経過・皮膚を根拠に
- 実施内容は方式・介助量・時間・湯温を数値で
- 皮膚状態は観察事実+対応+報告
- 転倒・体調変化は事実→対応→結果→予防策
- 障害者支援は見通し提示・感覚配慮・移乗方法を明記
➡記録の基本を学ぶなら 第1回|介護記録の目的と重要性 から読むのもおすすめです。
一行の精度が、明日の安全を高めます。記録は未来への道しるべです。
次回は排泄介助の記録を取り上げます。尿量・便性状の書き方、誤記や過少記載を防ぐ方法を詳しく解説します。