【フォロワーシップ】第2回:上司を支えるフォロワーシップ

7.介護リーダーのスキルアップ

――管理職の意図を理解し、実務に落とし込む「支援型リーダー」

1.なぜ「上司を支える」ことが中堅の使命なのか

介護・福祉の現場では、管理職が全てを把握し、細かい業務に目を配ることは現実的に不可能です。特養やデイサービスでは数十人単位の利用者を抱え、障害者支援施設では多様な生活支援を同時並行で行い、児童養護施設では子どもたちの個別課題に対応し続ける――そのすべてをトップが直接見られるわけではありません。

ここで不可欠になるのが、中堅リーダーによる「上司を支えるフォロワーシップ」です。
つまり「支援型リーダー」として、管理職の意図を正しく理解し、現場に浸透させ、実務に落とし込む役割です。

「上からの指示をそのまま伝えるだけ」では不十分です。上司の考えを現場の言葉に翻訳し、行動に変える力こそ、中堅層が磨くべきフォロワーシップの真髄といえます。


2.管理職の意図を「翻訳」する力

多くの現場でありがちなのは、管理職が「業務効率化を進めよう」「記録を簡素化しつつ正確に」と抽象的な方針を出したとき、スタッフが「どうすればいいのか分からない」と混乱するケースです。

ここで中堅リーダーの役割は、上司の言葉をそのまま伝えるのではなく、「具体的な行動指針」に変換することです。

例を挙げてみましょう。

  • 管理職の指示:「業務の効率化を図りたい」
  • 中堅リーダーの翻訳:「朝の申し送りを10分以内に収める」「入浴介助の記録をチェックリスト形式に整理する」

このように抽象的な方針を具体的な行動に落とし込むことで、現場スタッフは迷わず動けるようになります。

つまり中堅リーダーは、現場への「橋渡し役」なのです。


3.「支援型リーダー」としての姿勢

フォロワーシップを発揮する中堅リーダーに必要なのは、支える姿勢です。

ここで注意すべきは、「上司を支える=イエスマンになる」ことではありません。むしろ逆で、現場のリアルを踏まえて上司の意図をどう実現可能にするかを考え、必要に応じて意見を返すことが求められます。

支援型リーダーに必要な3つの姿勢は以下の通りです。

  • 理解と共感
     まずは上司の考えを素直に理解しようとする姿勢。反発や疑念ではなく、「なぜこの指示が出されたのか」を探ること。
  • 実務への橋渡し
     現場が動ける形に噛み砕き、スタッフに伝える。ここに説明力・段取り力が問われます。
  • 建設的な提案
     現実的に難しい部分は「代替案」を示す。上司に「現場目線の改善点」を返すことで、管理職との信頼関係も深まります。

支援型リーダーとは、上司に盲従する人ではなく、上司と現場の双方を活かす調整者なのです。


4.現場でよくある失敗例と改善のヒント

ここで、中堅リーダーが陥りやすい失敗例を取り上げ、改善のヒントを示します。

失敗例1:指示を“そのまま”伝えるだけ

  • 「効率化しろと言われたから、みんな工夫して」
    → これでは現場は動けません。

改善策:具体的なチェックリストやタイムスケジュールに落とし込み、「明日から何を変えるのか」を提示する。


失敗例2:現場の声を吸い上げず、上司に丸投げ

  • 「現場から不満が出ています」とだけ報告する。
    → 上司は「じゃあどうしたら?」と困惑します。

改善策:「不満は○○の点に集中しています。△△の方法に変えると改善できそうです」と、現場の声+解決案をセットで伝える。


失敗例3:上司の方針に真っ向から反発

  • 「そんなの無理です」と突っぱねてしまう。
    → 信頼関係を損ね、相談しづらい存在になります。

改善策:「この点は難しいですが、こうすれば近づけるのでは?」と代替案を出す。反発ではなく協働の姿勢を示すことが重要です。


5.フォロワーシップが組織にもたらす効果

中堅リーダーが「上司を支えるフォロワーシップ」を発揮すると、組織には次の効果が生まれます。

  • 上司が現場を正しく把握できる
     現場の課題が具体的に届き、方針も改善されやすくなる。
  • スタッフが安心して働ける
     中堅リーダーが噛み砕いて伝えることで、スタッフは動きやすくなる。
  • 組織の一体感が増す
     「上からの押し付け」ではなく「チームで進める方針」になる。

結果的に、利用者や家族への支援の質が向上し、現場全体の安定感が高まるのです。


6.まとめと次回予告

今回は 「上司を支えるフォロワーシップ」 をテーマに、支援型リーダーの役割を解説しました。

  • 管理職の意図を理解し、現場を巻き込みながら具体的な行動に落とし込む「橋渡し役」になること。
  • イエスマンではなく、建設的に意見を返す調整役であること。
  • 支援型リーダーの姿勢が、組織の一体感と現場の安定をもたらす。

次回は 「後輩・新人を育てるフォロワーシップ ― 教えるより支える伴走術」 をテーマに、中堅リーダーが人材育成で果たす役割を具体的に掘り下げます。

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