皆さま こんにちは ベラガイア17の梅沢佳裕です。
今回の研修は、沖縄県社会福祉事業団様から研修のご依頼を頂き、講師を務めさせて頂きました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.研修概要
■テーマ:ヒヤリハット&事故報告書の書き方・活かし方
■開催日時:2025年8月20日(水)14:00~16:00
■主催:沖縄県社会福祉事業団 オンライン研修
【研修プログラム】
*講義① ヒヤリハットと事故防止
*ワーク①これはヒヤリ?事故? 8つの事例で考える
*講義② 報告書の様式とルール
*講義③ 書く際のポイント
*ワーク②間違い探し&修正チャレンジ
*講義④ 具体的な書き方の改善例
*ふりかえり・共有
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.研修の様子
本研修の目的は、事故報告書を「書かされる書類」から「現場を守るためのツール」へと位置づけ直すことです。そのために、参加者の皆様が「報告の意義」を理解し、具体的な書き方の“型”と“コツ”を習得し、日々の実務にすぐに活かせる知識を得ることを目標としました。
研修ではまず、講義①「ヒヤリハットと事故防止」から始まりました。インシデント(ヒヤリ)とアクシデント(事故)の違いを確認し、「小さな気づきが大きな事故を防ぐ」という視点を共有しました。続くワーク①では、8つの事例をもとに「これはヒヤリ?それとも事故?」をグループで検討いただき、判断理由を共有していただきました。現場でありがちな曖昧なケースをあえて取り上げたことで、参加者同士が積極的に意見を交わし合い、現場感覚に即した深い学びが得られた様子でした。
次に、講義②「報告書の様式とルール」と講義③「書く際のポイント」へと進みました。標準様式の構成や、正確かつ客観的に事実を記載するルールを整理し、特に「5W1H」「時系列」「具体的数値」の重要性を強調しました。併せて「不注意」「案の定」といった主観的表現を避ける必要性を解説し、第三者が読んでも同じ場面を再現できる記述を心がける姿勢を確認しました。
また、ワーク②「間違い探し&修正チャレンジ」では、あえて不適切な表現を含んだ報告書例を提示し、改善点を参加者に探していただきました。個人ワークで気づきを整理した後、グループで修正版を作成し、最後に全体共有を行いました。参加者の皆様からは「つい主観的な表現を使ってしまうが、具体的に直すと文章の質が一気に変わる」といった声も多く、実践的なスキルを体感できた時間となりました。
最後に、講義④「具体的な書き方の改善例」として、誤薬事故や転倒事故の報告例を取り上げ、改善された記述との比較を行いました。報告書は単なる記録ではなく、再発防止のスタートであることを改めて確認し、「誰が・いつまでに・どのように」実施するかまで含めることの重要性を強調しました。
研修の締めくくりでは、参加者一人ひとりに「明日から現場でできる小さな一歩」を具体的に書き出していただきました。今回の学びが単なる知識で終わらず、行動につながるよう意識づけを行いました。オンラインながらも、参加者同士の積極的な交流と深い学びが実現できた充実した研修となりました。
ご参加いただき、ありがとうございました。
~研修にご参加された皆さまへ~ 本日の研修のワーク解説!
【ワーク①の解説】
1. ベッドからずり落ち、尻もちをついた。外傷や痛みは訴えていない。
→ 事故報告
- 理由:転倒・転落という事実が発生しているため。外傷がなくても事故扱いとする。
2. 車いすで移動中、壁に軽く接触。ケガなし。本人も笑顔。
→ ヒヤリハット報告
- 理由:接触はあったが、けがや健康被害がなかったため。
3. 食事中にむせたが、すぐ回復。水を飲んで落ち着いた。
→ ヒヤリハット報告
- 理由:誤嚥や体調不良には至らなかったが、事故につながる可能性があるため。
4. 入浴中、一瞬お湯が熱くなったが、ヤケドや赤みはなし。
→ ヒヤリハット報告
- 理由:危険はあったが、身体的被害はなかったため。
5. 歩行中につまずきそうになったが、職員が支えて転倒なし。
→ ヒヤリハット報告
- 理由:転倒は未然に防げたが、条件次第では事故になり得るため。
6. 薬を誤って手渡ししたが、服薬前に気づき投与しなかった。
→ ヒヤリハット報告
- 理由:誤薬は未遂に終わったが、重大事故につながる可能性があるため必ず報告が必要。
7. 入れ歯が見当たらず探したが、その日のうちに見つかった。
→ ヒヤリハット報告(施設ルールによっては事故扱い)
- 理由:一時的に不便は生じたが、健康被害は確認されなかったため。
8. 買い物外出から帰宅後、足に軽い打撲痕あり。原因は不明。
→ 事故報告
- 理由:実際に外傷が認められたため。原因が不明でも記録・観察が必要。
【ワーク②の解説】
①■事故の概要
NG:昼食後、A様がボーっとしていたため、注意不足で転倒した。たぶん床が滑ったのだと思う。
OK:7月20日14:30、食堂にてA様(●歳)が歩行途中に転倒。左膝を床に打った。
【解説】
- あいまい・感情語の削除:「ボーっと」「注意不足」「たぶん」→客観事実に統一。
- 5W1Hの明確化:When(7/20 14:30)、Where(食堂)、Who(A様)、What(転倒・左膝を打撲)。
- 推測の排除:「床が滑ったと思う」→根拠がないため削除。事実は「転倒」まで。
②■原因・経緯・状況
NG:私が配膳を片付けている間に、A様がいきなり立ち上がってしまった。昼食の後で眠そうな顔をしており、案の定よろけて転んだ。
OK:配膳片付けのため席を外していた間、A様が立ち上がり、3歩歩いたところで左足がカーペット端に引っかかり転倒。
当時の床は乾燥しており、照明は通常。A様は昼食後で表情に疲労が見られた。
【解説】
- 時系列の具体化:「いきなり」→立ち上がり→3歩→引っかかり→転倒の順。
- 直接原因と背景要因の分離:
- 直接原因=カーペット端に引っかかった
- 背景要因=見守りが薄い時間帯(配膳片付けで席外し)/食後の疲労感
- 観察事実の追加:床の状態(乾燥)、照明(通常)など環境条件を明記。
- 評価語の削除:「案の定」「いきなり」→評価・主観なので削除し、観察事実に置換。
③■事故後の対応
NG:慌てて駆け寄り、痛そうにしていたので『大丈夫ですか?』と声をかけた。特に問題なさそうだったので、そのまま席に戻した。
OK:14:31 職員Bが駆け寄り、A様を椅子に座らせ安静。右手で左膝を押さえる仕草あり。
バイタル測定:血圧128/76 mmHg、脈拍74回/分、体温36.4℃。
家族に電話で状況を報告。主治医の指示により湿布貼付、経過観察。
【解説】
- 時刻・主体・行為の明確化:「慌てて」→14:31/誰が/何を具体化。
- 観察事実の記録:「痛そう」→膝を押さえる仕草など行動事実に置換。
- 数値の明記:バイタルを具体的数値で。
- 連絡・指示の可視化:家族連絡/主治医指示/処置内容を明記。
- “問題なさそう”の排除:評価語→評価根拠(所見)と指示内容に置換。
④■再発防止
NG:職員間で注意するようにしたい。
OK:7月末までにカーペット端を固定(施設管理責任者)。
食後の立ち上がり時は職員が声かけ・見守りを行う(担当:食堂勤務職員)。
【解説】
- 具体策+期限+責任者:行動計画(何を/いつまでに/誰が/どうやって)。
- 人依存だけにしない:「注意」はNG。環境改善(カーペット固定)×手順改善(声かけ・見守り)の両輪に。
- 運用の定着:担当と実施場所を明記→監査・点検が可能に。
【チェック】
- NG表現は「感情(主観的文章)」「憶測」「曖昧表現」「不足情報」を見極めると見つけやすくなります
以上、グループワークでの気づきは、今後の実践で、ぜひ取り組んでみる(活用してみる)ことで忘れることなく定着していきます。ぜひご活用ください!