【働く女性×仕事と介護の両立支援】第7回:仕事と介護の両立を「一人で抱え込んでしまう」のはなぜか?

10.仕事と介護の両立・介護離職防止

仕事と介護の両立について考え始めたとき、
多くの方がまず感じるのは「思った以上に大変そう」という戸惑いかもしれません。

そして次に浮かびやすいのが、
「自分にできるだろうか」
「仕事を続けられるのだろうか」
という不安です。

けれど、ここで立ち止まって考えてみてほしいのです。
仕事と介護の両立が苦しく感じられるのは、個人の努力や覚悟の問題ではなく、状況が一人に集中しやすい構造があるからではないか、という視点です。

このBlogでは、仕事と介護の両立を「難しい」と結論づけるためではなく、
なぜ一人で抱えにくくなりやすいのかを整理することを目的に、考えていきます。
整理できると、結論を急がずにすみます。
それは、介護離職に追い込まれないための大切な準備でもあります。


なぜ仕事と介護は「一人で抱え込みやすくなる」のか

仕事と介護が重なると、生活の中で急に増えるものがあります。
それは「やること」だけではなく、判断しなければならない場面です。

通院への付き添い、サービス利用の検討、家族との調整、職場への伝え方。
一つひとつは小さく見えても、同時に重なると心身への負担は大きくなります。

さらに、介護の情報と仕事の制度は、現実には別々の仕組みとして存在しています。
介護は地域や専門職、仕事は職場や人事。
その間をつなぐ役割を、当事者自身が担わざるを得ない状況が生まれやすいのです。

この状態では、
「どこに相談すればいいのかわからない」
「職場にどこまで伝えていいのか迷う」
と感じるのも自然なことです。

また、働く女性の場合、これまで家庭や職場で調整役を担ってきた経験から、
「自分が何とかしなければ」と無意識に抱え込んでしまうことも少なくありません。

大切なのは、
抱え込んでしまうのは性格や能力の問題ではなく、そうなりやすい状況がある
と気づくことです。
気づけると、少し距離を取って考えることができます。


「できる・できない」の二択にしないための考え方

仕事と介護を前にすると、
「両立できるか、できないか」
という問いに追い込まれがちです。

しかし、この二択はとても厳しい問いです。
できないと感じた瞬間に、「辞めるしかない」という結論に近づいてしまうからです。

ここでは、問いの立て方を少し変えてみましょう。

たとえば、

  • どこが一番負担になりそうか
  • いま決めなくてもよいことは何か
  • 一人で抱えなくてよい部分はどこか

このように整理すると、状況は少しずつ見えやすくなります。

おすすめしたいのは、次の3つを分けて考えることです。

  • 事実と感情を分ける
  • 介護の課題と仕事の課題を分ける
  • 自分で担うことと、誰かと分担できることを線引きして捉える

すべてを完璧に整える必要はありません。
整理が進むと、
「何をどう相談すればいいか」が言葉になり、支援につながりやすくなります。

それは、両立を続けるための現実的で穏やかな一歩です。


小まとめ

  • 仕事と介護の両立が苦しく感じられるのは、努力不足ではなく、負担が個人に集中しやすい構造があるため。
  • 「できる・できない」の二択ではなく、状況を分けて整理する視点が、早まった決断を防ぐ。
  • 整理することで、相談や支援につながる余地が生まれ、介護離職に追い込まれにくくなる。

(筆:ベラガイア17人材開発総合研究所 代表 梅沢佳裕

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