【加算チェックリスト運用術】第11回:デイサービスの加算“取り逃しゼロ”術

9.介護報酬改定と算定の解説

イサービスや通所リハビリテーションでは、制度上は算定可能な介護報酬加算であっても、実務上の確認不足や記録の不整合により、結果として算定できていないケースが少なくありません。
特に通所系サービスは、利用者の入れ替わりが多く、職員配置や役割分担が日々変わりやすいため、加算管理が属人的になりやすいという特徴があります。

本記事では、担当者の経験や勘に頼るのではなく、**誰が見ても確認でき、誰が担当しても回せる「加算チェックリスト運用」**という視点から、デイサービスで取り逃しが生じやすい加算と、その点検方法を実務レベルで整理します。


デイサービスで加算の取り逃しが起きやすい共通構造

デイサービスで取り逃しが起きやすい加算には、いくつかの共通点があります。代表的なものとして、個別機能訓練加算ADL維持等加算入浴介助加算が挙げられます。

これらの加算に共通するのは、
計画 → 実施 → 記録 → 評価
という一連の流れが、すべて整って初めて算定の前提が満たされる点です。

つまり、サービス自体は実施していても、計画と記録、評価が適切につながっていなければ算定できないという構造になっています。そのため、まずは「どの加算が、どの計画書・どの記録と関係しているのか」を、職員間で共有できる状態をつくることが重要です。


個別機能訓練加算は「計画と日々の記録」を確実につなぐ

個別機能訓練加算(通所介護)は、デイサービスの中核となる加算ですが、実務では個別機能訓練計画書とサービス提供記録が分断されやすいという課題があります。

個別機能訓練計画書には、訓練の目標や内容が整理されていますが、日々のサービス提供記録には、次の点が具体的に反映されている必要があります。

・その日に実施した訓練内容
・介助の程度や見守りの有無
・利用者の反応や変化

記録は長文である必要はありません。
「立ち上がり訓練を5回実施。前回より安定して行えている」
といった一文があるだけでも、計画と実施が結びつきます。

なお、個別機能訓練加算は、加算区分やサービス種別によって、説明・同意、記録の取り扱い、評価や見直しの頻度などの細目が定められています。本記事は取り逃し防止の実務整理を目的としているため、要件の全細目までは記載していません。算定にあたっては、必ず最新の留意事項通知や関連する質疑応答を確認し、事業所の運用が要件に合致しているかを最終点検してください。


ADL維持等加算と科学的介護情報システム(LIFE)の正しい理解

ADL維持等加算は、日常生活動作(ADL)の維持・改善に関する評価結果にもとづいて算定可否が判定される性質が強い加算です。そのため、日々の取り組みは重要ですが、算定の可否を「月ごとの確認だけで判断できる加算」と誤解しないことが重要です。

本記事で紹介している「月次での少人数確認」や「ミーティングでの共有」は、算定要件そのものを置き換えるものではありません。これらは、提出漏れや記録の不整合、運用の属人化を防ぐための内部管理上の推奨運用です。

科学的介護情報システム(LIFE)への提出については、まずは数名の利用者に絞り、
・ADLの維持や変化
・支援内容との関係
を確認し、会議やカンファレンスで共有するところから始めると、現場に無理なく定着しやすくなります。

実際の算定要件、評価対象期間、判定方法、提出や届出の取り扱いについては、必ず最新の通知・質疑応答を確認し、事業所の実態に沿って運用してください。


入浴介助加算は区分を明確にし「安全配慮が伝わる記録」を残す

入浴介助加算には、入浴介助加算(Ⅰ)と入浴介助加算(Ⅱ)があり、求められる確認事項や整理の仕方が異なります。
そのため、まずは自事業所がどの区分の算定を想定しているのかを明確にすること
が重要です。

本記事では、区分に共通して取り逃しを防ぐための視点として、記録の整え方に焦点を当てます。サービス提供記録には、次の点が簡潔でもよいので反映されているかを確認しましょう。

・入浴前後の体調確認
・介助方法(見守りか一部介助か)
・皮膚状態や転倒リスクへの配慮

「入浴実施」とだけ記載されている場合、加算要件との整合性が弱くなります。
なお、入浴介助加算(Ⅱ)では、居宅環境の評価や計画書の取り扱いなど、(Ⅰ)とは異なる論点が生じます。算定要件の最終確認は、必ず最新の通知等で行ってください。


月初・月末で回す「加算チェックリスト運用」

加算の取り逃しを防ぐためには、月初と月末に確認するポイントをあらかじめ決めておくことが効果的です。

月初には、
・今月算定予定の介護報酬加算の確認
・必要な計画書や体制の点検

月末には、
サービス提供記録の抜けや不整合
LIFE提出状況の確認
・評価や見直しの実施状況

をチェックします。これらを一枚のチェックリストとして共有することで、担当者が変わっても同じ水準で確認でき、加算管理の属人化を防ぐことができます。


小まとめ

デイサービスの加算“取り逃しゼロ”を実現するために重要なのは、制度を覚えることではなく、日々の実践・記録・評価を確実につなげる仕組みです。
個別機能訓練加算、ADL維持等加算、入浴介助加算はいずれも、現場で行っている支援が正しく評価されるための制度です。

加算チェックリスト運用を取り入れ、月初・月末の点検を習慣化することで、取り逃しを防ぎ、安定した介護報酬算定と質の高いサービス提供につなげていきましょう。

(筆:ベラガイア17人材開発総合研究所 代表 梅沢佳裕

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