【介護・福祉の未来を読む羅針盤】来る2026年、その夜明け前に振り返る

8.介護・福祉の未来を読む羅針盤

― 高齢者介護・障害者福祉が次に進むための準備 ―

2025年の年の瀬を迎え、介護・福祉の現場に関わる多くの方が、この一年を振り返っていることと思います。

一昨日は高齢者介護、昨日は障害者福祉について、それぞれの分野で積み重なってきた変化を整理してきました。本稿は、それらの総括を繰り返すのではなく、来る2026年をどのような視点で迎え、どのような準備を進めていくべきかを考えるための回です。

2026年は、大きな制度改正が一気に押し寄せる年というよりも、これまで整えてきたものが静かに効き始める年になる可能性があります。だからこそ、年の終わりに一度立ち止まり、夜明け前の静かな時間の中で、次の一歩を考えてみたいと思います。


2026年を前に、高齢者介護の現場で静かに進む変化を読む

高齢者介護の分野では、2026年を迎えるにあたり、制度そのものが急激に変わる兆しは多くありません。しかし、人材不足業務負担の増大、そしてケアの質をどう維持・向上させるかという課題は、より鮮明になっていくと考えられます。

これまでのように、「新しい制度が出たから対応する」「加算要件が変わったから整える」といった受け身の対応だけでは、現場の負担感は軽減されません。2026年に向けて求められるのは、制度対応の巧拙よりも、日常業務をどう整理し、チームとして支え合える体制をつくれているかという運用力です。

たとえば、業務が特定の職員に集中していないか、判断が属人的になっていないか、会議や情報共有が形だけになっていないか。こうした点を丁寧に見直すことが、結果として職員の定着支援の安定につながっていきます。

2026年は、「何か新しいことを始める年」というよりも、これまで当たり前に行ってきた業務を、もう一段整理し直す年になるのではないでしょうか。その積み重ねが、数年後の現場を確実に支える土台になります。


2026年、障害者福祉の支援は次の段階へ進む

障害者福祉の分野でも、2026年は重要な節目となります。とりわけ、就労支援の分野では、就労選択支援の本格的な運用を迎える中で、支援の質やアセスメント力がより問われるようになります。

これまで以上に、「どのサービスを利用するか」よりも、「本人にとってどの選択が適しているのか」を丁寧に考える支援が求められます。そのためには、支援者一人ひとりの経験や勘に頼るのではなく、チームでの検討支援の振り返が欠かせません。

また、意思決定支援合理的配慮といった考え方も、理念として語られる段階から、日々の支援判断の中で自然に扱われる段階へと進んでいくでしょう。2026年は、「それは理念だから難しい」と避けるのではなく、「実務としてどう扱うか」を現場ごとに模索する年になると考えられます。

その際に重要なのは、支援の正解を急いで出そうとしないことです。迷いながらも、記録に残し、チームで共有し、次につなげていく。そのプロセス自体が、支援の質を高める力になります。


夜明けは突然訪れない

2026年に向けて、いま整えておきたい共通の土台

高齢者介護と障害者福祉は制度も文化も異なりますが、2026年に向けて共通して求められる準備があります。それは、大きな改革や派手な取り組みではなく、日常の足場を整えることです。

具体的には、
・判断や役割が特定の人に集中していないか
・情報が現場と管理者の間で滞っていないか
・記録や会議が「やること」になっていないか

といった点を、改めて見直すことが挙げられます。

2026年は、こうした下支えが整っている事業所や法人に、静かに追い風が吹く年になる可能性があります。夜明けは突然訪れるものではなく、暗い時間の中で整え続けた人の前に、少しずつ姿を現すものです。


小まとめ

2025年は、介護・福祉の分野において、多くの問いが共有された一年でした。
来る2026年は、その問いに向き合いながら、現場ごとに足場を固めていく一年になるでしょう。

年の終わりに立ち止まり、これまでを振り返り、次を考えること自体が、すでに次の一歩です。
この羅針盤が、皆さまにとって2026年を迎えるための静かな手がかりとなれば幸いです。


筆者より

2025年も、介護・福祉の現場で多くの方が、それぞれの立場で悩み、考え、支え続けてこられた一年だったと思います。日々の支援や運営を積み重ねてこられた皆さまに、まずは心からの感謝をお伝えしたいと思います。

現場で利用者と向き合う支援職の方々、判断や調整に責任を負う管理者の方々、組織全体を見渡しながら舵を取る立場の方々。簡単な答えがない中で歩みを進めてこられた一年だったのではないでしょうか。

来る2026年も、すぐに明確な答えが見える年ではないかもしれません。
それでも、日々の実践を丁寧に振り返り、整え、次につなげていくことで、少しずつ夜明けに近づいていくはずです。新しい年が、皆さまにとって無理のない歩みを重ねられる一年となることを、静かに願っています。

(筆:ベラガイア17人材開発総合研究所 代表 梅沢佳裕

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