【第5回】チーム成果を高めるフォロワーシップ

7.介護リーダーのスキルアップ

――小さな改善の積み重ねが生産性向上につながる

1.フォロワーシップが「成果」を生む理由

介護・福祉の現場で「生産性向上」という言葉を聞くと、抵抗を感じる方も多いかもしれません。
しかし、ここでいう生産性とは「効率的に働く=急かす」ことではなく、限られた時間と人員の中で、より質の高い支援を届ける力を指します。

そのカギを握るのが、チーム全員のフォロワーシップです。
一人ひとりが上司や仲間を支え合い、小さな改善を積み重ねていくことで、結果的に現場全体の力が引き上がります。

たとえば、特養の入浴介助で「準備時間を5分短縮するために動線を整理する」「入浴チェックリストを共通化してミスを減らす」など――こうした地道な取り組みが積み重なると、スタッフの負担が軽くなり、利用者へのケアの質が高まります。

フォロワーシップとは、単に「支える力」ではなく、チームで成果を出すための基盤となる力なのです。


2.小さな改善を続けるチームづくり

中堅リーダーが発揮すべきフォロワーシップの中で、最も実務的なのが「現場改善を回す力」です。
この力を育てるには、“改善を文化にする”仕組みづくりが欠かせません。

(1)課題を共有し、対話を重ねる

現場では「忙しいから話し合う時間がない」という声をよく聞きます。
しかし、改善の第一歩は課題を共有することです。朝礼や終礼で1分でも「昨日より良くできたこと」「困ったこと」を出し合うと、気づきが生まれます。小さな声を拾える環境が、チームの土台を強くします。

(2)できたことを「見える化」する

改善が形になると、スタッフのモチベーションが高まります。
掲示板やLINEグループなどで「業務短縮に成功」「転倒事故ゼロを1か月達成」などを共有し、成果をみんなで喜ぶ習慣をつくりましょう。目に見える成果は、現場の一体感を育てます。

(3)リーダー自身も挑戦し続ける

フォロワーシップは上司や部下を支えるだけでなく、自ら学び、変化する姿勢にも現れます。
介護DX、ICT導入、業務マニュアルの見直しなど、新しい仕組みを恐れずに取り入れる中堅リーダーの姿は、チームの手本になります。

このように、改善は「大きな改革」ではなく「小さな挑戦の積み重ね」で進みます。
中堅リーダーが先頭に立ってその風土をつくることが、チーム成果を高めるフォロワーシップの真価なのです。


まとめ

介護・福祉の現場で成果を出すリーダーは、決して声が大きい人ではありません。

  • 一人ひとりの意見を聞き、改善の芽を拾う。
  • 小さな変化を積み重ね、成功体験を共有する。
  • 支え合う文化を育みながら、生産性を高めていく。

それがフォロワーシップを通じて成果を生むリーダーシップの姿です。

次回は「トラブル・クレーム対応に活きるフォロワーシップ ― 現場を守る支援力」について解説します。

(著者:ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表 梅沢佳裕

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