【介護のメンタルケア】第7回:完全解説 介護リーダーのセルフケア|孤独とストレス対策

6.介護専門職のメンタルケア

監修・執筆:梅沢佳裕(社会福祉士・介護支援専門員・研修講師)

介護リーダーになってから、「誰にも相談できない」と感じることはありませんか
現場の職員からは頼られ、上司からは結果を求められ、利用者や家族の声にも向き合う。そんな毎日が続くと、リーダーほど孤独
になりやすく、気づかないうちにストレスが積み上がっていきます。

大切なのは、我慢で乗り切ることではありません。介護リーダーには、一般職とは違うストレスがあり、だからこそーダーに合ったセルフケアが必要です。本記事では、リーダー特有の負担を整理しつつ、現場で実行できる具体策をお伝えします。


介護リーダーがストレスをためやすい理由とは?

介護リーダーは「板挟み構造」に置かれやすい

介護リーダーのストレスが大きくなる理由の一つは、立場上「どちらの味方でもある」状態が続くことです。
たとえば、上司からは「事故を起こさないで」「稼働率を落とさないで」と求められる一方、現場からは「人手が足りない」「そのやり方では回らない」と言われます。利用者・家族からの要望もあり、時に強い言葉やクレームにさらされます。

このときリーダーは、誰か一人を満足させるのではなく、複数の利害を調整して現場を前に進める役割を担います。結果として、気を張り続ける時間が長くなり、疲労が抜けにくい状態になりがちです。

一般職と違う「責任型ストレス」の正体

リーダーのストレスは、忙しさだけではありません。特に強いのは、判断が求められる場面の連続です。
転倒リスクの高い利用者への対応、職員間のトラブルの仲裁、家族への説明、勤務調整。リーダーの判断次第で現場の雰囲気が変わり、場合によっては事故や苦情に直結します。

この「もし失敗したら」という緊張が続くと、頭の中が常に仕事で埋まり、休んでいても切り替わりません。これがリーダー特有の責任型ストレスです。


介護リーダーが孤独を感じやすいのはなぜか?

「相談できない立場」が孤独を深める

リーダーは、部下の前では踏ん張ろうとします。弱音を吐けば不安を与えるかもしれない、と感じるからです。
一方で上司には、現場の混乱や職員の不満をそのまま話しづらい。結果として、心の中に「言えないこと」がたまり、孤独感が強くなります。

ここで注意したいのは、孤独は性格の問題ではなく、役割から生じる構造的な問題だということです。だからこそ、セルフケアも「気合い」ではなく、仕組みとして整える必要があります。

リーダーが孤立すると現場で何が起こるか

リーダーが孤立すると、まず判断が遅れます。「間違えたくない」という気持ちが強くなり、決断を先送りしやすくなるからです。
次に、感情の余裕が減り、言葉が強くなったり、逆に距離を取りすぎたりします。すると職員は「相談しづらい」「何を考えているのかわからない」と感じ、現場の不満が蓄積します。

つまり、リーダーの孤立は、チーム全体の不安定さにつながるのです。裏を返せば、リーダーが自分を整えることは、利用者支援と職員支援の土台になります。


介護リーダーのためのセルフケア実践法【現場対応型】

感情を溜め込まない「リーダー用セルフチェック」

まずは、自分の状態を点検することから始めます。忙しい現場でも、1分でできます。以下に当てはまる数が増えていたら、セルフケアが必要なサインです。

  • 最近、イライラや焦りが増えている
  • 職員の相談を「面倒」と感じる瞬間がある
  • 判断が怖くて、決めるのが遅れている
  • 「自分がやれば早い」で抱え込みが増えている
  • 帰宅後も仕事のことが頭から離れない

ここで大切なのは、反省することではなく、早めに気づくことです。リーダーほど限界を超えてから倒れやすいので、「手前」で立て直す視点が必要です。

5分でできるリーダー向けストレスリセット法

次に、現場で実行しやすいリセット法を3つ紹介します。どれも「短い」「目立たない」「続けやすい」ことを重視しています。

1つ目は、呼吸で切り替える方法です。背筋を伸ばし、鼻からゆっくり吸い、口から長く吐く。これを3回繰り返します。短い時間でも、緊張がほどけ、言葉のトーンが整いやすくなります。

2つ目は、頭の中を外に出す方法です。メモに「気がかり」を3つだけ書きます。解決策は書かなくて構いません。書くことで脳の負荷が下がり、次の業務に向かいやすくなります。

3つ目は、小さな相談を1つ入れる方法です。大きな悩みをいきなり話す必要はありません。
「この対応、方向性は合っていますか」
「今の優先順位、これでいいですか」
こうした“確認”レベルの相談を入れるだけで、孤立が弱まり、判断の負担が軽くなります。


リーダーが自分を守ることは「甘え」ではない

セルフケアはチームマネジメントの一部

介護の現場では、リーダーの状態がそのまま職場の空気に反映されます。リーダーが疲れていると、指示が荒くなったり、共有が遅れたりし、職員の不安が増えます。逆に、リーダーが落ち着いていると、職員も相談しやすく、問題が早期に表面化します。

つまり、セルフケアは個人の趣味ではなく、チームの安全と質を守るためのマネジメントです。

支援職のリーダーにこそ必要な自己理解

介護リーダーは「支える側」になり続けると、自分の限界が見えにくくなります。
だからこそ、自分が疲れる場面の傾向を知り、助けを求める技術を持つことが重要です。助けを求めるのは弱さではありません。現場を止めないための、リーダーの専門性です。


現場でよくある質問(Q&A)

Q. リーダーが弱音を吐くと信頼を失いませんか?
A. 場と相手を選べば、むしろ信頼は高まります。部下には「不安」をそのまま出すのではなく、事実と方針を整理して共有します。上司や同職種には、率直に相談して構いません。

Q. 管理者に相談しづらい場合はどうすればいいですか?
A. 同じ立場のリーダー同士、外部研修でのつながり、第三者(社外の相談窓口等)など、「職場の外」に相談先をつくるのも有効です。

Q. 忙しすぎてセルフケアの時間が取れません。
A. だからこそ、1分・3分の単位でやります。長い休みより、短いリセットを複数回入れる方が現場では続きます。

そのまま使えるチェックリスト(解釈つき・行動につながる版)

  • 今日、深呼吸を3回できたか
    → できない日が続くなら、緊張が高いサイン。席を立つ前に「吸って4秒/吐いて6秒」を1回だけ。
  • 気がかりをメモに3つ書けたか
    → 書けないのは、頭がいっぱいのサイン。まずは1つだけでOK。「今いちばん気がかりなこと」を外に出す。
  • 小さな相談を1つできたか
    → できない日が続くなら、孤立のサイン。「確認だけ」でも良いので、上司・同僚に「方向性合ってますか?」を一言。
  • 抱え込んだ案件」を1つ手放せたか
    → 手放せないのは、背負いすぎのサイン。“丸投げ”ではなく“分担”でOK。連絡・記録・調整のどれかを切り分ける。
  • 帰る前に「今日はここまで」と区切れたか
    → 区切れないのは、反すう思考のサイン。PCを閉じたら、「明日の最初の1手」だけ書いて終える。

使い方(読者が迷わない一言)

このチェックはではなく、早めに気づくための警報です。
全部できなくても大丈夫。「1つでもできたら合格」にしてください。

小まとめ

介護リーダーは孤独になりやすく、一般職とは違うストレスを抱えます。だからこそ、自分を守るセルフケアは必須です。
呼吸、メモ、相談。小さな実践を積み重ねることが、リーダー自身とチームを守り、結果として利用者支援の質につながります。

ベラガイア17 人材開発総合研究所 梅沢佳裕
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