【介護BCP】第4回:「感染症BCP」にどう対応するか?自然災害との違いや平時からの備えを整理!

9.介護報酬改定と算定の解説

介護報酬改定により義務化された介護BCP(業務継続計画)には、自然災害BCPと感染症BCPの両方が含まれています。しかし、この2つは全く性質が異なり、計画の立て方も実践方法も大きく変わってきます。

これまでの連載では自然災害BCPを中心に取り上げましたが、最終回となる今回は「感染症BCP」に焦点をあて、自然災害BCPとの違いや、平時からの備え、そして実務者が現場で取り組める実践的な工夫を紹介します。


1.感染症BCPの基本構成|4つの柱

感染症BCPは、厚労省ガイドラインに基づき以下の4要素で策定します。

  1. 初動対応:体調不良者の早期発見、隔離対応、感染管理責任者の指示系統
  2. 感染拡大防止:ゾーニング、防護具の使用、環境清拭と換気の徹底
  3. 業務継続体制:人員不足時の代替要員手配、優先業務の明確化
  4. 情報共有:保健所や家族への報告フロー、記録と改善サイクル

これらを「計画書」「行動フロー」「チェックリスト」として整備し、日常的に研修へ組み込むことが必要です。


2.自然災害BCPとの違い|感染症特有の視点

感染症BCPの最大の特徴は「施設は使えるが、人が動けなくなる」ことです。自然災害との違いを整理すると次の通りです。

比較項目自然災害BCP感染症BCP
影響建物破損・停電・断水利用者・職員の感染、隔離、出勤停止
優先行動避難・安全確保感染防止・人員配置
初動対応数分〜数時間数日〜数週間の継続
関係機関消防・避難所保健所・医師会

➡ 感染症BCPでは、「施設を閉じずに機能を維持する」ための工夫が求められます。


3.平時から備えるべき感染症BCP対策

✅ ミニシミュレーション訓練

  • 「職員が発熱で欠勤、代替はどうする?」を想定。
  • 月1回の5分ロールプレイでも効果大。

✅ ゾーニングと物品配置

  • マスク・ガウン・手袋の在庫確認を月1回ルーチン化
  • ゾーニング図を掲示し、導線を全員で確認。

✅ 業務優先順位の事前決定

  • A:必須(食事・排泄・服薬)
  • B:調整(入浴・清掃)
  • C:中止可(レクリエーション)

➡ 職員が迷わず動けるよう、平時からルール化しておくことが重要です。


4.介護実務者が自らできる実践アクション

感染症BCPを「管理者だけの計画」にせず、職員一人ひとりが取り組める内容に落とし込みましょう。

日常業務でできること

  • 健康観察と記録を徹底し、体調変化をチームで共有
  • 標準予防策(マスク・手袋・手指衛生)を徹底し、習慣化
  • 5分ロールプレイで隔離や動線確認を繰り返す
  • 人員不足を想定し、優先業務を理解しておく

自分自身の「パーソナルBCP」

  • 出勤困難時の代替手段(徒歩・自転車)を想定
  • 家族との安否確認方法を事前に決めておく
  • 「勤務優先の合意」を家族と共有しておく

➡ 職員自身の備えが、施設全体の業務継続を支えます。


5.研修・カンファレンスで浸透させる工夫

感染症BCPは「共有」されてこそ実効性があります。

  • 新人研修:感染症時の基本行動マニュアルを学ぶ
  • 定期研修:インフルやコロナ流行の事例検討
  • リーダー研修:意思決定と責任者の役割を実地訓練
  • 掲示物:連絡フロー図、ゾーニング図、日常チェックリスト

➡ 繰り返し触れることで“頭でわかるBCP”が“体で動けるBCP”に変わります。


6.まとめ|感染症BCPは「計画+人+動線」で育てる

感染症BCPは自然災害BCPと違い、長期にわたる人員不足や感染拡大を前提としています。だからこそ、小さな訓練・日常的な備え・職員一人ひとりの意識が不可欠です。

  • 計画を整えるだけでなく、
  • 人が動ける仕組みを平時からつくり、
  • 動線や物品の整備を常に点検する。

これが、介護施設の感染症BCPを“生きた計画”に変える道筋です。


【自然災害BCPと感染症BCPの全4回連載 完結】
今回で全4回のBCP連載は一区切りとなります。

次回からは新連載:
「2024年介護報酬改定の中盤 ― 新設加算の徹底解説と算定のヒント」
を予定しています。加算の要件や算定の工夫を、現場目線でわかりやすく解説します。

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