今回のテーマは「身元保証」や「身寄りのない高齢者」への対応
2025年7月30日、厚生労働省は「介護保険最新情報Vol.1409」として、
身寄りのない高齢者や、保証人のいない高齢者の支援に関する通知を改正・発出しました。
この通知は、全国の市町村・地域包括支援センター・介護事業者が対象です。
現場でよく聞かれるこの疑問――
「保証人がいないと、施設に入れないの?」
「高齢者の死後の手続きって、誰がするの?」
こうした悩みに、新たな国の方針が示されたのです。
1.「高齢者終身サポート事業」とは?
高齢者のひとり暮らしや身寄りのない人の増加により、
民間では「終身サポート事業」という新しいサービスが広がっています。
✅具体的なサービス内容
- 入所時の身元保証
- 日常生活の支援
- 死後の事務(葬儀・財産処分など)
ただし、サービス内容は多岐にわたり、費用も高額で契約期間も長期になるケースが多く、消費者トラブルも報告されています。
2.市町村・包括支援センターの相談対応が重要に!
高齢者や家族から「どのサポート業者を選べばよいの?」と相談されたときに備え、
厚労省は**判断ポイントをまとめたパンフレット(別添2)**を作成しています。
🔹 新任職員でも対応できるように:
- 利用者に「業者の選び方」を一緒に確認できる
- 悪質な業者に注意するきっかけにもなる
- 地域包括支援センターや消費者行政との連携が大切
3.介護施設での“身元保証人がいない”ケースの対応
✅保証人がいないことを理由に、入所拒否はできません!
法令上、介護保険施設では…
「身元保証人がいないこと」を理由にサービスを拒否してはいけない。
つまり、保証人の有無にかかわらず、介護は提供されるべきだということです。
🔸 実際の課題
- 緊急連絡先がない
- 金銭管理・入退所手続きが不安
- 死後事務を誰が担うのか不明
これらの対応についても、**介護職や相談員が「不適切な扱い」を避けるための指針(別添5)**が示されました。
4.介護事業者が今後やるべきこと
やること | 対応内容 |
---|---|
書類の見直し | 入所契約書や重要事項説明書に「保証人必須」と明記していないか確認 |
職員教育の実施 | 新任職員にも通知の要点をわかりやすく共有 |
地域連携の強化 | 包括支援センターや消費者行政との連携体制を構築 |
入所判断プロセスの整備 | 保証人がいない場合のケア体制や手続きフローを見直す |
まとめ|「保証人がいない=入所できない」時代は終わりです
今回の通知【介護保険最新情報Vol.1409】は、
介護現場での対応をより柔軟で安心できるものにするための改正です。
「誰でも、安心して介護サービスを受けられる社会」へ――
その第一歩として、現場の私たちが制度を理解し、支援をつなぐことが求められています。